閑話
前回投稿した文が少ないのなら、短期間で少ない文を投稿すればよいのだよ。
「ふはははは!よいぞ!実に素晴らしいではないか!燃えろ!燃えよ!何もかもを焼き尽くせ!」
燃え行く人間を眺め、彼は、混血の魔王は嗤っていた。
なぜこのようなことになったのか。時は数週間前まで遡る。
▼▽▼▽
それは、一人の旅商人の一言が原因だった。
「もう一度申してみよ。余が許そう」
「ですから何度も申し上げた通り、貴方様の力は不完全なのですよ」
やれやれと首を振りながらそう答える彼は、ただの旅商人だ。それ以上でもそれ以下でもない。
本来であれば即刻首をはねられる物言いであるが、魔王は彼を殺めることはしなかった。
「・・・理解できぬな。余は生命の頂点に立つものである。人類最強と謳われたあの勇者を葬るほどの力を有しておる。余に足りぬものなどないと思うが?」
「それが、あるのですよ。足りないものが。それはもう決定的、致命的、絶望的に!まぁ、私はそれでもかまわないのですがね。しかし、このままではいつかあなたは自らの身を滅ぼすことになるでしょう」
気色の悪い笑みを浮かべ、そう叫ぶ彼の眼は、驚くほどに澄んでいた。
「わからぬ。貴様は何をしたい?忠告をしたいのか?余を陥れたいのか?わからぬ」
「本当にわからないのですか?仕方がありませんね。王のために教えて差し上げましょう」
あまりにも無礼な態度をとるので、応接間で控えていた兵士が一斉に武器に手をかけるが、彼はそれを手で制止する。
「言っておくが、面倒な前置きをは不要である。さっさと言うがよい」
「そんなに急かさずとも大丈夫ですよ。といいますか、そこまでたいしたことではないのです」
そして、一泊おいて告げる。
「あなたには、資格がないのですよ。真の魔王たる資格が。知っているでしょうか?真の勇者には称号に【勇者】というものがあるのです。そして、魔王にも真の魔王には【魔王】という称号が与えられます。あなたには、それがありませんよね?それと、覚悟もできていません。あなたは、人を殺めたことがありませんね?人族だけではありません。ありとあらゆる種族、まぁ、虫などは例外かもしれませんが」
「・・・」
魔王は黙って、彼のいうことをただ聞き続ける。
「そういえば、こんな話があるのですよ。城の地下には微弱ながらも魔力が放出されている何かがあるそうです。それは狭い空間を頻繁に移動しているそうです。まるで生きているように。あぁそういえば、あなたには兄弟がいましたよね。あなたと瓜二つな双子の・・・兄?弟?どちらだったか。まぁそのようなささないなことはどうでもいいのです。御生まれになったと噂になった時には、2つの強大な力を感じたのですが、いつの間にか片方しか感じなくなりました」
「・・・何が言いたい?」
「いえ別に?言いたいことなどは特にはありませんよ。半分独り言といってもいいです。ま、多少本音をさらけ出すとするならば、、、貴方様もいずれはそうなるのではないでしょうか?限界は近いでしょう」
彼がそこまで言ったとき、彼の体は弾け飛んだ。突然の爆発によって。
その爆発によってあたりは煙が立ち込める。そしてその煙が晴れた時、そこには肉塊になった商人と、ただただそれを見下ろす彼の姿があった。
▼▽▼▽
「我は至高にして最強の魔王であるぞ!我が不完全など会ってなるものか!血肉だ。喉が潤う!新しき感覚よ!血が滾り気が高ぶる!我こそ、我こそ王にふさわしいのだ!」
村に火を放ち、女や子供の血をすする彼の心は、まるで子供のようであった。見返してやろうと、力を誇示する。
「我を崇めよ!我を称えよ!我は王である!」
声高らかにそう叫ぶ彼の声には、震えがあったが、それは本人にすら感じ取ることはできなかった。
そこには恐怖があったのだろう。すぐそこまでやってきている、あの力が一気にすり減っていく感覚への恐怖が。




