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魔法少女仲谷美麗

梅澤さんの部屋から二日続けての出社だった。彼女の学校はすぐ傍だったのですぐにお別れになる。

地下鉄に乗ってる間何度も彼女とのキスを思い出していた。

「ところでオーナーは亜紀さんの祖父でらっしゃるんですよね。仕送り増やせば(性的に)こんな危険なアルバイトさせなくて済むのでは」出社後私は率直に訪ねてみた。

「ああ、それね。わかるよ君の気持は」お茶を啜りながらオーナーは続けた。

「亜紀は昔から物凄く良い子で周囲からも好かれていた。ただ二年前に起こった両親の交通事故死から変わってしまった。彼女の両親はイービル関係の世界的研究者だったんだがね、その両親との絆を思い出して欲しいという思いでやってもらってるんじゃ」私は頷いた。

「それに君が来てからはやけに明るくなった。二人はやはり相性がいいんじゃないかな」オーナーは嬉しそうだった。自分の息子夫婦を事故で亡くしその忘れ形見の娘まで落ち込んでしまってるのは気の毒だ。

「あ、まだ報告しておりませんでしたが昨晩から亜紀さんとお付き合いさせていただくことになりました」オーナーはきょとんとした顔でこっちを見てから

「元山君手が早いね。二日で、そう二日でねえ」多少不安げな顔をこちらに向けてきたので反論した。

「お言葉ですがオーナーの付き合って欲しいという言葉に背中押されたんです。元々一目惚れみたいなものだったのでお墨付きをもらって勇気が出たんですよ。いつもこんなじゃないですからね」

「いやいや気にしないでくれ。ジョークだよ。君がそこそこ真面目な人間なのもわかってるつもりだよ。しかし素早い展開で脳が付いていけなかったんだ。いやあ曾孫見れる日もそう遠くなさそうだね」嬉しそうに語るオーナーを見てこっちも嬉しくなってきたが… 曾孫!?

確かに昨日は梅沢さんのあんなとこやあんなとこ見てしまったので正式にお付き合い始めた今いろいろと我慢できる自信はなかった。だけど大人としてリードしなきゃいけないのでゆっくりと関係を構築できたらいいと思ってますと私はオーナーに伝えた。

「そんなこと言っておいて元山君って来年あたりに子供産ませてそうだよね」と言って祖父がほほ笑んだ。完全にプレーボーイ認識されてしまった。


銀座にいろいろと事務用品を買いに出かけた。ネットで全て揃うけど実際見たものとはだいぶ違うので自分で見たものを揃えようと思っていた。二時間くらい見て回って書類ケースや万年筆等を買った。高いけどここの商品はやはりいい。

事務所に帰ろうとしていると変な光景に出くわした。JCくらいの女の子が二人のサラリーマンらしき男たちと喧嘩していたのだ。最初はスルーしようと思ったが少女の容姿にティンと来るものがあった。ゴスパンク基調に下は派手なストライプのニーソ。これは魔法少女に向いているのでは。

「すいません。こいつ私の妹なんで勘弁してくれませんかね」会社員二人はしぶしぶ帰っていった。

「ナンパかよお前。マジきもいんだけど」容赦ない罵声を受けたが気にしなかった。

「ナンパじゃなくて勧誘なんだけど。謝礼も出すし事務所来ない」と誘うとあっさり付いてきた。こいつ絶対なんか変な事件に巻き込まれるな… と思ったが本人にはもちろん言わなかった。


事務所は渋谷ではなく厳密には表参道にあった。私の出身大学のすぐ傍だ。銀座線だと非常に近い。事務所に着いたらオーナーに紹介して面談してもらおうと思っていたのだが扉を開けるとそこは異次元だった。暗い部屋の中には昨日まであった机や椅子、花瓶などの装飾物全てなく下に続く螺旋階段があった。ここは六階なのだが下に降りる階段っていったい。

「なんかここおもしろそうだなおいお前」魔法少女として契約したらげんこつだな。

「取り敢えずわたしは階段降りるが一緒に来るか」ゴスパン少女に尋ねた。

「こんなおもしろそうなとこ行かない訳ねーだろ」少女の目は輝いていた。

随分と下りもう六階ぶんはとっくに降りたと思うんだがなにもない。するとだいぶ下の方に明かりが少し見えて来た。あそこ目指せばいいのかな。ゴスパン少女は最初は威勢が良かったものの段々怖くなって来たのか私に腕にしがみついてた。そこは亜紀専用だけど緊急事態なので仕方がない。明かりが漏れ出ていた部屋に私たちは入った。

「おやおやもう帰って来たんですか。ん、その少女はいったい… 亜紀と付き合い始めてたった二日でそれはさすがに」腕にしがみついてるから分かんないでもないけどそれは酷い濡れ衣だ。少女がばっと手を離した。お前もかゴスパン少女よ。

