29話
俺はダージェさんに、どこかの荒野に連れてこられていた。ここも創造神が創造した場所らしい。
『さぁサルアよ!儂に全力で攻撃を放ってみよ。どんな手を使っても構わない。あぁ、加護は使うなよ。実戦で使えないからな』
「どんな手を使っても構わないって言ったじゃないですか。はぁ、わかりましたよ。覚悟してくださいね!」
とはいっても、本当に全力で戦ったことはないんだよな。奴との戦いも神力を抑えながらやっていたから。とりあえず、できる限りの身体強化をして天罰を全力で放つか?
「おっと、お主が簡単に天罰の上級を使うと死ぬかもしれぬからやめておけよ」
「あっぶねぇ!全力で放とうとしてた!」
「それに、天罰もな。弱だったら雷、普通のだったら破裂とかじゃろ?ものによっては相手に効かぬものもあるから、あえて中や強ではなく弱を使ってみるのもありじゃ。さ、そんな面倒くさいことはもうよい。さっさと攻撃せい!」
「区切ってきたのダージェさんだろうに」
そんな愚痴を挟みながらも、とりあえず俺は身体強化を魔力が尽きるまでかけようとするのだが、
「すべての魔力をそれだけに使うのは実戦で使えぬであろうが。せめて半分ほどにしておけ」
とまた止められた。いったいどうしたらいいのかやら。ま、とりあえず言われたとおりに魔力を半分消費して身体強化を行う。そして自分のステータスを確認してみると、すべての値が【99999+測定不能】になっていた。おそらくかけすぎて表示できる量を超えてしまったのだろう。まぁ仕方のないことだ。
『んじゃ、行きますよ!【神の特権・天罰弱】』
弱め!と叫ぶのはダサいからやめた。
そして、俺の放った雷は正確にダージェさんをとらえ、
『・・・がっかりじゃ』
と、その時。ダージェさんがそんなことをつぶやく。
そして、立ち込める砂埃の中からダージェさんが姿を現す。その姿は髪の毛一つの乱れておらず、相も変わらないダージェさんがそこに立っていた。
『がっかりって、そんなに弱かったですかね?今だいぶ神力もっていかれたんですけど?』
『あぁ、本当にがっかりじゃ。まさかお主がここまで甘いやつじゃったとは』
ん?どゆこと?
『甘いって、どういうことですか?そこまで優しくはないですよ?俺』
『ならお主、なぜ追撃しなかった?儂は圧倒的格上の相手じゃぞ?一撃で勝てるとでも思ったのか?さっきも言ったじゃろう。実戦を想定しろと。今頃お主死んでおったぞ?』
『それは確かに、そうですが・・・』
『いいわけか?お主は自分にも甘いようじゃな』
『うるさい!そもそも俺はダージェさんほどの戦闘技術はないんだぞ!それに俺は最弱の神だ。求められていることを簡単にできるわけがないだろう!』
『醜いのぅ。すぐ言い訳か。しかも怒りに身を任せる一番醜い言い訳じゃ』
『うるさい!黙れ!』
『うるさいがきじゃのぅ』
『黙れええええええ!』
俺はそう言って、ダージェさんに殴りかかるが、いともたやすく避けられる。
反撃されるかと思ったが、ダージェさんは反撃をしないでそのまま立ち尽くすのみ。それが俺の怒りをさらに湧きたてる。
その怒りが、俺の中の黒いものを一気に増幅させる。
『うむ。それに加えひどく短気と来たか。救えぬな』
その一言で俺の中の黒いものは全身を侵食する。ことはなく、全身のほとんどを侵食されたが、一部は残っている。
そしてそれをダージェさんは察知したのか、眉間にしわを寄せる。
『そう来おったか。これは、面倒くさくなったな。さてと、どうしたものか』
そういって、ダージェさんは額に汗を浮かべる。いったい何をそんなに焦っているのか。
『これはすごいですね。これがダージェさんの目的ですか?』
『こ、こんなはずではなかったのじゃがな・・・』
力があふれる。今なら何でもできそうな気すらする。
そうして俺は、ダージェさんに手の平を向ける。
『行きますよ。【神の特権:天罰”強”】
破壊しよう。歴史を。




