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第33話:炎上騒動と、「名古屋コーチン」のように固まる絆(前編) (Day 106-108)

<次回予告>

ユウタ:「ココロ、批判の声に、負けるな!」

ココロ:「……でも。」

ユウタ:「俺たちが、間違ってないってこと、証明してやろうぜ!」

ココロ:「……どうやって?」


第34話:炎上騒動と、「名古屋コーチン」のように固まる絆(中編)

<ココロの日記>

9月18日 (Day 106)。

東京を出て、中部地方へ向かってる。

私の写真展は、たくさんの人に見てもらえた。

でも、また、見えない声が聞こえてくる。

怖い。

ユウタお兄ちゃんの、顔も、少しだけ、暗い。


ユウタ視点メイン


「ココロ、なんか最近、Vlogのコメント欄、荒れてるんだけど……」


俺は、軽キャンピングカーのハンドルを握りながら、重い口を開いた。

東京での写真展は大成功だった。ココロの才能は、プロの目にも止まり、ネットニュースにもなった。

俺のVlogも、チャンネル登録者数は飛躍的に伸び、まさに絶好調だった。

だけど、人気が出るにつれて、避けられない「影」の部分が、姿を現し始めた。


「……え?」


ミラー越しにココロを見ると、彼女は不安そうに首を傾げた。

そうだよな。ココロは、SNSのコメント欄なんて、ほとんど見てないだろう。

俺も、彼女には見せたくないと思っていた。


「心ない批判の声が、増えてるんだ。」


俺がそう言うと、ココロの顔から、一気に血の気が引いた。

「……怖い。」

か細い声。その瞳は、恐怖に揺れている。

彼女の顔色は、この旅が始まった頃のように、真っ青になっていく。

SNSでの誹謗中傷。人間関係のトラブル。

ココロが引きこもるきっかけとなった、あの苦い過去が、再び彼女を襲い始めている。


コメント欄は、以前は好意的な声ばかりだったのに。

最近は、一部で心ない批判が増えていた。

「引きこもりを利用している」「やらせだろ、どうせ」

「あんな露出度の高い服を着せて、ユウタが金儲けしてるだけ」

「ココロちゃんのプライベートを探る」といった、悪質なものまで。

俺は、それらのコメントを見るたびに、胸が締め付けられる思いだった。

せっかくココロが、この旅で、少しずつ心を解き放ち、外の世界と繋がり始めたのに。

俺が彼女をVlogのコンテンツにしたせいで、また、彼女を傷つけているんじゃないか?

そんな葛藤が、俺の心の中で渦巻いていた。


「大丈夫だ、ココロ。俺がちゃんと対応するから。お前は、気にしなくていい。」


俺は、努めて明るい声で言った。

だけど、ココロの心は、また、閉ざされ始めているのが分かった。

簡易ベッドに体を丸め、パーカーのフードを深く被り、外の世界を拒絶するようにカーテンを閉め切ってしまった。

この旅が始まった頃の、あのココロに戻ってしまったのか。

俺の責任だ。

俺が、もっと、彼女を守ってやらなければならなかったのに。


夜、サービスエリアの駐車場にひまわり号を停めた。

ココロは、簡易ベッドで、体を震わせている。

炎上騒動でココロが精神的に疲弊しているのが見て取れた。

俺は、彼女の隣にそっと座り、背中を優しく撫でた。

「ココロ、大丈夫だから。俺がついてる。」

ココロは、俺の胸に顔を埋めた。

彼女の華奢な体温。震える体。

俺は、ココロを抱きしめる。

その温かさに、俺の心は満たされるが、同時に、胸が締め付けられる。

この子を、何としてでも守り抜かなければ。

しかし、同時に、「まだ早い、恥ずかしい」というココロ自身の心理的なブレーキが働き、それ以上の進展はない。

(心理的な葛藤と寸止め)


この旅は、俺とココロにとって、試練の時を迎えている。

SNSの光と影。

それに、どう向き合っていくのか。

俺たちの絆が、今、試されている。


<ユウタのVlog再生画面のコメント欄>


「最近ユウタくんの動画、コメント欄が荒れてるね…」

「ココロちゃんのこと、心配してる…」

「一部の心ないコメント、許せない!」

「二人の旅、応援してるから負けないで!」

<ココロのSNS(X)タイムライン>

**ココロの投稿:**

(※この期間、ココロの投稿はありません)

**コメント:**

「ココロちゃん、最近投稿ないけど大丈夫かな?」

「ココロちゃんの写真展、本当に行ったよ!元気出してほしい!」

「ココロちゃんに心ないコメントしてる奴ら、本当に許せない!」

「ココロちゃん、心配してるよ!ユウタくん、ココロちゃんを頼むね!」


<ココロの心情>

また、怖い声が聞こえてくる。ユウタお兄ちゃんは、大丈夫って言ってくれるけど、やっぱり、怖い。私のせいで、ユウタお兄ちゃんのVlogまで、悪く言われてる。私は、また、一人で、殻に閉じこもるしかないのかな。


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