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なし崩しに恋人同士

昨日と同じスーツで会社に出社した。女性ならわりと気が付くところだがオーナーは気が付かないだろう。

「元山君、スーツ昨日と同じですね」私はお茶を喉に詰まらせながら言い訳した。

「梅沢さんがですね、イービル退治の後汗を流したいというので彼女の家に寄った次第なのです。ところが私にもお風呂入って行って下さいと言うので仕方なく入ってしまったんですね。すぐ帰ろうと思ったんですが不覚にも風呂場で寝てしまい時間が遅かったんで仕方なく泊まったんですよ」

「…私そこまで聞いてないのにペラペラ喋るね。そうか梅沢君のところにねえ」お茶を啜りながらオーナーが言った。そして天井を見上げながらうんうんとなにか考えごとをしているようだ。

「亜紀のことをどう思ったかね」え、呼び捨て?と私は思ったが質問について真摯に考えた。

「そうですね、最初英語の問題解けなかった時は学校にちゃんと通うべきじゃないかと思ったんですが、仕事に対する責任感の強さを見て感銘を受けました。まだ会ったばかりの私にもしっかりと敬語を使って喋りますし何より社交的です。そんな彼女ですから好感持てました。」うんうんとオーナーは頷いて

「元山君、亜紀を嫁にするというのはどうだい。だいぶ気に入ってるみたいだし」今度は珈琲を吹き出しながらオーナーに行った。

「オーナー、そういうのは梅沢さんが決めることで他人がどうこう言うことじゃないと思いますよ」

「わたしの名前は梅澤時雄、亜紀の祖父になります」もう飲み物を吹き出さなかった。


「仮にオーナーがそう望んでも亜紀さんがまったくその気がなかったらどうするんです?結婚を前提に付き合ってくださいなんて言って笑われたら立ち直れませんよ私」本音だった。

「つまり君はOKなんだな。うんうん。ならたぶん大丈夫だと思うよ。私が2000倍の確率で採用したのが元山君だから亜紀も気に入るだろうて」2000倍?300人じゃなかったんだ。

「他の魔法少女勧誘は私がやろう。君は亜紀攻略に全力でいいよ」私の仕事は勉強見ることですとやんわりとお断りした。あ、それから魔法少女衣装について聞かなければ。

「イービル退治の時のあの衣装はなんですかほんとに。パンツもブラも丸見えで可哀そうですよ」

「君は見たのかねアレを。なんというかイービルもわりとああいうのが好みでな。出てきやすくなるのだよ。それで元山君も釣れたとはねえ。感慨深いね」イービルと同列になってしまった。

「こほん、ちゃんと言いますよ。わたしは亜紀さんのことたぶん好きです。会って二日目で言うことじゃないとは思いますけれど」ふーっと昨日からの疲れが出て来た。

「梅沢さんの仕事の前に勉強びっしりやるので今ちょっと昼寝させてくださいね。なにしろ彼女のベッドで寝たものですから全然寝れなくて」


重要事項のプリントを作りながら私は考えていた。オーナーに言われたことと梅沢さんのことを。いや惚れるでしょあんなに美人なら。学生時代塾で講師してた時はそういうことは厳禁だった。女生徒からクッキーもらってもお返しはしなかった。ロリコン教師はダメなのだ。それが社会人になって祖父の許可付きでOKって言われてもね。私は更に梅沢さんでも解けそうな簡単問題を作って授業に備えた。


お茶菓子は途中で出すとして先ずは昨日出来なかった英語を基礎からやろう。すると梅沢さんがやってきた。挨拶はたいしたものだ。すぐにでも社会に出せる(ただ勉強は…)

英語は基礎からなら大丈夫だと思う。それじゃ国語もやろうか。制限時間20分で解いてみてね。全ての勉強はロジックで解けると思う。それなりの有名大出身というだけなのであまり確信めいたことは言えないが。出掛けているオーナーにLINEしてみた。今日のイービルは何時に何処で出るのかと。返信はそこで待ってればいいよ。今日は渋谷だからと。

「梅沢さん、昨日は見学的な意味で付いていったけど私にやれることはないかな」本音だった。女の子、ましてや惚れてる女の子が一人で戦ってる時に何にも出来ないのは嫌だった。

「今日の相手はナメクジみたいなイービルでけっこう強いらしいのですが」それはまずい。もし退治が上手くできなかったら梅沢さんの際どい服が溶かされて大変なことになってしまう。やれることはあるかも知れない。あの杖のような物を落としたら拾ってあげるとか。

