エースの座を賭けて
秋葉原のイービル戦闘以来亜紀と美麗が中心となって戦っていた。敵も様々に形を変え確実に強くなっており、エースの紫抜きの戦闘は苛烈を極めていた。新人の染谷さんもデビューしているが紫の代わりになるほどの強さは持ち合わせていなかった。
個人個人の強化と同時に連携技の深化も進めていた。杖をバズーカとして放つ亜紀の『ホーリーエクスプロージョン』が現戦力では最大火力なのでそれを軸に戦闘を進めていた。問題は美麗が伸び悩んでいたことだ。『ライトニングアタック』も以前は効果的だったが更に火力を上げていかないと厳しくなっていた。染谷さんはまだ固有魔法を持っておらず初期の亜紀のような魔力をまき散らすだけの技しか使えなかった。しかし少し前まで敵の前に出れなかったことを考えるとこれでも大きな進歩だった。
「美麗、もっと強い技って出せない感じなのか」と私の部屋のリビングで聞いたところ首を横に振って
「紫のセグメンテーションはただ叫べばいいってわけじゃねえんだよな。確実に無数の刃をぶち込めるイメージが出来てるから放てるんだと思う。俺のライトニングアタックも同じだけど威力がまるで足りねえんだ。どうにかしねえとダメだとは思ってんだけど」美麗はもどかしそうに話してくれた。二人で話していると亜紀が珈琲を淹れてくれた。
「手持ちの武器の強化はできないんでしょうか。そうすればエクスプロージョンもパワーアップできるかも知れません」亜紀の提案はもっともなことだったが本人がもつ魔法力に合った武器が提供されてるのでなかなか難しい問題だった。紫は潜在的持つ魔力の爆発力が最初から桁違いだったんだ。
「まあ社長とも相談するので現有戦力でしばらくはやっていくしかないな」と私は締めた。
「それよりそろそろお風呂入ってきてね。二人が出たら俺も入るので」最近家では一人称を俺にしていた。私だとどうもよそよそしさが出るからだ。いや広いんだからお前も入れよと美麗に言われたので一緒に入ることにした。
「見苦しものが膨らんだりするけど無視してていいからねと二人に言うと」
「お前が我慢し過ぎるからこの間みたくなるんだろうがそろそろ溜まってきただろうから抜いてやるぞ」と言いながら美麗が全身を洗い始めた。美麗さんお言葉ですがただアレを擦られただけでは情緒がたりないかと思います」亜紀頼むと言って美麗は湯舟に戻ってしまった。二人とも念のためバスタオルを巻いてもらったが想像力で全裸にしてるので意味はあまりなかった。
亜紀ちゃんキスしていいと聞くと頷いてくれたのでキスをしたのだが美麗の時と同じく歯止めが効かなくなった。バスタオルの上半分を開いて胸を出させて吸った。下半身が暴れ出しそうなのを堪えつつ何度もキスをして胸を触った。かなり昂ったので亜紀ちゃんお願いと言ってアレを摩ってもらったら発射できた。
「全部美麗見てたけど大丈夫?やっぱり嫌かな」亜紀に聞くと複雑だけど美麗ちゃんならいいよという回答があった。
「それよりお前それだけでいいのか?ほんとは全部したいんじゃないのか」と美麗が核心を突いてきたので今はこれでいいよと答えた。
「じゃあ一緒に夜景見ましょう」と言って湯舟まで亜紀が手を引いてくれた。
「俺今物凄く幸せだ。二人はどうなんだ。俺だけの一人よがりかな」二人に聞いてみた。
「俺も幸せだぞ。お前には感謝しかない」と美麗がいうと亜紀はちょっと考えてから
「この間は変に拗ねてごめんなさい。美麗ちゃんと秀樹さん二人と一緒にいる今が一番だよ」と答えた。
出すと男は眠くなる。先に休ませてもらった。亜紀と美麗はリビングに残るそうだった。
「亜紀アレどう思った?紫の言葉だよ」亜紀をみつめながら美麗が言った。亜紀の顔が真剣になった。
「宣戦布告だった、のかなあの言葉って。助けてもらって疑うのは気が引けるけど」
「俺はあんなすげえ女見たことがない。小さい身体とおかっぱに黄色い花の髪飾りに騙されちゃいけねえ。その気になれば秀樹なんて簡単にさらっていける。俺たちなんて敵じゃねえって思ってるさ」
「でもそもそも紫ちゃん秀樹さんにはキツいよね。秀樹さんを好きって決めつけなくても」と言いかけた亜紀の言葉を遮って美麗は言った。
「愛情表現なんてみんな違うだろう。紫は通報しますねって言いながら秀樹のことを常に見てる。間違いなくあいつを好きなんだよ。本気出されたら負ける。あいつが落下する紫を抱きしめてる時にそう思ったんだ」亜紀がうーんと考えていたがどうしたらいいのかなと言って来たので美麗が言った。
「俺たちのアドバンテージは二人だってことだ。仲間割れは厳禁、常に一緒に戦うんだ」
紫が事故を起こしてから二週間、社長はかなりのお見舞金を紫の両親に渡し復帰することに同意させたようだった。染谷さんもくのいち姿にアサルトライフルといういで立ちで固有もかなり強いものを身に着けた。
