表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界建築録 ~YouTube知識で村を直したら、追放薬師と出会い王都をざまぁしました~  作者: 転々丸
激突

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/27

第16話 鴉(カラス)の暗躍、大工の罠



ガストンがへたり込んだ泥の中で震えている。


村人たちの歓声はまだ遠く、俺とラウル、そしてエレナだけが、

この裏切りの事実と直面していた。


「……タカ、ガストンは?」

エレナが震える声で尋ねる。


「『鴉』に利用された。

炉を壊すように仕向けられてたが、無事だ」


俺の返答に、エレナは安堵の息を漏らしたが、

ラウルの表情は硬い。


「……しかし、村の人間が王都に通じていたとはな」


その時だった。


「ご忠告、感謝しますよ、大工さん」

空気を切り裂くような冷たい声が、排熱ダクトの影から響いた。


ヌッと姿を現したのは、黒衣を纏った細身の男。


顔の半分を布で隠し、フードを目深に被っているが、

鋭く光る瞳の奥には、冷酷な知性が宿っている。 ――密偵『鴉』。


「まさか、貴殿が私の『捨て駒』の真意を見破るとはね。見事だ」


鴉はゆっくりと歩み寄る。

その足音はほとんどなく、まるで影が移動しているようだ。


「王都は貴殿のような『イレギュラー』を最も嫌う。

魔法文明の秩序を乱す、得体の知れない“構造”の使い手だからな」


鴉の右手が、スッと上を指した。


次の瞬間、俺たちの頭上を覆うダクトの接合部から、

**キィン!**と鋭い金属音が響く。


鴉が仕込んでいた、高周波音波発生装置だ。


【警告:音波攻撃を確認。聴覚・平衡感覚への干渉開始】


脳を直接揺さぶられるような激痛。


視界が歪み、俺は思わず膝をついた。


ラウルも剣を杖にしてどうにか立っているが、

エレナは顔を蒼白にして耳を塞いでいる。


「残念だな、大工さん。貴殿の『構造』は素晴らしい。

だが、その肝心な頭脳が機能停止すれば、ただの凡人だ」


鴉はわらいながら、俺にゆっくりと近づいてくる。

その手には、刃が二つに分かれた奇妙な短剣が握られていた。


「タカっ!」


ラウルが叫び、必死に剣を構えようとするが、

音波のせいで体が言うことを聞かない。


(くそっ……! この音波、

ダクトの構造を振動させて増幅してるのか!?)


俺の脳内では、

システムが音波発生源とダクトの共鳴周波数を解析している。


【分析:ダクトの金属疲労度、共振点……割り出し完了】


「終わりだ、大工。

貴殿の命と、その『構造』は、王都が回収させてもらう」


鴉が短剣を振り上げた。エレナが悲鳴をあげる。


「残念だったな、鴉」

俺は膝をついたまま、ニヤリと笑った。


「俺の『構造』は、そんな簡単に止まらねえ」


鴉が眉をひそめたその瞬間。

俺は懐から取り出した小さな鉛の塊を、ダクトの特定の接続部に、

渾身の力で叩き込んだ。


ゴツン!


鉛が変形し、ダクトの共振点を完全に潰した。


次の瞬間、キィィン!という耳鳴りがピタリと止む。


「……な!?」


【警告:音波攻撃、無力化完了】

【建築スキル:共振抑制(制振ダンパー)発動】


音波が止まったことで、俺たちの平衡感覚が一気に戻る。


ラウルがうなり声を上げ、鴉に斬りかかった。


「この野郎っ!」


鴉は素早く身を翻し、ラウルの剣撃を紙一重でかわす。


だが、その体勢は崩れた。 俺は待っていた。


「ここがお前の『死角』だ、鴉!」


俺は地面の特定のポイントを足で強く踏み込んだ。


【トラップ:埋設式拘束ネット(ワイヤー式)発動】


ギチギチッ!


俺が仕掛けていたのは、ダクト工事の際に余った細いワイヤーと、

排熱ダクトの支柱を応用した**「簡易足枷トラップ」**だ。


鴉がいた場所の地面から、細いワイヤーが網のように飛び出し、

鴉の両足を絡め取った。


「ぐっ……! こんな、馬鹿な!」

体勢を崩した鴉は、地面に強く叩きつけられる。


その拍子に、フードがずれ、隠された顔の半分が露わになった。

そこには、王都の貴族がつける**「片翼の鴉」**の紋様が、

薄く刻み込まれていた。


「王都の貴族が、こんな辺境の村で密偵か。ご苦労なことだ」

俺はハンマーを肩に担ぎ、倒れた鴉を見下ろした。


「ラウル、縛れ。

エレナ、鴉の通信石を回収して、魔力反応を解析してくれ」


村の片隅で、静かに繰り広げられた密偵との死闘。

この勝利は、村人たちの「裏切り」の不安を打ち消し、

新たな信頼の礎となるだろう。


要塞村アルラ。

内なる敵をも制圧し、その構造はさらに強固なものへと進化していく。

ご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