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異世界建築録 ~YouTube知識で村を直したら、追放薬師と出会い王都をざまぁしました~  作者: 転々丸
王都編

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エピローグ:始まりの風と、帰る場所

王都の再建にようやく目処がつき、

俺たちは一区切りを迎えた。


数週間ぶりの自由な時間を手にした俺、タカと

隣にいるエレナは――

いつものあの《魔導トラック》を走らせていた。


目指すは、懐かしき我が故郷。


峠を越えたその瞬間、目の前に広がったのは――

かつての貧しく小さな村では、なかった。


「……見て、タカ! 私たちの村よ!」


エレナの弾んだ声に、思わず俺も目を細める。


そこにあったのは、俺が設計し

ラウルたちが守り抜いた《要塞村》。


それが、さらに強く、美しく進化して

堂々とそびえていたのだ。


「タカ! エレナ! 帰ってくると信じてたぞ!」


村の入り口では、ラウルが誰よりも早く

俺たちを見つけ、大きく手を振っていた。


村に足を踏み入れると、ガストンをはじめ、

懐かしい顔ぶれが総出で出迎えてくれる。


かつて裏切りかけたガストンも

今や村の防衛の要として生きていた。


照れくさそうに頭を下げながら、ぽつりと語る。


「タカさん……あんたが教えてくれた《基礎の積み方》

毎日みんなで守ってる。……もう、この村は、揺るがねえよ」


――その言葉に、俺は何も返せなかった。

ただ、胸の奥が温かくなるのを感じていた。


村の中央には、俺が最初に作った《排熱炉》が

今では村全体を支える巨大な《生活の心臓》となり

穏やかな煙を立ち上らせていた。


王都の激闘を越えた今

俺たちが帰ってきたこの場所は、決して華やかではない。


だが、どこよりも「正しく」構築され

そして「深く」愛されている。


その夜――


村では盛大な宴が開かれた。


黄金のアニマ草から作られた

王都の高級酒なんて、ここにはない。


だが、湧き水で煮込まれたスープと

村の皆で収穫した野菜の味は――

どんな王宮の晩餐より、何倍も美味かった。


◆ ◆ ◆


そして、静かな朝。


俺は使い慣れた道具を手入れし

エレナは庭で薬草を摘んでいた。


穏やかな、何でもない、けれど大切な時間。


……だが、その静けさを破るように

村の入り口に異変が起きた。


空を裂くような、鋭く、それでいて清らかな羽音。

子どもたちが歓声を上げ、大人たちは一瞬、言葉を失う。


そして現れたのは――


朝日を反射して金色に輝く、小さな竜だった。


「……竜?」


大きさは大型犬ほど。

けれど、その琥珀色の瞳には

人間以上の知性と意思の光が宿っていた。


次の瞬間、俺とエレナの脳内に、はっきりとした声が響く。


『……タカ、エレナ。あなたたちに、頼みたいことがある』


「しゃ、喋った……!? 今のって、竜の声か!?」


俺が声を上げると、小竜は優雅に首をかしげた。


『私はティオ。

 隣国《砂漠の王国アグニバール》の王妃の使いです』


その言葉を聞いた瞬間

俺の中にあった熱が、すっと静まった。


「……悪いが、断る。伝えてくれ。

 俺たちは――ここを選んだってな」


ティオは、少しの間だけ

何かを感じ取るように黙っていたが、


やがて一度だけ大きく翼を広げ、空へと溶けていった。


何も、残さずに。


「……行かないのね」


「――ああ。今はここで、やるべきことがあるからな」


膝の上ではルナが丸くなり、

ホーは風の流れを読むのをやめ、眠りに落ちている。


村の灯りが、微かに揺れていた。


俺は巻尺を手の中で鳴らし、屋根を見上げる。


――カチリ。


測るべき場所は、もう、目の前にあった。


「……よし。直すぞ」


暮らしは、これからも続いていく。


そして――この村と共に、俺たちもまた。


最後までご覧頂き、ありがとうございましたm(_ _)m

タカとエレナのお話しを

気に入って頂ければ幸いです。


「黄龍の診療所 ― 世界を診る気導士、龍界で開業中」

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2947527/

連載中です。

ご覧頂けると、嬉しいです。

よろしくお願いしますm(_ _)m


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