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5話 ミーシアの魔法練習 1

 草原での実験を終えた俺とミーシアは、宿に戻っていた。二人でのんびりと歩いていると、突然声をかけられた。

 

「やぁ、そこのお二人さん。ちょっと儲け話あるんだけど、興味ない?」


話しかけてきたのは20歳くらいの青年。

 儲け話、、、普通ならくらいつくところだろうが、俺は自由に金を生み出せる。奴隷商では金貨の代わりに大金貨を出したし、、、と、いうことで俺が断ろうとしたら、


「興味あります!なんですか!何をやるんですか!賞金は!?」


と俺を押しのけて詳しく話を聞こうとした。

 …なにやってくれてんの?って、そういえば、こいつは平民だし、反射的に答えたのか。

ミーシアの言葉を聞いた青年は


「やるのは闘技場でのトーナメント戦!あらたな勇者を決める試合です!賞金は、大金貨10枚と名声!どうですか?」


「いや、俺たちはそういうのは──「やります!」」


俺が断ろうとしたが、ミーシアがやると言ってしまった、、、大人しい子だと思ったのに、、、

なんて考えていると、「ありがとうございます!お名前をよろしいでしょうか?」


「ミーシアとサ──サーアです!」


 おいおい、確かの勇者の名前を出すのはまずいが、なんだよその名前、サーアって。ネーミングセンス終わってんな。ってか、なんで俺まで!?

と、話しかけてきた青年は名前をメモし終わると、そのまま「ありがとうございました」と言って走り去っていた。なんか、うん。嵐みたいだった。それよりも、


 「…なぁミーシア」


「なんですか?サルア様」


「なんで俺まで?」


「なんとなくです」


「なんでミーシアが参加するの?」


「サルア様がいるからです」


「俺、加護は発動しないからね」


「そうですか、、、えぇ!?」


クソッ、やっぱり俺頼りか。不正で優勝してほしくない。なんか嫌だ。 なんて考えている今も、


「何でですか!私瞬殺されちゃいますよ!ちょっと、サルア様ああああ!!」


と、俺の方をポコポコ叩いて抗議してくる。ミーシアって知力一般人の6倍だったはずだよな?はぁ、場合によるのかね。それよりも、そろそろミーシアがうざくなってきた。


「お前が悪いだろ。これに関しては。そもそも、なんで参加するの?」


ま、答えはわかり切ってるが、


「え?お金のためですよ?」


やっぱりか。


「俺が金を創造魔法で作れるのに?」


「あ……」


そういって、ミーシアが固まった。


「なんでそれを早く言わないんですか!?私の殺られ損になっちゃうじゃないですか!」


「知らねぇよ!?ってか、俺断ろうとしたよ!それを遮ってエントリーしたのはお前だろ!」


俺がそういうと、シュンとなってうつむいてしまった。ちょっと言い過ぎたかな? と、突然バッと顔を上げて、


「名声が手に入るからいいじゃないですか!そうですよ!お金じゃなくて名声です!」


どうやら、俺のせいじゃなかったみたいだ。ってか、だんだんダメ女になってきてる気がする。


「名声を手に入れて、何をすると?」


「うっそれは、そのー、、、いろいろですよ!」


 いろいろって、はぁ、あきらめるか。


 「それよりも、少し腹が減ってきたな。そろそろ帰るか」


「そうですね。シーラも待ってますし」


「だいぶ遅れたな。怒ってないといいが」


「怒ってるでしょうねぇ」

はぁ、やっぱりか。原因はミーシアのせいだが、やっぱり根本的な原因は世界の意思。あいつさえいなければ、、、と、過去のことは置いといて、これからのことを考えよう。

~宿~


「ただいま~」


「戻りました~」


って、あれ?俺たちが部屋にもどっても、返事がない。・・・まさか、誘拐!?なんて考えたが、それは違った。ミーシアが床を見つめていて、その視線をたどった先に、倒れ伏したシーラがいたからだ。


