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魔法少女梅沢さん

何気なく応募した会社に受かったので出社したらそこにはかわいい少女がいた

今日から君にはここで働いてもらう。特別なことは何もないよ。魔法少女は忙しいから勉学に支障が出ることが多いんだ。それを見てくれればいいだけで他にはちょっと雑用がある程度だ。まずはお互いきちんと自己紹介してそれから始めてくれ。頼んだよ。オーナーはそういうとちょっと用事があるとかで出て行ってしまった。

私はこの求人に受かってしまいそのまま働かせてもらうことになった。ちなみに求人は300件ほどきてその中から私が選ばれたらしい。早速奥の机にその魔法少女がいた。ただの女子中学生に見えるがほんとにこの子に魔法が使えるんだろうかと見つめていると、

「初めまして。魔法少女の梅沢亜紀と言います。よろしくお願いいたします」先に挨拶されてしまった。

「こちらこそ紹介遅くなってごめんね。元山秀樹と言います。よろしくね」

「早速だけど今学校でやってるところの教科書やノートある?参考までに見ておきたいんだ」

梅沢さんはきちんと勉強道具を持ってきたらしくさっそく見せてもらった。彼女の学年ではちょうどこの辺だし別に遅れてはいないなとノートも見ながら眺めたので簡単な問題を出した。“I live in Tokyo”を訳してもらおうと思ったのだが返事がない。どうしたんだろう。

「すいません。まったくわからないです」彼女は消え入りそうな小声で答えた。しばらく口がポカーンと開いたままになってしまった私であったが

「すいません。学習の進行度は個人で異なりますのできちんと個人メニュー作るので頑張っていきましょう」と答えた。大学時代には塾と家庭教師両方やっていたのでまあ大丈夫だろう。

ところで近くで話してみて気が付いたがこの子めちゃめちゃかわいい。こんなけったいな仕事させていいんだろうか。そもそも魔法ってなんだ?炊飯器を遠隔操作でスタートボタン押せたりするのだろうか。事前の説明がまったくなかったのでわからない。目の前にいるのだから聞いてみようか。

「梅沢さん、魔法少女っていうことだけど具体的にはどんなことしてるの」

「えっとですね、イービルと呼ばれている魔物を退治するんですよ。放って置くと人間界に悪い影響が出てしまうそうです」わりと本格的そうだった。イービルを倒してる間に君の学習進行度が大変なことになるがと言いかけたがもちろん新人の私が言えるわけなかった。ここには君一人なのかいと聞いているところでオーナーが戻って来た。

「君には説明がまだだったね。今は梅沢くん一人だがあと3人ほど増やしたいと思っている。ついては元山くんに勧誘を行って欲しいんだ。大人でわりと見た目もいいから捗ると思ってね」会社説明の時にもまったく聞かされてないことをさらりと言ったこの人。見た目が大人で女子中学生勧誘してたら社会的な死が待っているのでは?あ、いや、アイドルなんかの勧誘もあるしいいのかなと思ったが魔法少女の勧誘でとお巡りさんに行ったら2、3時間は署に連れられて説教されそうだ。とか考えていたらにこにこしている梅沢さんが居たのでこちらもにこにこして相槌を打った。オーナーが手配した夕食を食べると時間はもう20時を回っていた。

「あの梅沢さん、けっこう遅いけどまだ居ていいのかな」

「はい、遅い時は23時くらいまで掛かりますから」なんとJCに重労働させてるじゃないか!労働法的にアウトだった気がするのだが目の前の梅沢さんはなんとも思って居ないご様子だった。

「私は一人暮らしなんでわりと自由が利くんですよ。夜の方がイービルも活発になりますし」本人が自覚してないのが一番まずい気がするのだがとりあえずこの件は私がもっと慣れてから問題にするとしよう。

「あ、イービルが出たみたいです」梅沢さんがスマホで確認したらしい。

「一緒に行ってよいかな」私は彼女のお仕事を見ておきたくてお願いしてみた。少々危険が伴いますが今夜のはそれほど大変そうではないからということで同伴のお許しをいただいた。

事務所のある渋谷を出て地下鉄に乗り雪谷大塚大塚に着いた。けっこう遠いんじゃないかなと思ってたら彼女がイービルを発見した。私には何にも見えないんだが。

「結界を張るのでそこから動かないでくださいね。私が守りますから」結界を張ると私たち以外誰も居なくなった。すると蝶というか蛾のようなイービルが顕現した。いつの間にか彼女は青のミニスカと白いノースリーブに変身して杖のようななにかを所持し宙に浮かんでいた。髪型もロングだったのにショートになっていた。そういえば変身といえば変身バンクのようなものはあったのだろうか。いや、途中で裸になったりしてたら大問題だ。まず私が真っ先に死んでしまう。