「わかりました。元山さん今夜もお願いします。ですが無茶はけっしてなさらないでください。一般の方があれに取り込まれたらどうなるかはよく分かっていないんです」了解と頷いた。

道玄坂下辺りで待って居ると出て来たらしい。梅沢さんが結界を張った。そして目の前で変身するものだから目を伏せる前に全部見えちゃったじゃないか。腰がくの字に曲がって戦力外になりそうだったその時大変なことに気が付いた。メインのなめくじの後ろにもう一匹居た。一匹でも苦戦していてまだトドメを刺せて居ない。新しい奥のが出て来たら本当に危ない。

「亜紀後ろに注意しろ!」私は大声で言った。その瞬間一匹目が砕け散ったが二匹目は元気いっぱいで亜紀に襲い掛かった。粘液を出し彼女を捉えるとただでさえ少ない彼女の衣服を溶かしていった。

このまま負けたらどうなるんだ?結界が解かれ元の渋谷に戻りこいつが大暴れするんじゃないか?半裸の亜紀を取り込んだまま。それだけは絶対に許さない。

私はナメクジの目の前に行き挑発するがまったく相手にされない。亜紀今助けるぞ。何も考えずジャンプした。予想通り宙に浮くことが出来た。これは魔法少女だけの特技じゃないのだ。結界に居たら根性で出来る。

「うおおおおおお」俺は亜紀の救出のためにナメクジにダイブした。衣服がほぼ溶けてる彼女を見ないようにしながら。そして力いっぱい彼女をここから放り出した。

「亜紀、なんでもいいからこいつに最高火力で攻撃しろ」

「そんなことしたら秀樹さんが」大丈夫、絶対に大丈夫なんだ。

全裸に近い半裸の亜紀がバズーカを構えた。あの杖の進化系なのだろう。それをみたナメクジ二号は私を体内から捨てた。霊力が桁違いの砲は一瞬でナメクジにトドメを刺した。今の亜紀では結界を消滅させることは難しいだろう。私は亜紀に服を貸し彼女の回復を待つことにした。

「男はパンツでもいいからね。そもそもこないだ見られてるし」亜紀の顔は真っ赤だったが赤い目をしつつ喜びを隠せないでいた。


“オーナー仕事終わりましたこれから亜紀の部屋に向かいます”これで良しと。今回は発見がたくさんあった。魔法少女以外でも戦いに参加できること。イービルが性欲で動いているので亜紀にこだわりわたしのことは見くびったこと。彼女の進化が見られたこと。激戦だったが収穫も大きかった。


「梅沢さんお風呂借りていいかな」

「どうぞ今度はお先にどうぞ。あ、寝ないよう一緒に入って見張ってましょうか?」いいよ。亜紀の顔が真っ赤になったけど気にしない。命がけで戦ったご褒美はあってもいい。

「ところで呼び方が亜紀から梅沢さんに変わっちゃったのはなんででしょうか」

「会ったばかりなのに慣れ慣れしいと思って戻した。希望としては下の名前で呼びたいよ」水着で風呂場に入って来た亜紀に背中を流してもらった。そしてどうやらオーナーは私と亜紀をくっつけたいらしいと言う話をした。

「え、そうなんですか」亜紀は少し驚いたようだがあまり気にしてないようにも見えた。

「亜紀の背中も流そうか、もちろん水着なしで」セクハラが止まらないのはほぼ全裸の亜紀を抱き抱えたからだろう。亜紀を救えたことは自分の成功体験に付け加えていいだろう。

「えっと上だけ脱ぎますね」相変わらず顔を真っ赤にして亜紀が答えた。

「ごめんなさい。無理しなくていいですほんと。今興奮し過ぎて頭がおかしくなってるんだ」

「おじいちゃんのことですが、秀樹さんはわたしのことどう思ってるんですか」

「会って二日目で信じられないかも知れないけど好きです。一目惚れみたいな感じだよ。キモかったらこの話はもう二度としないしオーナーにも首にしてもらうよ。こんな気持ち悪い男嫌だよね」

「昨晩ですがなんとも思ってない人をいきなり部屋に呼ぶと思いますか。あれ計算ですから秀樹さん泊めて行くための。お風呂場で寝ちゃったのは予定外でしたが」亜紀はにこにこしながら言った。


二連泊の夜、電気を消す前にどちらかという訳でもなく自然にキスをした。

「私24なんだよね今年。それでもお付き合いしたい。付き合っていただけますか」亜紀が頷いたのでもう一度キスした。エッチな要求もしたかったけどそれは早過ぎと自重した。















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