「第11章」
労働で手に入れたお金を、パッと使いたくなるのが人というもの。
このせいもあって、カポネなどの同業者はいろいろなところで、労働者の金を手に入れるかで争いごとが多発し始めた。
それを、素早く感じたのがデューク・エリントンだった。
デュークいるコットンクラブも、カポネと同じ同業者の経営しているお店だからだ。
バディーは、デュークから一通の手紙をもらった。
「私はしばらく、ヨーロッパへ演奏旅行をしに行こうと考えている。
ただ、タイタニックのようなことがあると怖いのだが、どうすればいいだろうか?」
この当時タイタニックという巨大な船が沈没したことが大きな話題に上がっており、
船に乗る人たちはこの話題でいつも盛り上がっていた。
バディーは、手紙を読むと適当に思いついた返事を書いた。
「それなら、水着姿で、浮き輪を持ち歩いていれば、大丈夫だよ」
その手紙を書いてしばらく経ったある日、ラジオであのニューヨークで有名なデュークが水着姿で乗船という話題が出てきた。
冗談で書いたのに。
バディーはやっぱり気が狂ってると思った。
ある日、カポネに仕えている白い服の使用人が何かの爆発に巻き込まれたかのように、服はススだらけ頭はボンバーヘッドになっていた。
「アンタッチャブルめ、ついにやり出したか」
カポネがそう言った。
「アンタッチャブル?」
「えぇ、前から私の命を狙う人達がいたの、知ってるでしょ。その人達が、警察に話して私を犯人にしたてあげたみたいなの。その警察が作った組織が、アンタッチャブル」
「警察が相手って、厄介だね」
バディーは、またニューヨークに行くのか聞いた。
答えは、いけないとの答えだった。
世界恐慌のせいで、これ以上移動したりしたら経営できないからだ。
また、同じタイミングでルイから連絡が入った。
なんでも「町のギャング達に演奏者として人気があるため狙われている、助けてほしい」という話だった。
バディーは、カポネに話してみると、
ルイに白服の使用人送るという話になった。
カポネが言うには、使用人と一緒に海外に逃げれば大丈夫だ、ということだった。
そして、ある日のこと、カポネに部屋へ呼ばれた。
「バディー。あなたもこの場所から離れた方がいいわ」
バディーは、カポネの指示に従って長いこと生活していた、建物を出た。
バディーは空を見上げて、不吉に黒い雲に恐怖した。
これからどうなるのだろうか?