その21
お祭り会場に到着し、お店の設営に取り掛かる私達。すると、お隣には…
到着したお祭り会場は、思いのほか広く、私は正直ものすごく驚いてしまった。
「えっ!こ、こんな広い会場で?…え…えーっ!」
南町町内会にある北コミュニティーセンター前の、芝生が敷き詰められている一見するとゴルフ場の様な、その名も「芝生公園」
申し訳程度の遊具やベンチ、小さな噴水などあるものの、やはりメインは名前につけた通りの芝生。
芝生の上を裸足で駆け回ったり、キャッチボールしたり、色々楽しんでもらいたいということで、芝生ばかりにしたらしい。
夏にはここで大きい花火大会や盆踊り大会など、様々なイベントも年中通して行われているとのこと。
「へ〜え、活気あるねえ。」なんて思った。
東駐車場から近い場所に、私達のブースがあった。
運動会で使う様な大きな白いテントがずらずらっと並んでいる。
その下にブルーシートが敷かれてあって、そこに番号札が置いてあった。
「ブブブ.ザ.デーモンキャラクターストア」は、Bの37。
車から下ろした荷物を、みんなでえっほえっほと運んで早速お店の設営に取り掛かると、お隣のブースの方々がやって来た。
「あ〜、どうも〜。」
のりのママさんにつられて、私達子供チームも続けて挨拶。
どうやら、のりのママさんの知り合いのようだ。
事前の打ち合わせ通り、お揃いのTシャツは長袖の上に着る運びに。
すると、そこは何も打ち合わせていないにも関わらず、全員ボーダーの長袖Tシャツ。
それぞれの色やボーダーの太さなどは違えど、上にお揃いの「ブブブ.ザ.デーモン」のTシャツを着てしまえば、何となく統一された良い雰囲気に。
私はつくづくこっちの手伝いで良かったと思った。
お兄ちゃん側の、あの露出多すぎのエロ衣装を着せられることを想像すると…いや、想像なんかしたくない!
絶対にしたくないよ!
さ、切り替え!切り替え!気持ち、切り替えて!
私とのりは、早速「猫耳カチューシャ」を装着してみた。
「あらあ、か〜わいい!いいわあ!2人とも、すんごく可愛い!」
「お姉ちゃん達いいなあ…。」
優馬君のも買えばよかったかな。
そう思った。
自分達の設営に夢中だったので、お隣がどんなお店なのか全く見ていなかったけれど、ようやく作業が一段落した時、ふと覗いてびっくり!
お隣さんも、こちらと似た感じのキャラクターショップ。
あちらは「ブブブ.ザ.デーモン」と一緒にプロレスをやっている仲間、「ヒグマタイガー!」
ヒグマタイガー…って、ヒグマなの?タイガーなの?
ブブブ.ザ.デーモンの仲間で、どちらかと言えば悪役だけれど、その大きな着ぐるみと言うのか、なんて言うのかわからないけれど、ゆうに2メートルを超える大きなヒグマのキャラクター。
虎柄のパンツを履いている。
そんでもって、背中についている送風機で膨らませているので、近寄るとずっと低い機械音が聞こえてしまう。
リング上でうっかり何かの拍子に、背中の送風機が止まっちゃうアクシデントが起こると、途端にシューって静かに萎んでいく。
それと同時に中の人も倒れて、出番終了。
そのシュールな演出と、目の前の大きなヒグマタイガーがどんどん萎んでいく様が、ちびっ子達には衝撃すぎるらしく、泣き出しちゃう子もいっぱいいたっけ。
それと同時に「が〜んばれ!が〜んばれ!ヒグマタイガー!」って、応援するちょっと大きめのちびっ子達の声援も、なんか可愛くてキュンとなったっけ。
慌てたスタッフが素早くリングに上がって、ヒグマタイガーに駆け寄り、何かしらの処置を施すと、程なくヒグマタイガー復活!
それを見て喜ぶちびっ子と、びっくりしてまた泣き出しちゃうちびっ子もいて、前の時、ものすごく盛り上がった。
ブブブ.ザ.デーモンと同じく、前回のお寺での試合がデビュー戦だったにも関わらず、こちらと一緒ですぐさま人気者になったっけね。
あの「ヒグマタイガー」もまた、グッズを作った模様。
ライバルってんじゃなく、一緒にいっぱい売ろう!って、お隣の人達と固い握手をした。
そんなのが、なんだか楽しくて、私は妙にテンションが上がっちゃった。
うふふ。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




