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異世界建築録 ~YouTube知識で村を直したら、追放薬師と出会い王都をざまぁしました~  作者: 転々丸
王都編

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第19話 正門の再会と、師匠の「目」




挿絵(By みてみん)


王都の門前は、検問を待つ人々で長蛇の列ができていた。


「……あれを通り抜けるのは、今の私たちには無理よ」

エレナがフードを深く被り、声を潜める。


門の横に据えられた鏡のような魔導器が、

通過する一人ひとりの「魔力の残り香」を

分析して、赤や青に発光していた。


黄金のアマニ草に触れた俺たちの波長を測られれば、

即座に「重要指名手配犯」として騎士団に囲まれるだろう。


(さて、どう潜り込む……。地下水道の構造を調べるか?)

俺が周囲の地形を測量しようとした、その時だ。


「……ホッ」 乾いた短い声。


人混みを縫うようにして、一羽の灰色のフクロウ――

ホーが俺たちの荷車の屋根に舞い降りた。


その足首には、エレナが持っていたものと同じ、

紫色の糸で編まれた紐が結ばれている。


「……師匠の、使い魔!?」

エレナが息を呑む。ホーは丸い目で俺たちを見据えると、

口に咥えていた一通の小さな紙片を落とした。


紙には師匠カスピエルからの指示が記されている。


「行くぞ。師匠を信じよう」 俺たちは指示通り、

荷車を引いて列を外れた。


門の左端、巨大な歯車と蒸気パイプが露出した、

無機質な鉄の扉の前へと向かう。


「ちょっと! どんだけノロマなのよ。

衛兵に見つかるかと思ったじゃない!」


足元から響いた甲高い声。


見ると、艶やかな黒毛の猫――

ルナが、尻尾を不機嫌そうに振りながら俺を睨みつけていた。


「……猫が喋った!?」


「猫じゃないわよ、使い魔のルナ様よ!

ほら、ボサッとしてないでホーの合図でさっさと入りなさいよね!」


ルナはぷいっと顔を背けつつも、

ホーが魔法錠を解錠する音に合わせて、

俺のズボンの裾をグイッと引っ張った。


「……待て、貴様ら! そこは一般人の立ち入りは――」

異変に気づいた衛兵が駆け寄ってくる。


だがその瞬間、俺の視界に【建築スキル:ダクト迷彩】が発動した。


俺は腰袋から霧吹きを取り出し、

排熱パイプの熱と外部の冷気を計算して

扉の前に一瞬で濃い霧のカーテンを作り出した。


「なっ、なんだこの霧は!? 視界が……!」 「


ふん、やるじゃない。あんた、ただの大工じゃないみたいね。

……ついてきなさい!」


ルナの案内で、俺たちは滑り込むように裏通路へと入り込んだ。


扉が閉まった瞬間、外の喧騒が消え、

重厚な石造りの壁の冷たさが全身を包む。


長い通路の先。

そこには、無数の試験管と古い図面、

そして巨大な「アルクス炉」の試作機が並ぶ、

広大な研究室が広がっていた。


「……よく来たな、エレナ。

そして、王都の物理法則を笑い飛ばす若き棟梁よ」


部屋の奥、山積みの書物に埋もれるようにして座っていた老人が、

眼鏡の奥で瞳を鋭く光らせた。


エレナの師匠、カスピエル。


俺は部屋を見渡し、すぐに口を開いた。


「……挨拶の前に、ひとついいか、じいさん」


「ほう、何かな?」


「この部屋のはり、歪んでるぞ。

重力魔法の使いすぎで、建物の基礎そのものが悲鳴を上げてる」


ルナが俺の膝に飛び乗り、丸くなる。


「ふん、あんた、少しは見る目があるじゃない。

……でも、私の昼寝場所をリフォームするまでは

認めてあげないんだから!」


カスピエルは一瞬目を見開き、そして愉快そうに笑い声を上げた。

「ルナの信頼を得るとは、大工殿、お主やはりただ者ではないな」



ご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

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