「覚悟しなさいえい」と言って棒を振ると殺虫剤?らしきものが出てイービルを苦しめている。そして弱ったところに一撃を加えるとそれは霧のように消えてしまった。なんか思ってたのと少し違ったが間違いなく梅沢さんは魔法少女だった。

「梅沢さんかっこよかったよ。正義のヒーローだね」結界を解く時間を遅らせるために話しかけた。彼女は手を振りこちらへと降りて来た。

「ありがとうございます。まだまだ未熟ですが上手く行って良かったです」近くに来てお辞儀なんてするものだから水色のブラが丸見えで危険だ。自分でそういう風に策しておいてなんだがこれは一般人や他の男には見せることは断じてできない。衣装についても相談だ(そして誰が考えたんだ…)

初日の仕事が終わったがもう21時半を過ぎていた。会社に戻るかここで直帰するかどうしたものかと悩んでいたら

「うちこの辺ですから寄っていきませんか」と梅沢さんから提案があった。ポリスポリスと10回唱えてからなんらかのチャンスかもしれないので快諾した。

「悪いね寄ったらすぐ帰るからね。教え子のお部屋見るのも大事だよね。家庭教師みたく」と無害アピールを必死でしてる自分が少々悲しく感じた。

「狭いですがこちらになります」梅沢さんの部屋は2LDKだがお風呂は浴槽だった。なかなか良い物件だ。キッチンもわりと大き目で自炊するなら使いやすそうだと思った。

あまりはしたなくない程度に部屋を見渡すと部屋の奥に仏壇があった。礼儀として私は線香を上げ両手を組んでお辞儀をした。それにしてもこのご夫妻に見える故人はいったいと考えていたら。

「両親にお線香を上げていただきありがとうございます。故人もさぞ喜んでいると思います」私は絶句した。お気軽に入社して軽い気持ちでお仕事拝見と考えてた自分を恥じた。14才で一人暮らしをしている訳をもっと考えるべきだった。

「祖父からの仕送りもありますが今の会社バイト代いいんですよね。なにかと助かってます」私の年棒もわりと良かった。どこから資金を捻出してるのかわからないが働く方はちゃんと貰えればそれで構わない。そうか、魔法少女ってアルバイトだったんだな。

「元山さん、私さっきの戦闘で汗かいてしまったのでちょっとシャワー浴びますね」はいと反射的に答えたがこれはダメだ。私の何らかがボーダーラインを超えてしまいそうだ。瞑想することにした。するとさっきの戦闘シーンの梅沢さんの姿がくっきりと思い出せた。見もしなかった変身バンクもありお辞儀をする彼女の可憐なブラが思い出された。会社に梅沢さんと直帰と連絡した。

「お風呂空いたのでどうぞ。汗かかれたでしょう」私は頷いた。

「さて、これからどうこの会社でやっていけばいいのやら」家庭教師と魔法少女勧誘が私の仕事だ。だが梅沢さんだけでこんなわたわたしてる人間に4人はどうにもなりそうもない。そもそも勧誘したらあれを誰でもできるのか?素質か何か必要ならどう勧誘するのか。まだ一日目だからこれからなのだが本当にいろんな意味で疲れた私はそのまま湯舟で寝てしまった。

「元山さん!元山さん」彼女は泣きながら私の方を見てる。なんだろうと思ったらさっき風呂で寝てしまっていたのだった。そして今彼女の部屋!?ここまで裸のまま運んでもらったのだと悟った。申し訳ないことをした。男なので下半身を見られてしまったことは気にしない。大変だったでしょうありがとうと彼女に感謝した。

「こちらこそ突然お風呂お誘いして申し訳ありませんでした。初日でお疲れだったんですよね」彼女は赤い目でこちらに謝罪したがまったく問題なんてないよと返事した。社会人なのに油断した方が悪いんだと。そしてさて帰ろうかなと立ち上がったところ

「今帰すことはできないです絶対に。万が一電車のホームでふらふらしたらどうするんですか」とたしなめられた。すると彼女は床に布団を敷き始めた。

「わたしのベッドを元山さんは使ってください。お布団はわたしが使いますから」私は頷いた。いちいち細かいことで興奮してたら本当に倒れそうだったので言われたとおりベッドで寝ることにした。







初日を終え不慣れな元山不安になる。しかし梅沢さんは献身的だった。

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