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吾輩と女神

女神と主人公の話

 元いた世界から異世界『日本』へ転生してからも、なんだかんだと女神との親交は途絶える事が無かった。

 むしろ元の世界の時より、異世界で猫に転生してからの方が忙しないくらいだった。

 元の世界では極々稀に、どうにもならないピンチの時しか手を貸さなかったくせに、異世界に猫に転生した途端に監督責任などと抜かして『監視』を理由に飼い主の居ぬ間にだらしない顔をしながら俺を眺めに来ている。

 あまりの鬱陶しさにお前も猫を飼えばいいじゃないかと女神に提案したが

 「猫こんなに好きなのに、酷い猫アレルギーで飼えないの!」

 と心底悔しそうにしていた。

 女神もああ見えて万能じゃないらしい。


 実のところ、異世界に猫として転生するのは、元はこの女神が上司の神様から賞与として貰ったもので、女神が女神業を引退する時に使うつもりだったらしい。

 元の世界で俺と交渉する時に女神本人は奮発して自分の虎の子を差し出したつもりが、最初の俺の反応を見て、心底恥ずかしかったと述べていた。

 俺も最初はふざけた話だと思ったが、異世界に猫として転生したら思っていた以上に最高だったので女神の気持ちが心底よくわかった。

 女神も俺も調停や為政のしんどさを分かっていたので、猫になって仕事もせず何も考えもせず衣食住に事欠かぬ苦労のない生活のありがたみを理解し合った。


 結局女神は自分が使うはずだった賞与を俺に譲ってしまう羽目になったので、当時はしばらく涙で枕を濡らしていたらしい。

 猫になった俺が、女神に引退後はどうするのかと尋ねると、女神はエナジードリンクを飲みつつ、同じ賞与(異世界『日本』で猫に転生)は貰えない事を前置きし、やおら興奮しながら

 「推しカプの部屋の壁になる!」

 と訳の分からない事を言っていた。

 目の前で目の焦点が合わず瞳孔を開きながら鼻息を荒くしている女神を見ながら、俺は『労働』と言うものは非常に心身にすこぶる良くないとつくづく思うのだった。

 

 余談ではあるが、女神は三毛猫として生まれ変わる予定だったので三毛猫のボディを用意していた。

 しかし代わりにそのボディを俺が使う事になった為、珍しいオスの三毛猫としてして異世界『日本』に俺は転生する事となった。

人間に生まれ変わるより、金持ちの家の猫になって終生大切に飼われる方が幸せだと思いません?


多分そのうち魔王出てくるかもしれません。

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