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異世界建築録 ~YouTube知識で村を直したら、追放薬師と出会い王都をざまぁしました~  作者: 転々丸
第1章 村を要塞化

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第9話 命延び草と、防衛の設計図

挿絵(By みてみん)


朝もやに煙る山あいの村。

まだ日も昇り切らぬ時間、

静けさを裂くように響いたのは、軋む荷車の音だった。


――ギィ…ギィ…


乾いた音が、まるで警鐘のように俺の耳を打つ。

耳が研ぎ澄まされているのだ。

今や俺はこの村の唯一の防衛線、

いや、それすらまだ構築すらできていない。


(……敵の偵察か?)


直感が告げる。

俺の中にあるYouTube知識のデータベースが自動で動き出す。


特に「辺境戦術・村落防衛入門」シリーズは昨晩復習したばかりだ。

荷車の音から距離、積載量、速度を自動的に推定していく。


荷車の主が現れた時には、

すでに脳内では十数通りの想定シナリオが出来上がっていた。


「おはようさん。元気にしてるかい、村人さんたち」


笑みを浮かべていたのは、旅の行商人だった。


日に焼けた顔に不自然なまでの愛想笑い。

荷車にはいくつかの袋と木箱、

そして目立つように並べられた束の草

――薄緑の葉が特徴的なアニマ草が見える。


(まさか……!)


「それ……」


「おや、これは見目麗しいお嬢さん。見る目がある。

これはな、王都の南で採れたばかりの貴重な草でしてね。

アニマ草――いや、通称『命延び草』と呼ばれてる代物だ」


「命延び草……?」と、近くにいた老婆が呟く。

噂は一瞬で広まる。


しかし――


「やめなさい! その草はまだ毒よ!

それに、この時期に採れるわけないわ!」


エレナの鋭い声が響いた。

彼女の手には手製の診断石が握られている。

魔力の波長を読み取る、簡易鑑定道具だ。

淡く赤く光っている。


だが、行商人は動じない。にやりと口元を歪めて言った。


「お嬢さん、思い違いじゃないかい?

王都の騎士団はこの草のために村一つ焼き払うこともあるんだぜ? 

俺はそれを教えてやってるのさ。なあ、感謝してくれよ」


場の空気が凍りついた。


俺は反射的に草の束に手を伸ばし、袋ごと奪い取った。


行商人が一歩前に出ようとした瞬間

俺は腰の釘抜きで地面に一直線を引く。


「……行商人。忠告は受け取った。だが、この村は焼かせない」


「はあ? 何を言って――」


言葉の続きを遮って、俺は村の中心に立つ木の台の上に上がる。

村人たちが集まり始めていた。


「聞いてくれ! この草は危険だ。

そして、王都がこの草を機密事項として扱っているのは事実だ。

だが、それ以上に重要なのは――」


視界に透過型の設計図が現れる。


【建築スキル:測量 発動】

【地形解析:防御適性 F(極めて脆弱)】


やはり、最悪の評価。だが、それも想定内だ。


「この村は、すでに王都の目に留まった。

黙っていれば、見逃してもらえる? 

甘い! アニマ草がある限り、この村は“戦略拠点”だ」


ざわつく村人たち。だが、もう迷っている時間はない。


「エレナ、ラウル。今日からこの村を『工事現場』にする。

王都が手出しできない、要塞に作り変えるんだ」


ラウルが目を見開き、言葉を飲み込む。

エレナは一瞬迷いを見せたが、すぐに小さく頷いた。


【プロジェクト:要塞村アルクス 承認】

【ステータス変動:カリスマ+20】【技術職スキル熟練度+15%】


俺の背後で、ステータス画面が激しく明滅する。


「やることは山ほどある。まず、北東の斜面に土塁を作る。

木材の確保はラウルに任せた。

エレナ、村の女性たちと協力して

毒抜き済みのアニマ草を回収しておいてくれ」


エレナが目を見張る。「回収してどうするの?」


「使いようによっては、立派な資源になる。

王都が欲しがるのも、それだけの価値があるからだ。

俺たちが先に利用する。それだけだ」


「……了解したわ」


行商人は、言葉を失っていた。

俺たちが脅しに屈すると思っていたのだろう。

だが、村を守るためには、

脅しには脅し以上の「現実」で対抗しなければならない。


(……防御適性Fの村? いいだろう。FからSまで引き上げてやる)


かくして、アニマ草を巡る静かな戦争が幕を開けた。


俺たちの村は今、要塞となるための第一歩を踏み出したのだ。


ご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

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