第16話:旅の資金と、初の企業案件!「いくら丼」で大成功(中編) (Day 54-56)
<ココロの日記>
7月28日 (Day 54)。
企業案件の撮影は、思っていたよりも大変だ。
ユウタお兄ちゃんも、少し疲れているみたい。
でも、二人で力を合わせると、頑張れる。
いくら丼の撮影は、特に難しかった。
最高のいくら丼を、撮りたい。
ユウタ視点とココロ視点を交互
「よし、ココロ! このカットで、いくら丼の輝きを最大限に引き出すぞ!」
俺は、いくら丼を目の前に、K-1 IIを構えるココロに声をかけた。
企業案件の撮影も、いよいよ本格化してきた。
今回の依頼は、北海道の観光協会の依頼で、とある街のPR動画。特に、その街の名物、『いくら丼』をメインに撮って欲しいってさ。
プロとして、絶対に成功させなければならない。
プレッシャーは大きい。もし失敗したら、俺のVlogの信用にも関わる。
そして、ココロを巻き込んでいる手前、俺がヘマをするわけにはいかない。
「……うん。」
ココロは、真剣な表情でファインダーを覗き込んでいる。
その集中力は、もはやプロのカメラマンだ。
俺はVloggerとして、動画全体の構成やディレクションを担当し、ココロは「写真の感性」で、一瞬の輝きを切り取る。
それぞれの得意分野を活かして協力する。
まさに、二人三脚だ。
ココロ視点
目の前にある、いくら丼。
ツヤツヤと輝くいくらの粒が、まるで宝石みたいだ。
こんなに綺麗なものを、どうすれば最高の形で伝えられるんだろう。
K-1 IIのファインダー越しに見える世界は、本当に奥深い。
光の当たり方一つで、いくらの輝きが変わる。
湯気の立ち方一つで、温かさやみずみずしさが変わる。
ユウタお兄ちゃんが、隣で色々と指示を出してくれる。
「もうちょい、右」「うん、その光の感じ、最高だ」
彼の言葉一つ一つが、私を導いてくれる。
撮影中に、ユウタお兄ちゃんが私のカメラの構え方を直してくれる時、彼の腕や手が、私の体に触れる。
その度に、私の体は、ピクッと反応してしまう。
彼の大きな手から伝わる、温かさ。
ドキッとして、顔が熱くなる。
でも、それが、なぜか、心地いい。
彼の隣にいると、どんなに難しい撮影でも、頑張れる気がする。
ユウタ視点
ココロは、俺の指示に完璧に応えてくれる。
時には、俺が気づかないような、新しいアングルを見つけてくることさえある。
意見の衝突も、もちろんある。
「ユウタお兄ちゃん、こっちの光の方が、いくらが綺麗に見える。」
「いや、ココロ、Vlogとして撮るなら、この活気も入れたいんだよな。」
そんな時は、お互い納得いくまで話し合う。
一歩も引かないココロの姿に、俺は新たな魅力を感じる。
彼女は、もう、俺の庇護対象じゃない。
対等な、ビジネスパートナーだ。
撮影が長引いて、疲労が溜まってくると、ココロは無意識に俺の方にもたれかかってきたりする。
その度に、俺の心臓は、ドクンと大きく鳴る。
華奢な体温。微かなシャンプーの匂い。
危ない。危ない。
俺は、理性を保つので精一杯だ。
それでも、ココロが安心して俺にもたれかかってくる姿を見ると、たまらなく愛おしくなる。
この子を、絶対に守ってやる。
俺たちのVlogを、絶対に成功させてやる。
その決意を、心に刻む。
ココロ視点
いくら丼の撮影は、何時間も続いた。
正直、体は疲れた。
でも、最高のいくら丼が、ファインダーの中に収まった時、心から嬉しかった。
ユウタお兄ちゃんと、力を合わせて、一つのものを作り上げた達成感。
それは、一人で写真を撮っていた時には感じられなかった、特別なものだ。
「……できた。」
私が呟くと、ユウタお兄ちゃんが、優しく頭を撫でてくれた。
その手の感触に、私は、自然と体を預けてしまう。
彼の隣にいると、どんな困難も乗り越えられる気がする。
今日の晩御飯は、もちろん、撮影で使ったいくら丼だ。
何度見ても、キラキラと輝くいくら。
一口食べると、プチプチと弾ける食感と、濃厚な旨みが口いっぱいに広がる。
こんなに美味しいものを、たくさんの人に紹介できるなんて、本当に幸せだ。
この旅は、私に「プロ」としての喜びを教えてくれた。
そして、ユウタお兄ちゃんとの絆を、もっと深くしてくれた。
<ユウタのVlog再生画面のコメント欄>
「いくら丼撮影の裏側見れて嬉しい!プロの仕事だね!」
「ココロちゃん、疲れきってるけど頑張っててえらい!」
「ユウタくん、ココロちゃんのこと大事にしてるの伝わるわ…尊い!」
「二人の息ぴったり!これはバズる予感しかない!」
<ココロのSNS(X)タイムライン>
※第16話時点では、まだ投稿を再開していないため、コメントは表示されません。
<ココロの心情>
企業案件の撮影は、大変だったけど、ユウタお兄ちゃんと一緒だから、乗り越えられた。いくら丼は、頑張ったご褒美みたいに美味しかった。私の写真が、誰かの役に立つ喜び。この気持ちを、もっと大切にしたい。
<次回予告>
ユウタ:「ココロ、企業案件、ついに完成だぞ!」
ココロ:「……楽しみ。」
ユウタ:「これで、旅の費用もバッチリだ!」
ココロ:「……うん!」
第17話:旅の資金と、初の企業案件!「いくら丼」で大成功(後編)!




