3話 初の眷属
『さてと、なぜか眠ることができて新しい朝が来たのだが、俺、どうやって下界行くの?』
俺の仕事は主に下界でやるはず。なら、下界に行く必要があるのだが、何せ俺が今いるのは真っ白な空間。外に出れねぇ、、、
『どうしたらいいんだよぉ!こんな真っ白な空間に閉じ込められて!どうやって仕事をしろと!?』
俺はこの空間にセルフ軟禁状態なわけで、、、
『あ、そういえば、神なんだから創造できるじゃん。じゃあ、部屋作ってみるか』
そう言って、俺は創造スキルを発動する。そして、四角形の光が俺を覆ったと思うと、俺はいつの間にか部屋に立っていた。
『おぉ、すげぇな。俺が愛用してた宿とめっちゃ似てるじゃん』
そして、俺は創った部屋を少し見てみることにした。とはいっても、何度も泊ってる宿と同じ造りだから意味ないんだけどさ。ベッドに木の机、それと小さいクローゼット。うん。見慣れた光景だね。
と、ここで俺は一つ疑問に思ったことがある。
『扉開けたら、食堂とかも作られてるのかな?』
俺は少し期待に胸を躍らせながら、扉をあけ放った。そして、その先にあった光景を目にして、俺は固まった。
『おいおい、マジですかい。そんなことあります?』
俺の視線の先では、背中に羽の生えた天使や、神聖なオーラを振りまく人たち。あの人たちが神族かな?そして、俺はあるものが目に留まる。それは、端の方にある大きな階段だった。もしかして、下界に行くためのやつか?
『あからさますぎるだろ。転移魔法陣とかじゃないの?なんで階段?』
そう言いながらも、俺は階段の方へと飛んでいった。途中一人の魔族が見えたが、気にしないでおこう。
さてと、階段にたどり着いたわけだが、、、
『なぜだ!?なんで階段の下に転移魔法陣がある!?じゃぁ階段必要ないじゃん!普通に魔法陣設置しろよ!?』
階段までたどり着いたは良かった。ただ、階段を降りようとしてみると、その階段は十数段しかなく、その下に青白く光る転移魔法陣。
『はぁ、もう疲れた。気にしてたら体がもたない、、、』
そして俺は、下界転移魔法陣に飛び乗った。あとで聞いた話だが、神は下界に降りると人の形になるらしい。ま、それはどうでもいいか。
▽▼▽▼
次の瞬間目に入ったのは、薄暗い街だった。一瞬スラム街かと思ったが、家などは荒れてないから違うのだろう。ただ、どうしてこれほどまでに薄暗いのか。
「なぁ、そこの人、どうしてこの町はこんなに薄暗いんだ?」
俺が近くにいた男に話しかけてみると、男は突然泣き出した。
「勇者様が、うっ、お亡くなりになった。魔王に、、、敗れて、、、うわあああ」
Oh.原因俺でしたか。なんかすみませんね。
「そうなんですね。ありがとうございます。ただ、勇者様も、こんなくらい雰囲気は嫌がるのではないでしょうか?なら、新たに勇者が現れることを願い、盛大に葬式とかもやってみては?」
決して!邪な考えゆえの行動じゃない!そうだ、新たに勇者が現れるためだ!別に俺、まぁ正確には前世の俺だが、別に目立ちたいわけじゃないさ!
すると、俺の言葉を聞いた男の人は、
「そうか、、、葬式くらいは、やってあげなきゃ可哀そうだよなぁ」
そういって、トボトボと去っていった。なんか、心が痛む。っと、そんなことよりも仕事しないと。・・・どうやって?
