17話 獣人の里4
いつもより1500文字ほど少ないです。まぁ、最近は少しサボって4000文字にしていたので、正確には500文字ほど少ないといった方がいいのでしょうが。
「終わったかな?」
俺は目を開けてそうつぶやく。何が終わったのか、それはもちろん、爆弾の設置だ。分身の位置を確認すると、全員が俺の方へ集まってきている。
ここで爆発させてもいいのだが、ミーシア達も死ぬと思うから、多分創造神に殺られる。ってことで、俺は手っ取り早く、
「5・4・3・【テレポート!】」
テレポートを発動させる。もちろん、ミーシア達が乗っている馬車を移動させるためだ。ミーシア達は里の門の前で待機しているからな。森の外までテレポートさせた。
「2・1は甘えだ。っと、そんなことよりも…」
俺は里周辺の気配を探る。ないと思うが、万が一誰かが森の中に入ってきていたら危ないからな。
そして、気配を探ってみたわけだが、
「うん、いるね」
いた。明らかに獣人じゃない気配があった。いや、時々獣人の気配に変わるが、なんか、いろんな種族の気配が入れ替わったりしている。意味が分からない。
種族によって気配の感覚が違うから、気配を探れる奴はその気配の持ち主の種族を当てることができる。が、こいつは意味わからないな。ちなみに、獣人はなんていうか…楕円形?
「ま、今はそんなことどうでもいい。【テレポート】」
俺はそう言って、気配の持ち主の足元に魔法陣を形成した。が──突如、パリンッと割れるような音をたてて、魔法陣は破壊された。誰に?もちろん気配の持ち主だ。
恐らく、何かの罠と思ったのだろう。だが、巻き込まれては困る。
「【テレポート】」
俺はもう一回テレポートを発動させようとするが、結局魔法陣は破壊される。
「キー!こうなったら、、、【テレポート】【テレポート】【テレポート】【テレポート】【テレポート】」
俺は 5回連続でテレポートを発動させる。が、そのすべてが破壊される。
「チッ、めんどくせぇ」
俺はそう言いながら、ゆっくりテレポートの魔法陣を構築していく。破壊されないように魔力を少し多めにして強度を上げようと思ったからだ。魔法陣のほとんどは魔力の量で強度が変わるからな。
「食らいやがれ!すこし壊しずらい【テレポート】!」
そう言って、もう一度テレポートを発動させた。そして、魔法陣にピシッとヒビがはいった。
「マジで?って、やべぇ!どうしたら・・・」
ひびが入る程度は問題なかったが、入った場所が問題だった。なにせ、転送先が設定されているところが壊れたのだから。
そして、急いで修復しようと思ったが、時すでに遅し。魔法陣はすでに魔法として独立し、気配の持ち主を転送する。
「……お、俺は悪くない。壊そうとしなければよかった話だ。ってあれ?」
責任から逃れようと一人そう言っていると、さっき転送させたはずの気配を感じた。不幸中の幸いというべきか、その気配はミーシア達と反対側の方へ出ていた。
「よかったぁ」
なんてやっていると、いつの間にか俺の分身たちが戻ってきていた。そして、その手には男女、大人子供合わせた数名の獣人。
「これは?」
まぁ、聞かなくてもわかるが。なんせ、分身とはいえこいつは俺だ。記憶は共有している。この獣人達は、里の端の方で暮らしていたのだろう。爆発に巻き込まれる可能性があったから連れてきた。はず。
そして、やっと俺は問題が解決した。
「これで、爆弾を起爆できる」
そう言って起爆装置のボタンに指を押そうとしたら、ヒュンッと風気をる音を立てて、ナイフが飛ばされて、起爆装置に命中する。
そして、その飛んできたほうを見てみると、
「非常識だ。あまりにも非常識だ。我々は平穏に暮らしていたというのに、なぜ貴様らはその平穏を脅かす。非常識だ。非常識だ。非常識非常識非常識非常識」
と、非常識を連呼する異常者一名様ご案内。
「なんだ、お前か」
俺はその男の顔に見覚えがあった。なんせ、俺を案内して、牢にぶち込んだ張本人だからな。
「うるせぇ。そもそもお前はシーラを誘拐しようとしただろうが。それのどこが平穏なんだ?え?」
俺がそういうと、男は
「うるさい!この非常識野郎が!我々が平穏と言えば平穏なんだ!」
と、鼓膜が破れんばかりの声量でそう叫ぶ。
「うるっせぇよ。もう一回ねておけ」
俺が子供のころ読んでいた物語だと、このような敵は中ボスというのだろう。しかし、俺は思うんだ。“なんで、こういう敵を速攻無力化させないで戦うのだろう。”と。
ほかにもやりようはあるだろう。もちろん、倒す手段を見出すために戦うのはわかる。だが、自分より圧倒的に格下相手なら、戦うよりも、催眠とか洗脳とか、そっちの方が友好的だと思う。と、いうことで、
「とんっ」
首の根元を、首が飛ばない程度に力を入れて、首の骨を折った。物語とかだと軽くたたくだけで気絶させていたが、そんなことできるはずがない。
もちろん、この男は後で起こすさ。気が向いたらね。
ってことで、起爆装置へ目をやると、
「そういえば、壊されてたな」
ど真ん中にナイフが刺さった起爆装置が目に入った。
「これじゃあ、起爆ができないよ!」
とはならない。俺は手っ取り早く創造魔法で同じ起爆装置を創造し、速攻でボタンを押す。そして、数秒待つと、突如、言葉で言い表せられないほどの、体に響くような轟音が空気を揺らす。
「あれぇ?こんなに強い爆弾じゃないと思ったんだけどなぁ?」
俺が用意したのは、小さい箱に入った2種類の液体と、ほんとに小さな爆発を起こす装置だ。
これは、勇者だった時に、偶然知り合った魔力を使わない魔法使いが使っていたものを再現したものだ。たしか、りゅーさんってやつと、、、なんだっけ?
