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第10話:SNSとVlog、「白い恋人」のように広がるバズり (Day 30)

<ココロの日記>

7月4日 (Day 30)。

ユウタお兄ちゃんのVlogが、またすごいことになってる。

私の写真も、みんなが見てくれてる。

嬉しい、けど、少しだけ怖い。

知らない人に、見られること。

ユウタお兄ちゃんは、何を思ってるんだろう。


ユウタ視点メイン、SNSのコメント描写あり


「うおっ! マジかよ、またコメント欄がやべぇことになってんぞ!」


俺はスマホの画面に釘付けになった。

今日のVlogをアップして、まだ数時間しか経ってないのに、コメントの数がものすごい勢いで増えている。

X(旧Twitter)も、通知が鳴り止まらない。

俺のSNSアカウントが、本格的にバズり始めていた。


「ココロ、なんか最近、Vlogのコメント欄が騒がしいんだけど?」


ミラー越しにココロに声をかけると、彼女はフードの奥から、小さく首を傾げた。


「……?」


「お前の写真が、またバズってるみたいだぞ!」


俺がそう言うと、ココロの顔が、わずかに引きつった。


「……え!?」


今日のVlogは、美瑛の丘でココロがスマホで撮った写真を中心に構成したものだった。

彼女の撮る写真は、俺の「映え」とは全く違う。

なんていうか、そこにいるものの「本質」を、そのまま切り取ったような、そんな強烈な魅力があった。

昨日までのライブ配信でも、ココロが少しだけ映り込んだだけで、視聴者からの反応は凄まじかった。

「あの可愛い子は誰だ!?」「彼女?」「もっと見せて!」

コメント欄は、好奇と興奮で埋め尽くされた。

そして、その勢いは、さらに加速している。


俺のVlogは、ココロの写り込みと、彼女の小さな成長をコンテンツにすることで、本格的に人気が出始めていた。

ココロの撮った写真も、X(旧Twitter)で俺がシェアしたものが、凄まじい反響を呼んでいる。

「この写真、感動した!」

「引きこもりJKが撮ったとか信じられない!」

「ユウタくん、彼女さんの才能引き出すのうますぎ!」

ポジティブなコメントばかりだ。

もちろん、それに便乗した「引きこもりを利用している」「やらせだ」みたいな心ない批判も、少しは見かける。

でも、圧倒的に「いいね」の数が多い。


俺は、ココロの存在が、このコンテンツの核になっていることに喜びを感じる一方で、内心では複雑な感情を抱き始めていた。

ココロはまだ、外の世界に完全に慣れていない。

そんな彼女を、俺はVlogの「ネタ」として利用しているんじゃないか?

彼女の純粋な「感性」を、俺の承認欲求のために使っているんじゃないか?

そんな葛藤が、俺の心の中で渦巻いていた。


「ココロ、見てみろよ、この『いいね』の数。お前が撮った写真が、こんなにたくさんの人に見られて、感動を与えてるんだぜ?」


俺は、ココロにスマホを差し出した。

ココロは、恐る恐るスマホを受け取り、画面を見つめる。

その瞳は、まだ戸惑っていたが、その奥に、自分の写真が評価されたことへの、微かな喜びのようなものが宿っているのが分かった。


俺はVlogの素材をチェックするふりをして、ココロが映っている部分を注意深く見た。

美瑛の丘で撮った、無邪気な笑顔のココロ。

ふとした瞬間に見せる、大人びた表情や仕草。

特に、水辺や自然の中で撮られた、光と影が織りなすココロの体のラインを美しく捉えた写真に、俺は思わず見入ってしまう。

まるで、北海道名物「白い恋人」のように、繊細で、甘くて、溶けてしまいそうな、そんな透明感があった。

いけない。いけない。

俺は、ただの従兄だ。


「……すごい。」


ココロが、小さな声で呟いた。

彼女の視線は、まだスマホの画面に釘付けだ。

この旅は、ココロの心を、少しずつ、でも確実に、開いてくれている。

そして、俺の心も、少しずつ、変わろうとしている。

このバズりが、俺たちをどこへ連れていくのか。

俺は、まだ、それが怖かった。


<ユウタのVlog再生画面のコメント欄>


「ユウタくんのVlog、最近ココロちゃん効果で半端ない人気だね!」

「ココロちゃんが撮った写真、マジで心が洗われる。才能の塊!」

「これ、カップルVlogとして成立してるよなw」

「白い恋人みたいに、二人の関係も甘く溶けていくのかな?(ニヤニヤ)」

<ココロのSNS(X)タイムライン>

※第10話時点では、まだ投稿を再開していないため、コメントは表示されません。


<ココロの心情>

たくさんの人が、私の写真を見て喜んでくれてる。嬉しい。でも、ユウタお兄ちゃんが、少しだけ、複雑な顔をしてた。私のせい? 怖い。でも、私、もう、一人じゃないんだ。この旅は、どこまで続くんだろう。



<次回予告>

ユウタ「ココロ、お前に買ってやりたいものがあるんだけど」

ココロ「……?」

ユウタ「K-1 IIだ! 本格的なカメラ、お前なら使いこなせるはずだ!」

ココロ「……わ、私に?」


第11話:K-1 IIが欲しい!少女の初めての「わがまま」と「小樽ガラス」の煌めき!

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