第四夜
私は、こんな夢を見ました
そこは学校
屋上から見える景色は果てしない青空
暑い陽射しが照らす校庭には、野球部員が走り込みをしていました
あぁ、先輩
優しい眼差しに、精悍な顔立ち
その中肉中背な体格も可愛らしくて素敵
私の熱視線は、彼に届いているのかな
「y邂綯い!行くよ!」
友達に名前を言われて、私は席を立ちました
その時です
「t爍お陽!」
校庭に咲いていたのは、向日葵じゃなかった
貴方の頭から流れる花びらで造られた、真っ赤な、真っ赤な、彼岸花
嘘よ、嘘
先輩が、そんな
これは、ユメよ
そう、そうだわ
夢なの、ユメよ
これはわたしの、ユメよ
わたし、わたし?
わたしって誰だったかな
あ、そうだわ、わたしは、ユメよ
ユメは私、夢はわたし
夢ならきっとやり直せるわ
きっと、先輩も生き返るはず
そう、ユメなら
「ちょっと!あんたどこ行くのよ!」
「夢なら跳べるの!わたしは先輩を生き返らせるの!」
「だめ、ダメよ!」
ユメなら、空も飛べるはず
今日は、弥宵ちゃんは現れなかった
いや、現れてくれなくて良かった、のかも知れない
流石に鈍感な俺でも、あんな不可解な出来事が起きた後に笑顔で彼女の夢の話を聞いてあげれる程広い心は持っていないのだ
さて、そろそろ時間だ
バイトに行かなければ
今日は、近くの高校へパンを配達するバイトだった
トラックの助手席から見た、高校の校舎には見覚えがあった
あれ、何処で見たんだろう
う、ん?
「頭が、割れそうに痛い……」
「あぁ?それじゃあ仕方ねぇな、兄ちゃん学校の保健室で休ませてもらえや」
え、それはどうかと…
次の瞬間、俺は保健室のベッドで寝ていた
やっぱり、おかしい
違和感しか、今のセカイから感じない!
「ねぇ、知ってる?[夜々異]さんの噂」
「それって、夢に出てくる都市伝説でしょ?確か、」
“人の夢に入り込んで、そのまま自分のユメの中に引きずり込む”
って、話でしょ?
夜々異、ややい、やよい、弥宵
「気付いちゃいました?お兄さん」