「うーん、ま、忘れたなら仕方ないか」
幸いにも、それほど甚大な被害って訳ではない。ま、想定していたよりも範囲が広かったが、まぁ仕方のないものは仕方ない。遅かれ早かれ、ここの里は獣人はいなくなったはずだ。俺のせいでだいぶ早くなったが。まぁ問題ない。
「それよりも、獣人の里は滅ぼしたことだ。こんなところとは早くおさらばだな。っと、忘れてた」
俺はそう言って、首がありえない角度で曲がっている男の獣人を回収する。他の獣人に見つかって埋葬でもされたらさすがに復活はできないからな。と、思ったが。
「重い、面倒くさい、生理的に無理」
俺には男を所持するということができなかった。ってことで、
「ちょっと拝借」
俺は男の指を一本切り落とし、保存結界をかける。これで、気が向いたらこの指にバックフロータイムでも使って復活させればいいだろう。
そうして俺は、この里を後にした。
▽▼▽▼
「戻ったぞー」
テレポートで馬車の前に転移し、馬車に乗り込む。すると、
「あ、お帰りなさいなのです。って、まだその姿のままだったのです」
そういって、シーラが顔をしかめる。そんな姿を見てミーシアは、
「そんなことより!これは何ですか!」
そう言って、木の板を指さす。そこには、
《子供 復活 テレポート 里親 孤児院》
と書いてあった。
俺はそれを見て、「あー」と思い出す。
「それ、あれだ。処刑された子供生き返らせて孤児院にテレポートさせたから一応報告しただけ」
そう答えると、ミーシアは納得したような顔をしたと思ったら、また頭の上に疑問符を浮かべる。
「あれ?これが送られてきたのって結構最初の方でしたよね?ほかにもいろいろ報告することとか無いんですか?さっきすごい爆発音聞こえましたし…」
「あー、それはな。それ送った後、ちょっと面倒になって報告しなかった。以上!」
そう言って、話を強引に終わらせる。これ以上報告とか里での出来事とか聞かれたらちょっとマズイ。だって言える分けねぇだろ。ほとんどの獣人を気絶させ、同じ獣人を2度殺したなんて。
ミーシアは、強引に話を終わらせた俺を見てすこしジト目で睨んできたが、言えない物は言えない。
「ま、んなことはどうでもいい。そろそろ、新しい仲間を増やそうと思う」
そう話を切り出すと、ミーシアが待ってましたと言わんばかりに食いつく。
「やっとですか!仲間が増えるんですね!弱いの私一人ですこし気まずかったんですよ。あぁ、やっと最弱の自分に嫌になる生活とはおさらばだぁ」
そう言って、なぜか涙を流すミーシア。
「そうかそうか。よかったなー」
俺はそんなミーシアに、棒読みで返答する。
すると、シーラが俺に、
「次仲間にするのは、やっぱり獣人なのです?」
そう聞いてきた。が、
「うーん、まだ未定だ。獣人と関わってきたし、やっぱり獣人を仲間にしようかな?」
まだ誰を仲間にするとも決まっていなかったから、適当なことは言えない。が、まぁ獣人が一番手っ取り早いと思っている。
「んじゃ、いつまでもグダグダ話してねぇで、そろそろ出発するか。忘れ物とかは大丈夫か?」
「多分、大丈夫だと思います」
「雀卓ヨシ!毛布ヨシ!その他もろもろヨシ!問題ないのです」
と、二人が俺に報告する。
それを聞いた俺は、「じゃ、もう出発させるぞ」そう言って、鞭をふるう。
「次は、どんな奴が仲間になるのかやら」
俺は、次の仲間に、少しだけワクワクしていた。
物語的には、こんな風に言うのだろう。
この時の俺は知らない。この会話に、明らかな違和感がある事を。
これで、第一章終了!続いで第二章の開幕です。章の名前が少しネタバレになるかもしれませんが、二章1話の時点でもう誰を仲間にするかはわかると思うので、問題ないはずです。