「オーナーが新しい子勧誘するって言ってだでしょ。それでこの子に声掛けただけです」

「そういうことだったんですね。非礼申し訳ない」オーナーは深々と頭を下げた。私は雇われの身ですからどうか頭を上げてください。怒ってはいませんからと伝えた。

「それでさっきから勧誘がどうかとか二日で浮気とかなんなのよ。詳しく説明してもらうわよ」少女が明るい部屋に来て元気になっていた。

「そうだね。順を追って説明していくからすまんが元山君お茶を淹れてくれたまえ」私は頷いて少女に何がいいかと聞いたらオレンジジュースだと言うので用意をした。オーナーは魔法少女の事やイービル、世の中に居る怪異について説明し是非君にやってもらいたいとゴスパンク少女を口説いていた。

「すぐには決めなくて全然大丈夫だよ。お名前と連絡先を教えてくれるかな」

「仲谷美麗14才。連絡先はLINEでいいわね」あっさり教えてくれたようだ。

「そうだ、今夜そのイービル退治があるから見学していったらどうだ」私が言うと目を輝かせていた。まったく疑いは持ってないようだった。それでは私は準備があるから上に戻ってるよといってオーナーはエレベータで行ってしまった。あったのかエレベータ…

「ところであんた彼女居るってあれほんとなの」ゴスパン少女が聞いて来たので昨日からだけど付き合い始めた彼女が居ることを話した。そうなんだと言って彼女は黙ってしまった。てっきり生意気だとかいろいろ罵倒されると思っていたのだが。ちょっと情緒に問題あるのだろうか。


午後7時になると少女は来た。勉強を終えた亜紀も既に居てジュースを飲んでいた。

「お嬢さんもどうぞ。と言って昼間と同じくオレンジジュース出した」ありがとうと言って少女もストローを啜った。

「わかったわ。この制服の子でしょうあんたの彼女って」一発で当てられてびっくりしていると

「居るのよね。私は清楚ですって顔して年上の男に色目使う女が。ビッチね」私の淫行条例違反を責められると思っていたら矛先が亜紀になってしまった。しかしこのまま放って置く訳にはいかない。

「いくらなんでも酷いだろう。梅沢さんにまず謝れ。常識がない子はうちでも採用しないぞ」少女はしぶしぶ亜紀に謝罪した。納得はしてないようだったが。

「そうだよね。彼氏とか早いよね、それに元山さん格好いいし頭いいし不釣り合いだなあって思うよ」亜紀が泣きそうになりながら弁明している。亜紀、気にするなという感じのジェスチャーを送り

「この子は仲谷美麗14才。梅沢さんと一緒にイービル退治をしてもらうかも知れないので喧嘩はして欲しくない」実際強敵が現れた際は協力関係が大事だ。昨日の私と亜紀のような。そして私は鈍感系主人公じゃないんでわりとすぐに気が付いたが美麗は亜紀に嫉妬している。こんな普通の男なんてお前くらいかわいければいくらでも寄ってくるからすぐ忘れろと思う。

「え、今日は銀座ですか。博士から情報が書いた書類を受け取った」亜紀の家と反対方向だな。送っては行くが帰りが大変だ。

「あとこれ美麗のな」刺々しい鞭を渡した。なんでも個人情報をインプットすると衣装や道具をAIが決めてくれるらしい。じゃあなんで亜紀のはあんなにエロいんだ…


銀座と言っても外れの方でもう晴海と言っていい場所だった。指定された場所でイービルは現れるはずだ。亜紀が発見し結界を張った。結界の貼り方というのも割と簡単でそれらしくステッキを振るえばいいようだった。変身した亜紀を見て美麗が私を睨みつけた。

「なんなのよあの変身と衣装は!ビッチ通り越して痴女よ痴女。最低ね」私が決めた訳じゃないが本当にそう思うので反論出来なかった。今日の相手はイノシシのような感じで手ごわそうだった。

「美麗もちょっとやってみないか」と伝えるとふんふんと言った顔で今日一番の笑顔を見せた美麗がいた。その鞭で何かを叩くと変身するらしいからと言うとすぐに美麗は変身した。上は長袖のボーダーTシャツで下は黒のミニだがペチコートを穿いてて絶対に見えない。ずるいだろうこれ。

「苦戦してるようだけどわたしが来た限りもう心配ないわよ。見てなさい」

「ライトニングアタック!」と彼女が呟くと稲妻が鞭に集まりそれをイノシシイービルに叩き込んだ。イノシシは一瞬抵抗を見せたが霧散してしまった。それにしても技名とかありなのか…


「二人ともお疲れ様。良ければ途中まで送っていくけど美麗はどこ住んでるんだ」聞いても答えてくれない。逆に私の住んでるところ教えろっていうからここからわりと近いタクシーですぐと答えた。

「そこでいいわ。今日は友達のところに泊まると言ってあるし」こいつ勝手に。

「わたしもそこでいいです。朝ちょっと早く出れば学校間に合いますし」美麗を牽制するような目つきだ。こんな一面もあったんだな。仕方がないのでまたお泊り会することになったJC二人と。

















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