「亜紀、美麗が先陣として出る。イービルにダメージを与えたら紫と由紀子が出てトドメを差す。作戦は以上だ」
亜紀と美麗が最初から飛ばしていく。フラワーハレーションとライトニングアタックで確実に敵の体力を削っていった。
「飛ばし過ぎじゃないか。まるで紫に出番は回さないといった感じだが体力と魔法力が心配だ」待機組の紫、由紀子組と一緒に居た私は思った。
「亜紀、まだ行けるか」美麗のその言葉に亜紀は頷いた。
「じゃ、予定どおりアレやるぞ」美麗が上空に舞い上昇。亜紀は降下してイービルとの距離を詰めた。
『ライドザライトニング!!』『フラワーエクスプロージョン!!』
超火力に敵は耐えきれず爆発霧散した。
私はこのコンビネーション技を聞かされていなかったのでぽかんとしていたが、紫はその目に今の光景を焼き付けていた。
「亜紀、美麗、今日の活躍は凄かった。コンビネーションの練習してたのか。それとライドザライトニングの威力も桁違いだった」わたしは労いつつ質問した。
「はい、練習していたので実戦で上手く行って嬉しいです」亜紀らしくかわいらしく喜んでいた。
「まだだ。もっと火力上げてエースの座を取り戻す」美麗はちょっと怖い口調で言った。
紫に対抗する意気はいいのだが私の心にはなんか引っかかっていた。
「紫となにかトラブルでもあったのか。前は頼もしい後輩が出来て喜んでいたじゃないか」亜紀がちょっとおろおろしながら「私たちも頑張らないとって、ね、美麗ちゃん」美麗は何も答えなかっのでいきなりキスしてみた。
「いきなり何すんだお前。びっくりするだろう」前は私から何もしないことに怯えていたから自分からしてみたのに… 美麗は風呂に入ると言ってそのまま行ってしまった。ふと何かを感じて振り返ると亜紀が目を瞑っていたので優しくキスをした。
「今美麗は余裕ないんですよ。理由は近いうちに話します」
今度の敵は二体又は三体居る。なので先陣は紫と由紀子で行く。斬鬼滅殺とライフル攻撃で素早く倒す。そして二体目は美麗と亜紀が攻撃してくれ。紫の体力回復と亜紀&美麗の魔法力を残すために弱攻撃を繰り返した後でライトニングアタックとフラワーハレーションでトドメを差してくれ。そして潜んでるかも知れない三体目は四人全員で攻撃する。高火力魔法で三人が攻撃した後で紫のW斬鬼滅殺でトドメを差す。だいたいこんな感じだ。
敵はゆっくりとしかし警戒しながら歩いている。その後ろにも一体いることが確認できた。結界を亜紀が張り先発隊が発進する。両手を胸に当て身体を縮めた後、大きく身体を開き腕を太腿あたりでで開くと白い光に紫は包まれやがて高々と刀を持った右手を上げる。いつ見ても紫はの変身は神々しい(格好はロリえっちだが…)
『ワンダースナイプ!』『W斬鬼滅殺!!』先輩後輩によるコンビネーションが炸裂し一体目を秒殺した。
続けて亜紀&美麗の発進。新体操のように軽やかに動きながら素早く変身するのだが紫のように白光が包み込む訳ではないのでいつも全裸に、なるはずが今回下着だけは残って居た!ホッとしてがっかり。美麗は両足をクロスさせ次に両手を高々上げ合掌した。次に腰を九の字に曲げて敬礼したところで稲妻が彼女に落ち一瞬姿が隠れたところで変身、以前とは違ったものだった。麦藁帽に黒いキャミワンピ、清楚系ファッションに変わっていた。
「行くぞ亜紀こっちも瞬殺だ」亜紀は頷き技を繰り出す。『ホーリーエクスプロージョン!!』『ライトニングアタックマックスパワー!!』見事二体目に命中し敵は爆発霧散した。特にマックスパワーの攻撃は敵の身体を貫通していた。三体目も確認されたので休む間もなく紫と由紀子も出撃、宙を舞った。
「先輩やる気満々ですね。何かあったんですか」紫が美麗を煽る。
「てめえの胸に聞いてみな。ロリっ子後輩」美麗も引かない。
亜紀が砲を構える準備ができたので美麗は高く舞い上がり『ライドザライトニング!!』と叫んでありったけの電撃を放った。勝負は決したかに思われたが敵のビーム攻撃に相殺されてしまった。
「そんな馬鹿な」唖然とする美麗を亜紀が心配そうに見る。そして紫は満を持してもう一度W斬鬼滅殺を放った。
「作戦とはちょっと違ったが三体という敵を完全殲滅できた。みんなありがとう」皆を労った後で戦闘と直帰報告を会社にした。
家に戻ると亜紀しか居なかった。美麗はどこかと聞くとベランダだというのでそちらに向かった。ベランダの手すりに両肘を付いてお台場を眺めていたので顎をこちらに向けさせた。今にも泣き出しそうだったので目を瞑るように言い軽くキスをした。それから美麗は子どものように大声を上げて泣き出した。




