魔法少女激突
「わたしのするべきことはイービル殲滅ではなくあなたを全力で守ることだから」
紫の言葉が私に突き刺さっていた。一歩間違えれば亜紀や私に傷を負わせてしまう刃の攻撃だったが彼女はためらいもなくそれをやってのけた。スーパーエースの紫には無傷で救う自信があったのだろう。それと最後の言葉。私への最上級の想いが込められていた。亜紀と美麗二人とは上手く行き始めていた。でも紫はそんなことお構いなしに私への愛情を公言して憚らない強さがあった。
実は我が社は完全週休二日制&祝祭日、夏休み、お正月休みがあり年間休日数は128日だった。
「今度の休日三人でどこかに行こうか三連休だし」私は二人の恋人たちに聞いてみた。
「先ず海か山どっちかに決めようぜ」美麗が提案したので多数決を取った。結果は山山海で山になった。どっかの温泉地がいいと言われたが「えっと最近人間不信というかちょっと怖いので八ヶ岳にある別荘に行かないか」と提案したら二人とも了解してくれた。
「人間不信ってアレだよな紫のこと」美麗がいうと亜紀も頷いた。
「二回も酷い目に遭ってますからね。のんびり癒してあげたいですね」と亜紀が言う。
うつ病患者なので薬は持ち歩いているのだが最近SSRIの量をかなり増やした。副作用として食欲不振、性欲減退、太りやすくなるなどあるが、今回は性欲が控えめになって欲しいという願いを込めてのことだった。
変身で俺以外には大人の姿に見えるようにしてね。じゃないとポリスメンが来ちゃうので。
「亜紀はそのままで十分エロいからいらないだろ」とか美麗が言って亜紀に軽く小突かれてた。
行き方よく覚えてないのでナビで行くよ。確か甲府の近くを抜けて行くんだと思うけど。
スープラの最新型に乗った生意気な小僧って見られてるんだろうなとか思うけどいつもは気にならなかった。けど今日はやけに他人の目が気になった。別荘に着くと運転疲れたからちょっと寝させてと言ってベッドに入らせてもらった。
「あ、あとねごはん作ってもらえると助かります」
夕方まで寝てしまった。二人とも怒ってるかな、とキッチンに向かうと亜紀がカレーを作っていた。美麗はサラダ盛り付けるだけか。それでも嬉しいからいいや。
「あと秀樹さん随分寝てたので夜食用におにぎり握ってね美麗」亜紀がどうやら仕切ってるようだ。
夕食は三人で楽しくいただいた。
「けっこう大きなお風呂あるから使ってね。わたしは入るかわかんないけど気にしないでね」
私は夕食後もソファでゴロゴロしながら耳かきしてとか珈琲入れて来てとかともかく甘えていた。たぶん忙しく動き回ってる自分しか知らないので驚いているだろう。
「今日の秀樹さんなんか甘えん坊さんだね」亜紀が美麗に言った。
「いろいろあり過ぎて赤ちゃん返りしてるんだろ。亜紀、おっぱいあげてやれ」今度はガツンと頭を叩かれる美麗だった。
「お風呂良かったですよ。入れますか」亜紀に聞かれたのではーいと言って風呂場に向かった。
湯船に浸かってたら二人が私を覗きこんでいた。様子が違い過ぎる私を心配してるようだった。
「俺らも一緒に入ってやろうか」と聞かれたので何も言わず首をふるふると横に振った。風呂上がりには美麗を指名して膝枕してもらい耳かきをしてもらった。
「お前大丈夫か。甘えても全然構わんが性欲がそもそもないんじゃないか」美麗が質問してきたので
「アレ要らない。それとも美麗は縛り付けて無理矢理させたい」と問題発言をしてみた。
「お前が望まないならしない。求めて来たら出来る限り応じるぞ。前にも言ったが」美麗がそういったのでおっぱいを求めた。
「亜紀いいか」美麗が亜紀にに言った。
「お前がやってくれないから俺があいつにおっぱいあげて来たんだけどよ。本当に赤ちゃんみたいに咥えるだけで揉んだりとか全然してこなかった。一応アレ触ってみたんだけど反応無かったわ」亜紀は考え込んだ。「たぶん紫ちゃんに酷いことされそうになったショックだと思う。治ってくれるといいんだけど」
「俺はこの旅行中あいつに全部あげる気だったからちょっとショックだ。紫にやつ本当に酷いことしやがって」亜紀は自分に出来ることを考えていた。って全部あげる!?