「お、おなかがすいたのです。ご飯、ご飯を・・・ガク」


「シ、シーラあああ!」


「なにやってんだお前ら」


ミーシアとシーラが意味不明なやり取りをしているが、一体何がしたいんだ、、、


「おい、お前ら。茶番は今は置いといて、ミーシアがやらかしたから、それについて少し作戦を立てる」


俺がそういうと、どこからか「うっ」と声が聞こえたが、無視しよう。ちなみに、シーラには創造魔法でステーキを出してやった。 肉にかじりつくシーラは置いといて、とりあえず、闘技の作戦を立てることにする。


「そんで、とりあえず、俺はある程度勝ち進んだら負ける予定だからいいとして、ミーシアはマジで殺られかねないからある程度の護身術くらいは教えてやる」


ミーシアは力が圧倒的に低いが、速度と魔力はまだマシだ。なら、魔法メインで戦ってもらった方がいいだろう。


「あれ?ミーシアの適正魔法ってなんだっけ?」


俺がそう口にすると、「適正魔法?」と首をかしげて聞いてきた。


「あー、まぁ得意な魔法って考えればいい」


「そうですか」


と、思い出した。水と回復だったな。じゃあ、、、

俺は創造魔法で杖を作る。創造魔法様様だな。ちなみに、これは回復魔法に特化してる杖だ。回復さえしちゃえば、こっちのもんよ。一応、水魔法の杖も作るが。


「ほい、これ使え」


そういって、杖を投げ渡す。さてと、次は魔法の使用だな。 なんて考えていると、シーラがこちらをじっと見てきた。


「ずるいのです。私も装備が欲しいのです」


「シーラ、お前もう肉食べ終わったのか。で、なんで欲しいの?」


「強くなるためです」


 なるほどねぇ。強くなるため。一瞬戦闘狂か?と思ったが、戦闘狂なら、強いものと戦うためと答えるだろう。しらんけど。


「強くなるためねぇ、、、」


そうはいっても、どんなものを作ればいいのかやら。剣なのか、それとも、、、


「サルア様、シーラちゃんは獣人ですし、剣よりも直接えいってやるのではないでしょうか?」


そう言って、こぶしを突き出すジェスチャーをミーシアがする。

 なるほどねぇ。ってか、「えい」って、かわいいな。ま、恋愛感情は持ち合わせないけど。それよりも、直接殴るのか。なら、、、

俺は前世で見た、異界全集という本をよんだことがあるが、確かそこに、メリケンサックという武器があったはずだ。それなら、、、

そして、俺がメリケンサックを生成すると、シーラに渡した。さっそくシーラが指をはめてみると、


 「なんか、違和感があるのです」


「違和感かぁ、、、まあ慣れるまで我慢して」


そう伝えると渋々といったかんじで了承してくれた。


「さてミーシア!魔法の訓練だ!大会までに無詠唱魔法を習得してもらうぞい!」


大会がいつか分からないけど。


「ま、今日は休んでまた明日訓練するぞ」


「はい!」


~朝~

 と、いうことで昨日の草原、、、じゃなくて、町の掲示板まできたぞ!


《勇者決定戦!新月の夜の日の正午から》


なるほど!新月か!明後日じゃねぇか!?


「と、いうことで3日で無詠唱魔法を習得してもらうぞ!ちなみに、これに関する便利スキルはない!」


昨日調べたが、見つからなかった。【成長促進】というスキルがあったが、これは肉体的というか、筋力を上げるものだった。だから、自力で取得してもらうかしかない。

 そして、ふとミーシアの方を見てみると、すごい笑顔をしていた。しかし、この笑顔は見覚えがある。


「サルア様、無理です!」


そう、あきらめの笑顔だ。なんどか見たことがあるからな。前世の俺の顔で。


「無理じゃないさ。気合で何とかなる」


「気合ではどうにもならないですよ!?」


なにいってるんだ?こいつ。前世の俺が子供のころできたんだからいけるだろ。


「なにいってるんだこいつ?みたいな顔しないでください!私はあなたとは違うんですよ!」


なぜばれた、、、


「と、とりあえずやってみようぜ?」


そういって、俺は創造魔法で器を作ってから、水魔法で水を作り出す。創造魔法でもできないことは無いが、一度に出せる量が少ないからな。それを見たミーシアは、


「え?水?」と困惑顔を浮かべていた。


「そう。水。出したいものに触れながらやったらイメージしやすいでしょ」


俺がそう言ったら、「あぁなるほど」といって、手をトプンと入れる。


と、ここでスキルのご紹介!

