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閑話 道化少女の夜のひと時
うっさぎーなべ!うっさぎーなべ!
「だいぶ暗くなってきたわね。宿に泊まれたらよかったのだけれど」
そういって、焚火に薪をくべる一人の少女。
森で生きていくにはあまりにも華奢な肉体をしている彼女だが、彼女を心配する者は誰もいない。なぜなら、そこには人は来ないからである。
「それよりも、どうやってあいつに復讐するかよ。こ、殺しはしないとして、こてんぱんに懲らしめてやらないと」
そうつぶやく彼女の手には、少し前に捕獲していた兎の肉が握られていた。
彼女は少しだけ仮面を外し、その肉へ食らいつく。
仮面の隙間から見えた彼女の瞳は、すこしだけあどけなさが残った、それでいてきれいに澄んでいる水色だった。その瞳に映るのは、何もない。
「お兄ちゃんったら、本当に困った人。欲深い人ね。それよりも、この兎あまりおいしくない」
彼女は、何を思ってそうつぶやいているのかは、神ですらわからないだろう。ただひとつわかるのは、彼女は調味料を所持していないことをひどく悔いているということだけだ。
そして、飯を食べ終わった彼女は、再び仮面を戻し、木の上へとのぼると、目を閉じて、軽い睡眠をとった。
食べてるのは兎鍋じゃなくて兎の骨付き肉ですけどね。