翌朝朝食を食べるとテニスをやることにした。二人とも初心者なのでアンダーサーブを打ってから出来るだけ簡単なボールを返した。
昼はバーベキュー。肉、ソーセージ、野菜を焼いて昨日美麗が作ったおにぎりを食べた。
帰りは甲府の寄ってお土産を買った。
「わたしのするべきことはイービル殲滅ではなくあなたを全力で守ることだから」
紫の言葉は私を捉えて離さなかった。しかし二人の彼女との関係も今は以前より全然良好だった。中学一年生の言葉なんて半年で変わっちゃうもんなんじゃないのか?日光でも我が家でも彼女は私に嘘を付いてハメようとした。美麗の言うとおり魔性なんだろうか。魔性の女がこのセリフを言うのだろうか。考えてもわからない。疲れが出てそのまま二人が両横で眠るベッドで眠りに落ちた。
『ライドザライトニング!!』『斬鬼滅殺セグメンテーション!!』秒殺でイービルを倒した。二人の火力を試すため組ませてみた。かなり危険な試みだった。戦いが終わったのに二人は降りてこなかった。
「なんなんですか先輩早く降りた方がいいですよ。さもないと死にますよ」紫が美麗を挑発する。
「上等だやってみろチビ。その胸のまま死ぬのはさぞ無念だろうよ」美麗が吼える。
「なんなんだあの二人勝負する気なのか!?」私は動揺した。
「高火力の二人が戦うのは危険です。魔法少女には同類の攻撃を相殺する能力がありますがあの二人の火力だとどちらかの身体に穴が開きます」
「電磁砲と刀なら美麗の勝ちだ。だが紫のあれは違う。変幻自在に形を変える最先端の殺戮兵器だ」
「美麗の杖は小刀に形を変えていた。二人の刃がぶつかり合う」
“ガンガンガン”
おおよそ刀がぶつかり合う音ではなかった。小競り合いを続けた後二人の必殺技がきっと放たれる。
由紀子、亜紀行け!あの二人に最大の魔力弾を撃ち込め。二人とも殺すつもりでいい。
!?亜紀は驚いたが止めるにはそれしかないのだろうと咄嗟に思った。由紀子はアサルトライフルを地上から構えた。どちらを狙えばいいのかわからないがたぶん紫だろうと思った。
『ソニックランナー!』目的地はあの二人のど真ん中だ。死んでも構わない。
目的地に辿り着くと二人とも超火力技を繰り出そうとしていた。
「やるならやりなよ見届けてやる」直線的なライトニングに対してブーメラン効果もある斬鬼のが有利だ。守るべきは美麗だった。
不敵に笑みを浮かべ斬鬼滅殺セグメンテーションの構えを変えない紫。対して美麗は私が居ることで躊躇してる。斬鬼が放たれると同時に私は唸る『カッターオブミリオンスター!!』全てのセグメンテーションの刃を落とし勝負は付いた。
「二人とも戻れ、でないとこれで跡形もないくらいに切り刻む」
二人の変身と結界を解いてくれ亜紀。それで終わりだ。
この私闘は美麗は厳重注意。紫には魔法少女登録抹消という判断が下された。
紫はもう魔法少女にはなれない永遠に。
紫との旅行で癖になってしまった煙草を吸った。私に当たらないという理由で美麗を切ろうとした紫の行為は万死に値する。登録抹消で済ませたのは一緒に戦ってきた仲間への温情だ単に。
「いつか起こることが今日になっただけなので気にしなくていいぞ。だけど美麗は反省してくれ。事前の相談があればここまでの事件にはならなかった」落ち込んでる美麗に敢えて厳しい言葉を使った。
「えっとな、紫については常に考えていた。私怨だが私のことを好き、愛してる、守ると言っていたが全部嘘だったんじゃないかと。愛とは与えるものと良く言うが彼女は私の心身の自由を奪っていた。それは全部自分のためだろう。言葉に酔って本質が見えて居なかった。だから嫌気が差していた。お前たちの戦いを最初から止めることも出来たが紫を追い出すために敢えてタイミングずらしたんだ。その点は美麗謝罪するよ」
これで紫のスーパーエース伝説は終わった(!?)例えば彼女が今までの間違いに気が付いて戻りたいと言ったらどうなるだろう。それはその時に委ねることにしよう。私は美麗、亜紀の二人を守る義務がありそれをきちんと遂行できたんだから。
家に着きまずしたのは美麗にキスすることだった。まだ恐怖で震えているのだから。と言ってもキスしたらスイッチが入る私は押し倒しジャージを脱がせていろいろと遊んだ。
「まてまてこら、八ヶ岳ではピクリともしなかっただろうソレ」美麗が言うのであれは休養ね。もうリフレッシュして前より元気いっぱいだぞと言った。わたしの部屋に連れて行き全部脱がせた。
「怖いならしない。お前は虚勢張るから分かりにくいんだけど無理か」直球で聞いた。美麗が無言だったのでパンツとブラを付けジャージも着せてあげた。
リビングで亜紀と話をした。
「今日のような仲間割れまた起こったりするかな」美麗は思案している。
「仲間を信じていればもう起きないよ。紫ちゃんは傲慢すぎたと思うよ。特にわたしたちの秀樹さんを盗ろうとした点で」うむと頷きそれ以上は話さなかった。
「!?緊急出撃ですか。もう寝る時刻ですよ社長。「とにかく行ってくれ。過去最大のイービルだ。一時免許を発行し紫くんも行かせる。総力戦で戦ってくれ」亜紀、紫が一時免許で出るそうだ。こんなバカなことあっていいのかな」お爺ちゃんいろんなこと適当なんで許してあげてくださいね。とにかく紫を迎えに行く。魔法量を1/3に減らし大技は出しにくいようにしてもらった。
「紫ちゃん、連絡行ったと思うけど出る」と聞くと元山先生のためなら出るよ!と言ったので仲間のためにと言い換えられないかと聞いたら、はい、そうしますと答える紫が居た。じゃ由紀子拾って行くからねちょっとスピード出すけど頑張って耐えて」




