第8話 森の祠と、黄金の地の昔話
翌朝、ラウルが「少し見せたいものがある」と言った。
まだ朝もやが残る村の道を抜け、俺たちは森へと分け入った。
「祠だよ。……この村じゃ、一番大事な場所なんだ」
ラウルはそう言って、森の奥へ俺を導いた。
そこには、苔むした石段と、石で組まれた質素な社が佇んでいた。
木々の間から差す光が、祠の中を淡く照らしている。
近づくと、そこには草を編んだ輪が祀られていた。
細い茎を幾重にも編み込み、放射状に広がった形は、
まるで小さな太陽のようだった。
「これはアニマ草で編んであるんだ。」
編むことによって神聖な輪となり、ここで人々の祈りを受けている。」
「ねえ、聞きたい?」
祠の前に座っていた子どもが、ぱっと顔を上げて言った。
ラウルが微笑み、俺に目配せをする。
どうやら村では、この祠で昔話を語るのが習わしらしい。
「むかしむかし、
この国にはまだ王都もなくて、人々は病や飢えに苦しんでいました。
そのとき、一人のお姫様が現れたのです。
お姫様は病で倒れてしまい、長くは生きられませんでした。
でもね、黄金に光る草を見つけて、首飾りに編んだの。
それをつけると少し元気になって、
まわりの人たちにも草を分けてあげたんだって」
子どもの声は、澄んだ朝の空気に溶けていった。
祠の中の草輪が揺れ、ほんのりと光を返す。
(……なんだ、この輝きは!?)
枯れているはずの草が、まるで太陽を閉じ込めたように光を放っている。
【通知:未知の生体エネルギーを検知】
【分析:アニマ草(乾燥状態)。特定の波長で共鳴中】
「お姫様は言ったんだよ。
『この草は不死の薬じゃない。人を助ける薬なんだ』って。
でも王様たちは、その声を無視して無理やり『延命薬』を作らせたんだ……」
その瞬間、俺の脳内検索が**「歴史の裏側」**を暴き出した。
【YouTube検索:黄金の草の真実……ヒットしました】
【解説:アニマ草:青い時には毒がある。
枯れた草を正しく編むことで毒を浄化し、
癒やしの波動を放つ『建築素材』となる。
王都の製法は無理やり煮出すことで、
草の命そのものを使い捨ての「薬」として搾り取る行為である】
「――そうか。そういうことか!」 俺は叫んだ。
エレナが王都で見た「延命薬」の正体が分かった。
王都の連中は、姫の願いを歪め、
草を無理やり煮だして薬にしていたんだ。
「タカ、どうしたの?」 エレナが不安そうに俺を見る。
「エレナ、王都の延命薬は『未完成』だ。いや、根本的に間違ってる。
……本物は、薬(飲むもの)じゃない。**建物(包むもの)**だったんだよ!」
俺は祠の建築構造をコンベックス(巻尺)で測り、ニヤリと笑った。
「ラウル、村中のアニマ草を集めてくれ。
この祠の構造を応用して、村全体を包む『黄金の防壁』を建てる。
……王都の騎士たちが踏み込んだ瞬間、
自分たちの愚かさを思い知るようなやつをな!」
その時、森の境界線で「鐘」が鳴り響いた。
【警告:王都騎士団・先遣隊12名。村の入り口に到達】
「……来たか。」
俺は腰袋からカッターナイフを引き抜き、建築チートのスイッチを入れた。
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