表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

「「グッド・ナイト、エンター・トレイナー(四十九日物語から)」

カン、カン、カン。

鉄製の階段を古びた独特の音を立てながら登っていると、

その横を聞き慣れない、足音が私の横をすり抜けていった。

どうやら、いつも私より先にきている金髪の女性が、送れてきたようだ。

ドアを勢いよく開け入った金髪の女性に遅れて、

私はゆっくりとお店にはいると、部屋の奥にある席へ向かった。

私がいつも座るお気に入りの席。

理由は、読んでいる本を取るのに楽なためだ。

すぐ横の本棚から一冊、手に取った。

「四十九日物語」と書かれた紅いそれは、

私がここに来るようになったきっかけの本。

本を開いたとき、店のマスターが、メニューを差し出してきた。

私はメニューから「ココア」という文字を見つけると、それをゆびした。

マスターは、黙ってうなずくとそのままメニューを受け取って戻っていた。

マスターは相も変わらず、無口だ。

まぁ、私も人の事を言えない方だが・・・。

読んでいる最中に、ココアを持ってこられると興ざめするため、しばらくの待つことにした。

店内を見回すと、先ほどの金髪の女性はカウンター席の方で、

隣の男性にもたれ、はしゃいでいる。

仲がいいようではあるが、男性は遠慮がちな動きが見られた。

いつもの事ではあるが、普通ああいうタイプの女性に、いつのまにかなれるものじゃないか?

あの男性は何を遠慮しているのだろうか?

まぁ、どちらにしても私には、あの手の女性は、苦手だ。

私が女性とここで過ごすなら、黒髪で清楚な和服の似合う女性が何よりも素晴らしい。

そんな女性となら、私のおごりでお茶をしたい!

・・・まぁ、いつかは出会いたいものだ。

私が、物思いにふけっていると鼻先を甘いカカオの香りがくすぐった。

机の上に、注文したココアが置かれていた。

ココアを持ってきたマスターは、黙ったまま会釈すると、

そのまま基いた場所へと戻っていった。

私は、ココアに口をつけた。

独特の甘みが口の中に広がる。

さて本を読む事にしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