プロローグ
駄文ですが、よろしくお願いします
「犯罪に理由なんていらないよ。」
かつての友人が、銃をこちらへ向け、今、私の目の前にいた。
どうしてこうなったのだろう。私は、彼の事を友人として大切に思っていたし、彼自身もきっとそうだった。その疑問が顔に出ていたのだろうか、かつて友人だった男は答える。
「何、君と一緒さ・・・私は、君に恨みなんて持ってないし、今でさえ友人だと思っている。この言葉に嘘偽りはないよ」
何が楽しいのか、心底楽しそうに言う
よく見知った顔でありながら、自分が一度も見たことのないような、不気味で邪悪な顔。正直、こいつは他人の空似だと言われたほうが納得出来る。私の知っている彼は、こんな顔をしないし、こんな事を言ったりもしない。
「まるで私が私でないとでも言いたいのかな?」
かなり腹が立つ。まるで自分の事を見透かしたかのように受け答えするこいつが・・・
だがそんな怒りをぶつけている場合じゃなかった。彼はこちらへ拳銃を向け、いつでも私の命を奪える状態にある。
自殺願望があったりするならば、ここで文句を言って殺されてもいいのだろうが、あいにくそんなものなど私にはなく、結局のところどんな言葉が彼を刺激するかわからない以上、何もしゃべることができず私は沈黙してしまっていた。
「はぁ、何か言えよ・・・これじゃあ独り言を言っているのと何も変わらないじゃないか。」
本当に私の心を読んでいるのだろうか。
このまま黙っていることすらも、相手を刺激することになってしまうだろう。だから何かを言わなければいけない。
「その拳銃を下げてくれなきゃ、おちついて話もできない。できれば下げてくれると嬉しいのだが。」
「そんなことをしたら、むしろ私のほうが命取りだろう。君の格闘術の強さくらいしっている。」
「拳銃なんだから、わざわざこんな近くにいる必要もないんじゃないのか?」
若干の皮肉を込めてそう言う。
彼は、拳銃と言う名の飛び道具を持っているのにも関わらず、何故か私の近くにいる。そこに大きな意味でもあるのだろうか考えていると、すぐさま答えは帰ってきた。そしてその内容は、極々簡単なものだった。
「私はね、この手の飛び道具を持つのは初めてでね。射的と呼ばれるものすら確実に命中させられないんだ。なら近くによるしかないじゃないか。」
その初めては、別に欲しくないと思いながら、これからどうするか考える。彼と私の間は、2メートルほど。約1、2歩程度で間合いは詰められる。しかしながら、私が間合いを詰めるのよりも彼が引き金を引く速度のほうが、絶対に早いだろう。
あいにくと格闘術が強いと言っても、私自信は超能力を持っているわけでもないため、この距離は絶望的だ。
「いったいどういうつもりなんだ・・・。俺が何をしたと?」
自分のありのままの言葉をぶつける。
この胸に去来するのは、怒りかそれとも悲しみか。言いようのない気持ち
だが、そんな気持ちをあざ笑うかのように、馬鹿にしたかのように彼は言う。
「最初に言ったろう?犯罪に理由なんていらないって。怒りなんて何もないさ。不満だってね・・・」
時間が止まったかと思った。
結局のところ、彼にとって自分のことなど、生きていようが生きていまいが関係ないと言ってるようなものだ。
「い・・・いったいなにがし、したいん・・・だ。」
涙で前が見えない。
「犯罪に理由なんていらない。我々人間は、理由もなく犯罪者というものになれるのさ。まあいうなれば、これは娯楽なんだよ。いつもの君と私のやってることと変わらないよ。」
「なっ・・・・」
「人間というものは、簡単に犯罪をおかせれる。倫理だと?法律だと?そんなもの後付けにすぎないだろう?そもそも明確たる正義というものがない時点で、本質的な悪なんて存在しないのだからね」
まったくもって自分が馬鹿だったようだ。彼を友人だと思ったことがあったなんて。
「泣かないでくれよ。私にとって君は最高の友達なのさ。それになんら変わりはない。」
恐らく、その言葉は本心だろう。だからこそ思った。
狂っている・・・素直にそう思った。
今まで一緒に過ごしていたけど、狂っているなんて思ったことがなかった。しかし目の前の光景を見ればわかる通り、これが現実だった。
「きっと君は、私が狂っていると思うだろうね。そのとおり、私という人間は狂っている。君と一緒さ。」
「一緒にするな!」
半ば反射的にそう答える。
「類は友を呼ぶ。そう言うだろ?なら君は私と同じ、奇人変人の類だよ。君という人間は、酷く歪んでいる。あぁ、一目見た限りじゃあそんなふうには見えないがね。私の眼は騙せない。君が狂っていなければ、私と友達などになれないよ。」
彼には友人と呼べる存在が、私しか居なかったし。私にも真の意味で友人として呼べる存在は彼氏か居なかった。
「さあ、どうする?これから・・・・・楽しませてくれよ。我が友よ。」