「そういえば、スキルで探知って奴があったな。使ってみるか」
そういって、俺がスキルを発動させる。イメージとしては、白い壁からシミを見つけるような感覚だ。
「・・・反応ねぇな。ってことは、近くには対象がいないのか。地味に大変だな」
そして、とりあえず俺はこの街を探索してみることにした。
~酒場~
「……」
「…………」
「失礼しましたぁ」
めっちゃ雰囲気悪かった。どんよりした感じ。
~冒険者ギルド~
「俺こそが真の勇者にふさわしい!崇めろぉ!」
「いや、俺が真の勇者だ!」
「ッチ」
ムカつくな。
~商人ギルド~
「勇者がいなくなってからというもの、物流が滞っていますよ」
「勇者、意外と世に貢献してたんだな」
「はぁ」
意外とってなんだよ。
と、いうことで最初の所に戻ってきたわけだが、なんか全体的に雰囲気悪かったな。ま、それよりも一つ気になっていることがある。
「これ、どういうことだ?」
《勇者サルア様葬儀兼新勇者誕生祈願祭》
と旗がたれていて、屋台などの準備をしていた。
名前なげぇよ。ってか、葬式じゃなくて葬儀が。はずかし。いや、どっちが正解なんだ?ま、気にしないでおこう。それよりも、
「行動速すぎないですか?」
俺が最初に声をかけた人が指示を出していたから、声をかけてみる。
「いや、あなたのおかげで大事なことに気づかされましたよ。感謝しますよ」
「それにしても行動が速すぎるだろ!?」
「まぁいいじゃありませんか。開催は午後8時からの予定ですので、ぜひ参加してくださいね」
そういって、男は走り去っていった。
「なんか、、、よくわかんねぇ事になってきたな。俺仕事するために降りてきたんだよね?」
ま、一応参加してみるか。人が集まるだろうし、もしかしたら見つかるかもしれないからな。
~夜~
『さてと、なぜこうなった?』
今の俺の姿は、神。人の姿ではない。
『どうしてだよ!?何?夜になったらこうなるの!?厄介すぎるだろ!?』
一通り叫び終えて冷静さを取り戻す。
『ふぅ、ふぅ、、、神になってからろくなことがない。それもこれも全部あいつのせいだ、、、』
俺は頭に世界の意思の姿を思い浮かべながらため息を吐く。
『ってあれ?確かスキルに、、、』
冷静になって思い出した。【擬態】スキルを。早速発動してみると、
「おぉ、やっぱりできた。さすが俺、、、はぁ」
自画自賛しながらも、俺の幸せな最弱ライフが遠のいていくのを感じ、少しむなしく感じる。なんてやってると、もう8時を過ぎていた。
「はぁ、行くか」
そうして、俺が広間にやってきたわけだが、、、何やってんだこいつら?
広間の中心で腕相撲をしている漢達がいた。いや、女性もいる。一体なにをしているのか、気になったから近くの人に聞いてみると、
「あぁ、あれは新勇者決定戦だよ」
と言っていた。うそでしょ?腕相撲で勇者決めるの?ってまてよ?負けた人達の中にもしかしたらいるんじゃね?
そう思い探知スキルを発動する。 すると案の定、
「いたよ。人類最弱」
いや、負けた人の中にはいなかった。ま、それはそうだ。力に自信がない人はそもそも参加しない。探知に引っかかった人は、屋台で焼き鳥を食べている女性だった。
「さてと、加護を与えればいいのは知っているけど、女性に話しかけるってナンパだよな?どうしようか、、、」
人類最弱の人は、結構美人である。ナンパと勘違いされて避けられたら元も子もない。と、ここで俺は一つの案を浮かべる。
「洗脳スキル使えば、行けるんじゃね?」
神でなしと罵られるかもしれないが、仕事のためだ。もちろん、仕事が終わったら解除するさ。ということで、俺は洗脳を発動する。すると、女性は手からポロっと持っていた焼き鳥を落とした。あとで、新しい焼き鳥買ってあげよう。そう思いながら、路地裏に入るように指示をすると、女性はゆっくり路地裏に向って歩き出した。女性が路地裏に入ったことを確認すると、洗脳を解除して、俺も路地裏に入っていく。
「こんにち、、、は?」
アレレ、オカシイヨ!ジョセイガオトコタチニ、ウデヲツカマレテルヨ!
ま、綺麗な女性が路地裏に入ったらそうなるわな。なんて考えている一方、女性たちは、
「や、やめてください!え、衛兵を呼びますよ!話してください!」
そう言って腕を必死に振りほどこうとしているが、男たちは、
「ここから呼べるわけねぇだろ?さ、向こうでおたのしみと行こうや」
そういって、女性の腕を引っ張る。
まずいな。連れていかれるとちょっと困る。あと、俺が原因だから心も痛む。ってか、お決まりパターンすぎるだろ。俺は神になってから何度目かもわからない溜息を吐いて、
『なにをしている。矮小な人間どもよ』
神化して、男たちを威圧してみた。もちろん、威圧スキルを使ったぜ!すると、思ったよりも効果が大きかったようで、
「う、うあぅだ、、、」
とわけの分からない声を上げている、、、女性も。
やっちまった!俺はすぐに女性に洗脳スキルと神の特権、記憶消去を行い、洗脳を解除する。すると、女性は正気を取り戻していた。ま、男は現在進行形で狂ってるけど。ちなみに、女性を洗脳したのは抵抗させないためだ。信用してくれていたら洗脳の必要もないのだけど。そして、
『やぁ、お嬢さん大丈夫ですか?俺が来たからにはもう、安心だよ!……たぶん』
と声をかける。
たぶんとつけたのは俺は確定しない主義だからだ。過去にカッコつけたら、ボコボコにされた。それから、俺は確定しない主義にシフトチェンジしたわけだが、、、今回は確定と言っていいだろう。なんせ、男が戦闘不能なのだから。
『じゃ、ちゃっちゃと終わらせるか。えーと、、、神の特権!天罰!弱め!』
俺がそう叫ぶと、上空から雷が落ちて、男を貫いた。天罰つえぇ、、、ま、威力は抑えてるから死にはしないだろう。全身やけど位は負うけど。
俺の天罰をくらった男は、全身やけどして地面に倒れ伏した。
『さてと、もう一回聞くけど、だいじょぶそ?』
俺が女性の方を振り返って聞いてみると、女性はガタガタ震えていた。ま、確かに怖いよねぇ、、、
と、ここで俺の相棒!スキルをご紹介するぞ!てっててー!【結界製造・精神安定結界】
スキルの効果は、まぁ自分の好きな特性の結界を製造するって感じだね。魔力消費量ヤバいけど。
俺が結界を発動すると、女性は落ち着いたのか、「ス―、ハー」と深呼吸をして、
「あ、助けていただきありがとうございました。えっと、貴方は?」
と聞いてきた。この質問を待っていた!これならナンパと間違われない!
