その37(最終回)
めるのお父さんが急にオーストラリアに転勤することになって…。
「のり…実はさ…今度ね、うちのお父さん、オーストラリアに転勤することになっちゃってね…で…。」
「えーっ!えーっ!マジで?マジで?ラリアに転勤って…嘘でしょ?えーっ!えーっ!ヤダー!ヤダー!めると離れ離れになっちゃうなんて、絶対にやだよ〜!」
そう叫んだ後、のりが大声で泣き出してしまった。
話はまだ途中なんだけど…。
のりってば、早とちりオブザイヤー受賞だよ〜!
「あれっ?鬼塚さん、どしたの?どっか怪我でも?」
たまたま通りかかったらしい亀梨君と鶴崎君。
「あのね、めるが、めるがラリアに行っちゃうって!わ〜〜〜〜っ!」
「えっ?ラリア?ラリアって?」と、困惑気味の亀梨君と鶴崎君。
すると泣きながらのり。
「ラリアっつったら、オーストよ〜!」
ん?
亀梨君と鶴崎君、そしてあたしも一瞬キョトンとしてしまった。
「え〜!だから〜!オーストラリアさ〜!」
あ〜!
じゃなくって、じゃあ最初からオーストラリアって言えばいいのに〜!
声に出せず、心の中で叫んでしまったあたし。
「えっ!何?山田さん、オーストラリアに行っちゃうの?えっ、嘘っ、マジで?えっ?えっ?」
何故か激しく動揺している亀梨君の耳元で、鶴崎君が何か小声で囁いた。
すると、次の瞬間、目力を強くした亀梨君が急に「あのさ!山田さん!俺さ、前から山田さんのこと好きだったんだ!急にこんなこと言ってびっくりするかもしれないけど…でも、だから、だから…その…なんて言うか…さっ、淋しいよ!山田さんに会えなくなるの、淋しいよ!」なんて言い放った。
えっ!嘘っ!嘘でしょ?えっ?
そ、そんなあ…亀梨君が…ずっと憧れてた亀梨君が…その日その日で一度でも姿が拝めれば、それだけで十分満足なんて思ってたあの亀梨君が…なんかよくわからないけれど、今、あたしのこと好きだとかぬかして…信じられない。
嘘でしょ?
信じられないよ。
今までそんな素振り微塵も見せてなかったじゃん!
えっ?ホントなの?えっ?えっ?
泣きじゃくってるのりが、亀梨君からの急な告白で固まってしまったあたしに抱きついてきた。
「める〜!良かったね〜!良かったね〜!ずっと好きだった亀梨君から好きって言ってもらえて…良かったねえ、良かったねえ…でも、でも…ラリアに行っちゃうなんて…神様、残酷すぎるよ!ラリア、遠過ぎるよ!わ〜ん!」
そして、また号泣している。
どうしよう…どうしたらいいんだろう…。
確かにうちのお父さんはオーストラリアに転勤になったけど、一緒について行くのはお母さんだけで、あたしとお兄ちゃんはこのまま2人で日本に残るんだけど…。
引越しの時、手伝いで、家族4人でオーストラリアに行って来るには行って来るけど…お兄ちゃんとあたしは大体2週間ほどで帰って来るんだけどな…どうしよう…今、そんなこと、言えない雰囲気。
どうしよう…どうしよう…。
そうしている間にものりは「ラリアに行ったらさ…コアラ、抱っこできるね…いいな…あたしも一緒にコアラ抱っこしたいな…淋しいよ…める…ラリアに行っちゃうなんて…寂し過ぎるよ…。」なんて、泣きながら言ってるし…。
どうしよう…どうしようったら…どうしよう…。
みんなになかなか言えずにいる間、のりも亀梨君も鶴崎君も、なんかあたしとの別れが永遠みたいな感じになっちゃってるよ…。
は〜あ…なんか、ちょっと疲れちゃったな…。
それからどれぐらい経ったんだろう。
のりと亀梨君と鶴崎君にちゃんと説明できるまで、随分時間がかかってしまった。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。このお話はこれでおしまいです。また新しいお話が書けましたら、その時はまたどうぞ宜しくお願い致します。今までの作品も読んで頂けたら、とっても嬉しいです。ありがとうございました。




