22話 サルアの記憶
さてと、なんか、頑張って書いたんですけどね。前まではすらすらと言葉が思い浮かんできたのに、今日はなぜか思い浮かびませんでした。なぜでしょうか。
すこし、昔の話をしようか。そうだな。あれは確か、大体15年くらい前の話だ。俺がまだ小さくて可愛かった頃の話、まぁ聞いてくれ。
彼、勇者サルアの過去の話。
「サルアぁ!遅いよぅ!早くしてぇ!」
「はぁ、はぁ、待ってよ──!追いつけないよ!」
いつもの様に、二人で走りながら、いつもの場所に向かう。いつも通りの日常。
村のから少し離れた小高い丘、そこが俺と──との遊び場だった。
──って奴は少し、いや、結構やんちゃな奴でな。無茶ばっかしてたことしか記憶にない。
「やっとぉきたぁ」
そういえば、彼女のしゃべり方はすごく聞き取りずらかったことを覚えている。規則性といえば、変になるのは2か所だけ、そして1つは言葉の最後につけるってことくらい。
「仕方ないじゃないか!──とかけっこの勝負させられるなんて聞いてないよ!」
「いいわけぇはしなぁいのぉ」
「うるせぇやい!俺だって頑張ってるんだよ!というか、なんで──はそんなに足が速いのさ!俺結構足速い自信あったのに、、、」
「上にぃは上がいるんのだよぉ」
まったくもってその通りだ。だが、その時俺はそれが気に食わなかったのをよく覚えている。
「ちぇっ、俺だって本気を出せばお前にだって勝てるもん」
「そぉう?じゃぁやってみるぅ?」
「やらない!俺が負けるのわかってて言ってるだろ!」
「あれ?気づいぃちゃった?ごめんってぇ。じゃぁ、遊ぼうかぁ。鬼ごっこでいいかなぁ?」
「だああああああああああ!」
「あはははは」
今思い出しても、ちょっとムカつく。
まぁ、そんなムカつきながらも楽しい日々を過ごしていたわけだ。だけど、ちと困ったことが起こった。
村を襲った突然の豪雨、それが、この村を洗い、汚した。
「子供たちを部屋に入れろ!決して外をのぞかせるな!」
「土をかぶせろ!できないのなら布でもいい!」
くらい部屋の中、俺はただ一人でうずくまっていた。心細かったなぁ。子供だからね。ただ、そんな心細さを、ぶっ壊した。
「こんにぃちわぁ。あぁいにきたよぉ」
声が聞こえた。──の声が。
「どうやって来たの?」
「転移まほぉうだよぉ」
転移魔法、別名テレポート、まぁわかるわな。ただ移動する魔法。ただ、まぁ空間系魔法だから高等魔法だからね。その高等魔法を、俺と同年代の少女が使って見せた。はっきり言って異常だ。だが、当時の幼い俺は、ただ”すげぇ”としか思っていなかった。仕方ねぇだろ!
「なぁんか、さみしそうにしてるねぇ。だいじょぉうぶぅ?」
「うるさいうるさい!べつに寂しくなんかない!」
「はぁいはい。泣きたいなぁら泣きな」
「泣いてねぇし!」
ウソだ。泣いていた。ただ、男の子だからな。そういう嘘もつきたくなるものさ。
「実はぁね、大雨の影響で変なものが出てきちゃったんだってぇ」
不意に──が、そんなことを言い出した。
「変な物って?」
「さぁねぇ?おぉとなたちがいつには、結界らぁしいけど」
「結界?どんな?」
「さぁすがにわかんないなぁ」
「そっか。そうだよね」
それから、しばらく二人で話していると、だんだんと眠くなってきた。そして、眠りに落ちるその瞬間、声が聞こえた。
「いただきます」
蒸し暑い、うるさい。そんな居心地の悪さで、俺は目を覚ました、どうやら、外は雨が降っているようだ。この時期では、あまり珍しくない。ただの雨だった。ただ一つ違ったのは、この家には、両親も、──もいなくて、外では大人たちの声が聞こえていた。
「あれ?父さんと母さんは?それに、──も。」
相も変わらず、家の中は薄暗い。
とりあえず、外に出てみようと思い、扉に手をかけるが、開かない。しかし、鍵がかかっている様子はない。
家を出ようとしたら扉があかないとか、子供の俺にとってはただのホラーだ。
「開けて!開けてよぉ!パパ、ママ、、、」
ここで両親をそう呼んだのは、孤独だったからか、恐怖を感じていたからか、よく覚えていない。ただ、ねっとりとしたこの空気のせいで、額に脂汗が浮かんでいたことをよく覚えている。
とうとう叫び疲れた俺は、扉を背にして座り込んでしまった。ただ座り込んで、ぼーっとするだけ。
