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その29

前日誕生日だったのり。

「昨日ね、自分で炒飯作ってみたんだけどさ。」

「え?のり!昨日、誕生日だったのに、自分で炒飯作ったの?」

「あ、うん、そう…なんかお寿司とかピザとか唐揚げとか色々用意してくれてたんだけどね…テレビ見てたら冷凍炒飯のCMやってて、それ見たら急にどうしても炒飯食べたくなっちゃってさ…。」

「うん。」

「それでなの。」

「え〜!それで〜!」

「あ、それはそうなんだけどね…あたし、もうさ、自分でこんなこと言うのもちょい恥ずかしいんだけどね…あたし、もしかしたら、世界一のチャーハニストじゃないかなあって。それぐらいすんごく美味しく上手にできちゃったのよ〜!」

「チャーハニスト?」

「そう…あれ、なんかおかしかった?」

「あ、いや、おかしくはないんだけどね…だったらさ、チャーハーの方がいいんじゃないって思ったんだよね。」

「あ〜!な〜る!確かに!そうだわ!そう!チャーハニストより、チャーハーの方がすっきりして…なんつうの…収まりがいいね!そうだね!じゃあ、これからはチャーハーにするわ!ありがとう!める。」

「いやいや、どういたしまして…あははは!」

「ねえ!チャーハーって何?」

驚いて振り向くと、後ろからゆっくりと笑顔で近づいて来たのは、亀梨君と鶴崎君。

いきなり話に割り込まれて、あたし達はびっくり。

急なのであたしは激しく動揺してしまったけれど、のりは少し照れたぐらいで、さっきの説明をし始めた。

「そっかあ、鬼塚さんは自称世界一のチャーハーなんだあ!そっかあ…一度食べてみたいなあ…なあ。」

亀梨君がそう言うと、鶴崎君も笑顔。

そして…「あ、そうそう、昨日、鬼塚さん誕生日だったんでしょ?俺ら全然知らなかったからさ…ごめんね。」

「あ、そんな、そんな…別に知らなくても、全然大丈夫だし…逆に謝られると…ちょっと…どうしたらいいのか…。」

のりの言うのはごもっとも。

「…で、これ…1日遅れだけど、ハッピーバースデー!」

そう言うと、鶴崎君は手に持っていた長い包みをのりに渡した。

「あ、ありがとう…あ、ねえ、これ、開けて、いいかなあ?」

「ああ、うん、どうぞ…あの、大したもんじゃないけど…ごめん。」

のりがゆっくり丁寧にリボンを解き、袋から中身を取り出すと…中から孫の手。

一瞬、のりもあたしもポカンとなった。

「あ…ほら…前にさ…背中痒がってたから…。」と鶴崎君。

そうでした、そうでした、そんなこともありました。

「ねえ、この後なんか予定とかある?お2人さん。」

「ううん、別にないよね…ねえ、のり。」

「うん、特には。」

「じゃあさ、これから4人でファミレス行こうよ!そんでさ、1日遅れだけど、鬼塚さんの誕生祝いしたらダメかなあ?ケーキとかパフェとかさ、2人が食べたい好きなものなんでも、俺ら奢るから。」

「えー!いーのー!」

あたしものりもサプライズは苦手だ。

でも…でもね、こういう感じのサプライズなら…大歓迎…です。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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