第35話:炎上騒動と、「名古屋コーチン」のように固まる絆(後編) (Day 112-115)
<ココロの日記>
9月24日 (Day 112)。
ユウタお兄ちゃんの動画が、たくさんの人に届いた。
温かいコメントが、私を包み込んでくれる。
もう、怖くない。
私の心は、名古屋コーチンみたいに、強くなれる。
この旅は、私にとって、最高の宝物。
ユウタ視点とココロ視点を交互
「ココロ、批判の声に、負けるな!」
俺はハンドルを握りながら、隣のココロに声をかけた。
昨日の夜、俺がアップロードした反論動画は、瞬く間に拡散された。
コメント欄は、批判の声よりも、俺たちを応援する声で埋め尽くされている。
「ユウタくん、よく言った!」「ココロちゃん、元気出して!」「二人に花火見せてあげたかったなあ、いつか行こうね!」
俺たちのファンは、本当に温かい。
「……でも。」
ココロは、まだ不安そうに俯いている。
無理もない。一度心を閉ざした人間が、すぐに立ち直れるわけがない。
だけど、俺は信じている。ココロは、必ず乗り越えられる。
「俺たちが、間違ってないってこと、証明してやろうぜ!」
俺がそう言うと、ココロはゆっくりと顔を上げた。
その瞳は、まだ揺れているが、その奥に、微かな光が宿っているのを感じた。
「……どうやって?」
か細い声だったが、それは、前向きな問いかけだった。
よし、このチャンスを逃すわけにはいかない。
俺たちは、名古屋市内の老舗料亭へと向かった。
今回の旅の最大の目的の一つ、名古屋コーチンを味わうためだ。
高級感あふれる店構えに、ココロは少し怯えているようだったが、俺が「大丈夫だ、俺がついてる」と手を握ると、安心したように店内へ入っていった。
ユウタ視点
席に着くと、目の前には、見事な名古屋コーチンを使った料理が並べられた。
香ばしい匂い。艶やかな照り。
まずは、名古屋コーチンの刺身だ。
新鮮な鶏肉の、プリッとした食感。噛むほどに広がる、濃厚な旨み。
「うめぇぇぇぇぇ!」
思わず叫んだ。
「ココロ、お前も食ってみろよ。これ、マジでヤバいから!」
俺が促すと、ココロは恐る恐る刺身を一口食べる。
その瞳が、大きく見開かれた。
「……美味しい。」
か細い声だったが、その表情は、感動に満ちていた。
その瞬間、俺は、ココロの心の中で、何かが音を立てて弾けたのを感じた。
彼女が、批判の声ではなく、目の前の「美味しい」に集中している。
それが、何よりも嬉しかった。
ココロ視点
目の前にある、名古屋コーチンの料理。
こんなに豪華な料理を、食べたことがない。
ユウタお兄ちゃんが、美味しそうに食べている。
私も一つ、口に運んだ。
プリッとした食感。濃厚な旨み。
涙が、自然と溢れ出した。
こんなに美味しいものを、もっとたくさんの人に伝えたい。
そう思ったら、私の心の中で、何かが、温かく広がるのを感じた。
この旅は、私にたくさんのことを教えてくれた。
人との繋がり。温かさ。
そして、自分の「好き」を表現することの喜び。
SNSの光と影。
批判の声は、まだ怖い。
でも、ユウタお兄ちゃんが、いつも隣にいてくれる。
そして、たくさんの人が、私を応援してくれている。
名古屋コーチンは、私に、温かさと、芯のある強さを与えてくれた。
私の心は、もう、折れない。
ユウタ視点
名古屋コーチンを堪能した後、俺たちは旅館に戻った。
ココロは、疲れて眠ってしまったようだ。
簡易ベッドで眠るココロの無防備な姿。
俺は、彼女の髪をそっと撫でた。
その柔らかさに、俺の心は満たされる。
炎上騒動という大きな試練を乗り越え、ココロは、一回りも二回りも成長した。
彼女の瞳には、もう、以前のような怯えはない。
「もう、この子を一人にはしない。」
俺は、そう心に決めた。
困難を乗り越えた後の安堵感から、キャンピングカー内で互いに体を預け合うような甘い雰囲気。
疲れて眠るココロの無防備な姿に、俺は愛おしさを感じる。
この旅は、俺とココロの絆を、名古屋コーチンが持つ、あの芯のある強さのように、さらに強固なものにした。
俺たちの旅は、まだまだ続く。
未来に向かって、ひまわり号は走り続ける。
<ユウタのVlog再生画面のコメント欄>
「名古屋コーチン!飯テロ最高!ユウタくん、ココロちゃんを支えてくれてありがとう!」
「ココロちゃん、元気出してくれて嬉しい!これからも応援してるよ!」
「炎上を乗り越える二人、本当にかっこいい!」
「名古屋コーチンみたいに、二人の絆も固まったね!」
<ココロのSNS(X)タイムライン>
**ココロの投稿:**
名古屋コーチン。温かくて、とても美味しかったです。私は、もう、負けない。この旅は、私を強くしてくれる。 #名古屋コーチン #旅 #強くなりたい
**コメント:**
「ココロちゃん、投稿ありがとう!元気出してくれて嬉しい!」
「ココロちゃん、かっこいい!私も頑張る!」
「名古屋コーチン食べたくなった!ココロちゃんの写真、最高!」
「ユウタくんとココロちゃんの絆、永遠に推せる!」
<ココロの心情>
名古屋コーチンは、温かくて、私に強さをくれた。批判の声は、まだ怖いけど、もう、負けない。ユウタお兄ちゃんが、いつも隣にいてくれるから。この旅は、私を、もっと遠い場所へ連れて行ってくれる。
<次回予告>
ユウタ:「ココロ、なんか、旅の途中で懐かしい奴らに会えるらしいぞ!」
ココロ:「……誰?」
ユウタ:「前会った、あの旅仲間たちだよ!」
ココロ:「……嬉しい。」
第36話:旅の仲間たちとの再会と感謝!「ひつまぶし」が繋ぐ縁(前編)




