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その10

2人で勉強中、ふと手を止め話し出すのりだが、躊躇って話すのをやめてしまう。それが気になってどうしようもないめるは、のりときちんと向き合って話を聞くと告げる。すると、まだ話すのを躊躇っているのりが重い口を開いたが…

「…ねえ、めるう…。」

「…ん?どしたの?」

「あ…うん…あ…やっぱ…いいや…ごめん、ごめん…なんでもない…なんでもない…の…ごめんね…急に話しかけちゃって…べ、勉強の続き…しなくちゃね…えへへ…テスト近いもんね…。」

「あ…うん…そうだねえ…。」

約5分後。

「ねえ、のり。」

「ん?」

「…あ、や…さっき、言いかけてた話…なんだったのかなあって思って…。」

「さっき?」

「そう、さっきの。」

「ああ…あれ…うん…もう…大丈夫…かなあ…あはは…なんか、ごめんね…気になっちゃった?」

「うん、そりゃね。」

「そっか…ごめん、ごめん…。」

「のり…聞くよ!」

「えっ?」

「だ〜か〜ら〜…のりの話、聞くから…教えてよ!ねっ。」

「あ〜…やっぱ…いいよ…大した話じゃないもん…それよりさ、勉強!勉強!勉強しよう!ねっ!」

「…ん〜…やっぱ無理…聞かないと、集中できないよ!教えて!今、一旦、休憩にしようよ!ねっ!」

「…ん〜…いいけどお…くだらないよ…それでも大丈夫?」

私はコクンと頷いた。

「…じゃあ…お言葉に甘えて…話すね…あ…あのね…今まではね…なんつうか…真鍋君って良いなあって思ってたの…。」

「あ〜、学級委員だし、生徒会長の真鍋ユキトね、うん、うん。」

「だって、背、高くて、手足長くて…頭も良くて…隣の席で数学とか、英語とか、物理とか色々…あたしがわかんないところ、すんごく丁寧に優しく教えてくれて…メガネの奥の目元とか、スッと通った鼻とかもかっこいいなあって思ってたの…クラスでは地味なガリ勉グループだし、地味な卓球同好会だし、多分…他の女子は、真鍋君の素敵さに気づいてないんだって…あたししか真鍋君のカッコ良さにキュンとしてないんだって…思ってたの…でもね、でも…なんかね、鴨志田さんがね、なんかね…多分、あたしとおんなじっぽいなあって…同じ気持ちの人って、なんとなくわかるってのか、察しちゃうでしょ?きっと、あの子も好きなんだろうなあって…でね、そんな感じだったのにね…なんかね、なんか…この前、鶴崎君におんぶしてもらった時…。」

「あ〜…背中痒くて、走って来た時!」

「そう…あの時…なんだけどね…あの時…なんて言ったらいいのか…え〜とね…その…鶴崎君も背、大きいでしょ?肩幅広くてがっしりしてて…。」

「あ〜…そうだねえ…バスケ部だったっけ?ねえ。」

「そう…そうみたい…それで…なんかね、鶴崎君も素敵でカッコいいなあって感じたの?顔とかものすごくカッコいいとかじゃないけど…なんつうか、その、雰囲気とか、声とか、仕草とか、髪の感じとか、大きな背中とか手の形とか、何気ないひと言とか色々…それで…ほら、男の子って、なんか汗臭くてちょっとって感じもあるでしょ?」

「うん。」

「そうなんだけど、そうなんだけどね…別に…嫌じゃないって言うか…逆に…ちょっと好きな臭さかもって思っちゃったの、おんぶの時、背中に顔くっつけてたら…自然と鶴崎君の臭い嗅ぐ形だったから…そしたら…鶴崎君のこと、急に…なんか…意識しちゃう自分がいて…広い背中がすんごく頼もしいってのか、安心するなあって…厚かましいけど、またこうやっておんぶされたいって…思ったの…だけど、だけど、教室に戻ると、やっぱり真鍋君も素敵って思っちゃって…そんで、一瞬でも鶴崎君のこと素敵って思ってたくせに、鴨志田さんから出てる真鍋君への熱い視線とか、好き好きオーラとかにちょっとだけムカついたりして…そんな感じで真鍋君も鶴崎君もカッコいいなあって思いつつ、違う男子に掃除の時とか、これは重いから鬼塚さんはいいよとかって、椅子とか机を動かすのやってもらったり、廊下に落ちてる紙屑なんかをさりげなく拾って、ポイってゴミ箱に捨てちゃう姿をうっかり目撃したりしちゃうと、ああ、この人素敵!って、一瞬でも、そっちの人を好きになっちゃうってのか、キュンってなっちゃったりして…ねえ、める…こういうのってさ…きっとダメだよねえ…めるみたく、ちゃんと亀梨君のことだけって感じで、1人だけを一途じゃないとさ…ダメ…だよねえ…こんなちょろく好きな人、ホイホイできちゃうのって、反則だよねえ…なんか、真鍋君にも鶴崎君にも、ものすごく悪いことしてる気がして…どちらのことも、勝手だけど、裏切ってる様な気がしてさ…ねえ、どう思う?」

「ん〜…難しいねえ…。」

正直、のりからこんな話を聞くとは想像もしてなかった。

いつものように貴族になったらどうしようとか、あんかけ焼きそばの具の話とか、また背中痒いから掻いてとか、その手の軽いタッチの話題だと思ってたから。

まさか、のりから「恋」の悩みを相談されるとは…。

さて、どうしたもんか…。

なんて答えたら、いいんだろう?

私はすぐには声が出せなかった。

それにしてものり…なんて可愛いんだろう!

そう思った。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました♪お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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