『元勇者サルアです。今は最弱の神サルアって名前で神さまやらせてもらってます』
俺は思うんだ。正体を隠して何の意味があるのだろう、と。そして、俺は加護を授ける。すると、
『ピローン【眷属が1名増えました。名前「───」】
と頭に響いた。おぅ、加護って眷属を増やすのと同じなのね。って、あいつら!俺を眷属にしやがったな!?俺は天界であった神3人の顔を思い浮かべる。
と、今は女性の方を優先しよう。女性の名前が聞こえなかったということは、名前のない平民か。すると、女性の方は加護が与えられたのを感じたのか、目を見開いている。
「ほ、本当に神様なんですね。って、元勇者様?なぜ神様に?」
うっ、痛いところついてきたな。
『えっと、その、、、魔王に殺られました。そしてなんやかんやあり、神になりました』
だが、心のきれいな俺は、包み隠さず正直に答えた。それを聞いた女性は、
「あ、そうなんですか。すみません。でも、お仲間はどうされたのですか?」
そう聞いてきた。俺の話を聞いて失望しないとは、なかなか優しい人みたいだ。で、仲間の件だが、、、
『俺はソロで活動する主義だ』
ま、まぁ?嘘は付いていないさ。
「あ、ボッチだったんですね。かわいそうに」
やめて!そんなかわいそうな人を見る目で俺を見ないで!
『うっ──はい』
無駄に反論するのは俺のポリシーに反する。だから、今回は認めてやろう。
「そうなんですね。なんか、すみません」
『謝られたら逆に心にくる、、、』
「あ、すみません!それで、なんで下界に?神様と言ったら天界ですよね?」
と聞いてきた。神の事をおいそれと話していいのだろうか?なんか嫌な予感がする。
『えっと、特定の人物に加護を授けながら仲間を増やすためだよ』
微妙に内容を変えてみた。これなら、問題ないだろう。すると女性は、
「そうなんですねぇ。あ、それなら私もついて行くのですか?」
『うーん、そうだね。どっちでもいいよ。ついてきても、付いてこなくても』
強制するのはよくないからな。そもそも、仕事に含まれてないから、無理に連れ歩くのもよくない。俺は恐らく断るだろうと思っていたが、予想に反して、
「行きます!絶対に行きます!誰が何と言おうと!」
と俺の手を握って答えた。
『え?いいのか?本当に?』
別についてきてもいいのだが、彼女は最弱の人族。危険すぎる。って、あれ?確かスキルに──って、俺スキルに頼りすぎだな。ま、便利なものは使わないと損だ。宝の持ち腐れって奴だな。使い方あってるか分かんねぇけど。と、いうことでここでも紹介するぜ!てっててー【身体強化】ま、言葉の通りだな。これを彼女にかける。
すると、彼女が少し雰囲気が変わったような気がする。ちょっと確認してみるか。 ということで、俺がステータスを確認すると、
種族:人族 年齢:21
Lv:3 筋力:21+100
魔力:56+150 速さ:94+100
スキル
【調合】
称号
【神の巫女】
加護
【最弱の神サルアの加護】
『ピローン スキル【ステータスオープン】のスキルレベルがLv2になりました』
おぅ、スキルレベルなんてあるのか。って、結構強くなるのね。・・・加護起動してみようかな・・・
ちょっとした出来心だった。加護起動──
俺が加護を起動した瞬間、女性からすっごいオーラが出てきた。
種族:人間 年齢:21
Lv:3 筋力:21+100+5012
魔力:56+150+4954 速さ:94+100+5301
「あれ?なんか力が湧き出て、、、」
『うおお!加護OFF消えろおお!』
すると、オーラが消えて、ステータスも落ち着いた。
しばらく、加護は封印だな
生前のサルアのステータス
筋力:5012
魔力:4954
速さ:5301