しばらくそうしていると、いつの間にか雨はやみ、窓から日が差し込んでいた。すると突然、扉が開かれる。
父と母だった。
扉を背にしていたせいで、開けられたと当時、俺は外へと身を投げ出す。そんな俺を見て、両親は笑っていた。
その日の夕食の時、一体外で何をやっていたのか聞いたが、答えてはくれなかった。
次の日、俺たちはいつもの様にあの遊び場で遊んでいた。ただ一つ違ったのは、──が、日傘をさしていたことだろうか。突然の事だったから、よく覚えている。
「どうして傘をさしてるの?雨は降ってないよ?」
「これぇは日傘だよぉ。紫外線はぁ肌によくないからねぇ。肌荒れぇ防止だよぉ。汚い乙女は乙女じゃないってぇねぇ」
「ふーん、変なの」
今になって考えると突然日傘をさすなんておかしなことだろう。しかし、当時の俺はそんなこと気にも留めなかった。
それから、何度か自然災害が俺達を襲ったが、大して生活が変わることは無く、しいて言うならば、──とのかかわりがより濃くなったくらいだろうか。具体的に言うと、家に泊まることが多くなった。ま、その時は朝起きたときに気分が重いことが多いのだが、当時の俺は家に女子がいるからという緊張のせいだと考えていた。
それからしばらくは、村に何の変化もなかったのだが、突然変な人たちがこの村に出入りするようになった。──は、珍しく怯えていた。理由を聞くと、「しらぁない大人がいたから緊張しただけだよぉ」と答えてはいたが、当時の俺から見てもその怯えようは普通じゃなかった。
その大人たちが、ヴァンパイアハンターだと知るのは、そう遠くない未来のことだ。
流石にそこまで情報がそろえば、俺だって察してくる。──は、ヴァンパイア、またはそれに属する何かなのではないか、と。
それから無性に、俺は彼女の事が怖くなった。しかし、そんなものは杞憂だった。
どうしてそう思ったのか、それは、村一斉に浄化魔法が発動されたからだ。その時、──は隣にいたが、まったくと言っていいほど変化がなく、特に変わった様子もない、いつも通りの──がそこにはいた。
その日の晩、俺は、──を疑ってしまっていたことを打ち明けた。それを、──は笑って許してくれた。嬉しかった。だからこそ、見逃していた。俺を見る、彼女の眼を。
次の日起きたら、──は姿を消していた。
しかし、誰もそれを気にも留めなかった。まるで、もともと存在しなかったかのように。しかし、──の存在していたと証明する痕跡は残っている。木に掘った俺たちの名前、──と作った秘密基地、俺と──との記憶。それが、彼女が存在していたと証明していた。なのに、なんで村人たちは、あんな反応をするのか。今でも分かってはいない。
それから数年の時が経ち、俺は神に、勇者の称号を与えられた。理由は単純明快、初代勇者の血を継いでいる、そして、勇者を名乗るにふさわしい実力を持っているから。だから、気づいた。いや、気づいてしまった。俺のこの力が、俺のこの記憶を、正しく塗り替えていく。
──は確かに存在していた。しかし、遊びで行っていた模擬戦で俺は彼女を殺した。しかし彼女は生き返る。彼女は俺に殺されたことに激怒し、天変地異を起こす。それに恐怖を感じ、村中の大人たちは村の大人一人を生贄に、村に結界を張ろうとする。しかしそれは──によって妨害される。そして、村の大人たちは次なる手段として聖職者を呼ぶが、、聖職者たちは殺された。だれに?──にだ。俺の隣にいたのは彼女の分身であり、本体は聖職者たちを殺して回っていたのだ。しかし、どのみち──には聖職者たちの攻撃は通用していなかったであろう。なぜなら彼女の正体は、人々に忘れ去られ、今はすでにその種族を討伐する方法さえ忘れ去られた・・・それ以上は、思い出せなかった。
思い出した記憶の中で、最後に見た彼女の記憶、それは、彼女が土の中へ入れられ、石で封印される光景だった。
そして、土に入れられる直前に、──は言葉を発した。大きな声で。だが、記憶から聞こえてきた声は、俺の予想していた言葉とは違った。
「戻れ!後ろを見ろ!避けろ!」
その時、俺は気付いた。これは、走馬灯だと。
『クソがよ』
次回は、4月中旬までには投稿する予定です。もしかしたら一週間以内に投稿するかも。まぁそれは期待しないでまっていてください。