てっててー!【思考破棄】

拷問で使ったりするやつだな。何も感じることができないのは一番怖いって奴だ。ま、これを使って、一時的に水にしか集中できないようにする。ってことで、えい!


「このまま、10分間放置します!放置している間に、こちら!的を用意いたします!」


俺は一人そんな茶番をしながら、的を用意する。イメージで言えば、弓矢の練習場のような感じだ。これは、ウォーターボール用の的。


「こちらが完成しましたら、続いてこちら!木の棒を用意します!」


これはウォーターカッター用のやつだ。本来は石の棒の方が好ましかったが、残念ながら上手く作ることができなかった。ボロボロになってしまう。

と、そんなことしている間に10分が経過したぞい!

俺は【思考放棄】を解除する。すると、「ハッ」と顔を上げて、あたりを見渡した。

「どうかしたか?」 俺が心配になって聞いてみると、


「いえ、ただ、何と言いますか。変な感覚がしまして。いきなり情報が流れ込んできたので、すこし混乱してしまいました」


「ふーん。そんなもんか?」


「そんなもんですよ」


ま、んなこたぁどうでもいい。


「じゃ、早速ウォーターボールを試してみるか」


「え!?今からですか?」


「そりゃそうだ。3日しか時間がないからな。さ、やってみろ」


「は、はい」


そういって、手を突き出して目をつむる。すると、ミーシアの手に魔力が集まっていき、、、霧散した。


「え!?なんで?これで出来るはずなんだけどなぁ」


水がちょろっと出る位はできるかな?と思ったが、そもそも魔力変換すら出来ないとは。

魔力変換とは……は、説明しなくていいか。面倒くさいし。


 「まぁ、そうですよねぇ」


と、自嘲気味に遠い目をするミーシア。あきらめんなよ。


「うーん。魔力が練れないのか、、、どうしたもんかねぇ」


「あ、そうだ。回復魔法を使ってみてくれ」


俺がそういうと、


 「あ、はい分かりました」


そういって、手から緑の光をだす。なんだ、出来るのか。


「回復魔法はできるんだな」


「えぇ、小遣い稼ぎにけが人の治療をしてましたから」


うっ、ちょっと重い話になりそう。


「そ、そうか。回復魔法が使えるなら、水も使えると思うんだけどなぁ」


「どうしたもんですかねぇ?」


「……あ、そうだ!」


さて、また新しいスキル!【連絡】

うん。実にわかりやすい!が、これが案外使える。とりあえず、俺はとある人を連絡で呼び出す。


『なにさ。俺妻と娘と一緒に遊んでたのに。ふざけた用事なら怒るよ?』


そう、世界の意思、黒川だ!


「あんた妻帯者だったのかよ!?って、それは置いといて、ちょっとこの子に魔法を教えてほしくてさ」


『え?ならダージェさんの方が適任でしょ。なんで俺?』


「いや、ダージェさんはなんていうか、高度な魔法を使いそうで。世界の意思こと黒川はなんか初歩的な魔法から高度な魔法と幅広くこなしているように思えるので」


『うん。たしかにそうだけどさ。なんで俺だけ呼び捨て?泣くぞ?』


「細かいことは良いじゃないですか。それよりも、教えてあげてくださいよ」


『俺にとっちゃ細かくないんだけど、、、ま、先輩として後輩の頼みは聞いてやる。貸し5な』


てことで、教えてくれることになったんだけど、こころ狭いな。見返り無しで頼まれてくれよ。

なんて俺達が会話している中、ミーシアは俺以外の神が現れたからか、「えっ?えっ?」と驚いている。ま、そりゃそうか。俺の場合はあまり驚いていなかったような気がするが」


『それよりも、一回魔法を使ってみてくれ。どんな訓練するかはそれからだ』


こうして、ミーシアの世界の意思流魔法訓練が始まった。


そして、この時俺はある事を忘れていた。黒川を殴る と、いうことを。

一般人Aのステータス

筋力:102

魔力:75

速さ:110

知力:94


魔力変換

体内の魔力を操作して、魔法として具現化する技術の事。

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