第29話:東北から関東へ!東日本縦断の旅と「宇都宮餃子」の誘惑(後編) (Day 91-95)
<ココロの日記>
9月3日 (Day 91)。
東日本縦断の旅も、もうすぐ終わり。
たくさんの場所を、ユウタお兄ちゃんと一緒に見てきた。
疲れることもあったけど、お兄ちゃんがいつも隣にいてくれたから、大丈夫だった。
宇都宮餃子は、なんだか、旅の終わりを祝ってくれてるみたい。
ユウタ視点とココロ視点を交互
「ふう……、これで東日本縦断もいよいよクライマックスだな!」
俺はハンドルを握りながら、思わず声を上げた。
宇都宮餃子を食い尽くす旅は、予想以上に長引いた。
何十軒もの餃子専門店を巡り、Vlogのネタにした。
ココロも、最初は食レポに戸惑っていたが、今では「この餃子は皮がモチモチ!」「肉汁がすごい!」なんて、積極的にコメントしてくれるようになった。
SNSにアップした餃子の写真も大バズりだ。ココロが社会と再び繋がった象徴。
「……疲れた。」
ミラー越しにココロを見ると、彼女は簡易ベッドで体を丸めている。
無理もない。連日の移動と撮影で、ココロの疲労もピークだろう。
俺も正直、そろそろ限界だ。
「でも、最高の旅だっただろ?次は東京だぜ!」
俺がそう言うと、ココロはわずかに顔を上げた。
「……東京。」
その瞳には、まだ警戒の色が宿っている。
東京は、彼女が引きこもるきっかけとなった場所。
多くの人が行き交う大都市は、ココロにとって、最大の試練となるだろう。
だけど、今のココロなら、きっと乗り越えられる。
その日、俺たちのひまわり号に、まさかのトラブルが発生した。
走行中に、突然、エンジンの調子が悪くなったのだ。
「マジかよ、こんな時に!」
俺は焦って、近くのパーキングエリアに車を停めた。
メカに詳しいわけじゃない。どうしよう。
途方に暮れる俺の隣で、ココロは不安そうに俺の服の裾をぎゅっと握った。
その小さな仕草に、俺は冷静さを取り戻した。
「大丈夫だ、ココロ。きっと、なんとかなる。」
俺は焦る気持ちを抑え、スマホでロードサービスを呼んだ。
待っている間、ココロは俺の肩にもたれかかって眠ってしまった。
その寝顔は、ひどく無防備で、俺は髪をそっと撫でてやった。
こんなトラブルも、二人でなら乗り越えられる。
その絆が、俺たちを強くする。
ココロ視点
軽キャンピングカー『ひまわり号』が、突然、変な音を立てて止まった。
ユウタお兄ちゃんの顔が、真っ青になっている。
「マジかよ、こんな時に!」
彼の焦った声に、私の心臓が、ドクンと大きく鳴った。
どうしよう。
この旅は、終わってしまうのだろうか。
不安で、私は、ユウタお兄ちゃんの服の裾を、ぎゅっと握りしめた。
彼の温かい手の感触が、私を安心させてくれる。
彼が隣にいると、どんな困難も、怖くない。
いつの間にか、彼の肩にもたれかかって、眠ってしまった。
彼の隣にいると、安心できる。
トラブルは、数時間後、ロードサービスのおかげで無事に解決した。
車が再び走り出した時、私は、心からホッとした。
この旅は、まだ、続く。
東日本縦断の旅も、いよいよ終盤だ。
たくさんの景色を見てきた。たくさんの美味しいものを食べてきた。
宇都宮餃子も、何種類食べたか、もう数えきれないくらいだ。
皮がモチモチの餃子。パリパリの餃子。
水餃子も、揚げ餃子も。
どれも、本当に美味しかった。
ユウタお兄ちゃんが、食レポで変な顔をするから、思わず笑ってしまったこともある。
そんな、ささやかな日常が、私にとっては、何よりも大切なものだった。
疲労も、もちろんある。
体の節々が痛い時もある。
でも、ユウタお兄ちゃんが、いつも「ココロ、疲れてないか? 無理しなくていいからな。」と気遣ってくれる。
その優しさが、私を、もっと強くする。
宇都宮の最終日。
最後の晩餐は、もちろん、宇都宮餃子だ。
街の小さな餃子専門店で、熱々の餃子を食べる。
香ばしい匂い。ジューシーな肉汁。
この味を、ユウタお兄ちゃんと一緒に味わえることが、何よりも幸せだった。
この旅は、私に、たくさんの「繋がり」と「優しさ」を教えてくれた。
そして、ユウタお兄ちゃんという、かけがえのない存在を与えてくれた。
私にとって、この旅は、もう、人生そのものになっていた。
<ユウタのVlog再生画面のコメント欄>
「宇都宮餃子制覇お疲れ様!全部美味そうだった!」
「ココロちゃんの食レポ、めっちゃ可愛い!プロだな!」
「旅のトラブルも二人で乗り越えるの尊い!」
「ユウタくんとココロちゃん、見てるだけで幸せになる!」
<ココロのSNS(X)タイムライン>
**ココロの投稿:**
東日本縦断の旅も、いよいよ終盤です。宇都宮餃子、本当に美味しかったです。 #宇都宮餃子 #旅の思い出
**コメント:**
「ココロちゃん、投稿ありがとう!元気そうで嬉しい!」
「ココロちゃんの写真、餃子への愛が伝わる!」
「東日本縦断、お疲れ様でした!これからも応援してます!」
「次の旅も楽しみにしてるね!」
<ココロの心情>
東日本縦断の旅は、私を大きく変えてくれた。宇都宮餃子のように、たくさんの新しい「美味しい」に出会った。ユウタお兄ちゃんの隣にいると、どんな困難も乗り越えられる。この絆が、ずっと続けばいいのに。
<次回予告>
ユウタ:「よし、東日本縦断もいよいよクライマックスだな!」
ココロ:「……疲れた。」
ユウタ:「でも、最高の旅だっただろ?次は東京だぜ!」
ココロ:「……東京。」
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