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異世界建築録 ~YouTube知識で村を直したら、追放薬師と出会い王都をざまぁしました~  作者: 転々丸
王都編

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第21話 崩壊の広場と、孤高の魔導建築士

「第八地区だと!?

 あそこは一般市民が最も多く住む居住区だぞ!」


カスピエルの叫び声と同時に、

俺はすでに腰袋のベルトを締め直していた。


「ルナ、案内しろ! 最短ルートだ!」


「ふん、言われなくても分かってるわよ!

落ちたくなければしっかりついてきなさいよね!」


ルナが壁の配管を軽々と飛び移り、

ホーが上空から気流を読んでナビゲートする。


俺とエレナは、王都の屋根裏や排気ダクトを駆け抜け、現場へと急行した。


辿り着いた第八地区の中央広場は、まさに地獄絵図だった。


広場の中心が巨大なクレーターのように陥没し、

周囲の商店や家屋が今にも奈落へと滑り落ちようとしている。


「下がれ! 術式を維持しろ! 魔力を注ぎ込み続けろ!」


広場の縁で、十数人の魔導師たちを指揮する一人の男がいた。


白銀のローブを纏い、手には定規のような形をした巨大な杖。


彼こそが、王都の建築を司る

エリート集団の長――魔導建築士・ゼノスだった。


「ゼノス様! 浮遊石の反応が止まりません! 術式が弾かれます!」


「黙れ! 構造が崩れるなら、魔力の結界で固めてしまえばいい!

  重力固定魔法、最大出力ッ!」


ゼノスが杖を突き立てると、崩落しかけている地面が

強引な魔法の力で「静止」する。


だが、それは解決ではなかった。


俺の目には、魔法の圧力に耐えかねた周囲の石材が、

内側から粉々に砕け散ろうとしているのが見えた。


【建築スキル:構造診断(非常事態モード)発動】

【警告:過剰な固定魔力による「脆性破壊」が発生します。

    あと60秒で広場全体が粉砕・墜落します】


「やめろ! そんなガチガチに固めたら、土台ごと爆発するぞ!」


俺の声に、ゼノスが鋭い視線を向けた。


「……何奴だ。野良の大工か?

貴様に魔導建築の神髄が分かってたまるか。

強固さこそが、空にあるこの街の絶対正義だ!」


「正義で街が救えるかよ! 引っ込んでろ!」


俺はゼノスを突き飛ばし、

崩落の「支点」となっている巨大なアーチ状の梁へと駆け寄った。


「エレナ! 触媒をくれ! 地面を固めるんじゃない、

この梁の『継ぎ目』を少しだけ溶かせ!」


「溶かすの!? 崩れちゃうわ!」


「いいからやれ! 遊び(クリアランス)を作るんだ!」


エレナの魔法で石材の継ぎ目が一瞬緩んだ隙に

俺は手元のジャッキを梁の隙間に叩き込んだ。


「ルナ、右の支柱の亀裂にこれ(補強楔)を突っ込め!

ホー、上から荷重の逃げ道を教えろ!」


「もーっ、人使いが荒いわね!」


「ホッ!(北北西、三度!)」


俺はハンマーを振り抜き

魔法でガチガチに固まった構造の一部をあえて「破壊」した。


ガゴォォォン!!


「何をする、この狂人め! 街を落とす気か!」


ゼノスが激昂するが、

次の瞬間、広場を揺らしていた不気味な震動がピタリと止まった。


強固に固めるのではなく、あえて一部を逃がすことで

集中していた巨大な圧力を周囲の健全な構造へと分散させたのだ。


「柔構造」による応力分散。


魔法文明には存在しない、物理学の勝利だった。


「……震動が、止まった……?」

ゼノスが呆然と立ち尽くす。


崩落しかけていた広場は、歪な形ながらも、

自立した構造体として安定を取り戻していた。


俺は肩で息をしながら、ゼノスを指差した。


「……あんた、魔法の腕は確かだが、石の気持ちを全く分かってねえな」


「石の……気持ちだと?」


「石はな、押さえつけられすぎると、いつか爆発しちまうんだ。

大工なら、石がどうやって支え合いたいか、触れば分かるはずだぜ」


ゼノスは屈辱に震えながらも、

目の前で起きた「奇跡のリフォーム」から目を逸らすことができなかった。


「……貴様、名は。

 王都の魔導建築に、物理で喧嘩を売った男の名を教えろ」


「ただの街の大工……タカだ。覚えなくていいぜ。

これからこの街の欠陥、全部叩き直して回るからな」


ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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