11話 サルアの試合
・・・なぜここにいる?どういうことだ。こいついつも家族自慢ばかりで俺が呼び出すとめっちゃキレるくせに、なんで自分から来たんだ?
『いきなり呼び出すからキレるんだよ。お前頭大丈夫か?』
「しれっと心読むなよ。そんで、どうして来たんだ?」
『えーとな、ちと伝言を預かったから伝えに来た』
「伝言?」
黒川(神)が俺(神)に伝言を伝えに来たんだ。当然、伝言を預けた者も神に決まってる。
『とりあえず、伝言を伝えるぞ。《やぁ、僕は、、、なんていったらいいのかな。とりあえず、
創造神って言っておこう。そんなことは置いといて、本題だ。ちゃっと終わらせる。君はルールを破りかけた。今回は見逃してやるが、次はない》だってよ。詳しくは俺も知らねぇし知りたくもねぇ』
と、伝言が掛かれた紙を指で挟みながら黒川が言う。
「えーと、ルールって何?」
『お前さぁ、人の話聞いてたか?知らねぇよんなもん。もう俺は帰るぞ』
そういって、黒川は姿を消した。
「・・・何だったんだ?あいつ」
俺はそう言いながら、試合の準備をした。
しばらく待っていると、司会の男の声とともに門が開かれた。
「さぁ!続いての試合は、これまで無数の人間の命を奪ってきた殺し屋、闇ピエロ!対する相手
は、先程の女性の彼氏!さて、どちらか勝つのでしょうか!」
俺はゆっくりと歩みを進める。すると、大きな玉に乗った仮面の男が玉を転がし迫ってきた。
「なんか、俺が見上げてるの癪に障るな」
「ひょひょひょ!なら引きずりおろせばいいのです!」
そういって、器用にぴょんぴょんと球の上ではねるピエロ。
「あぁ、そうさせてもらうよ。それよりも、お前笑い方変えた方がいいぞ、モテないだろ」
「ぶち殺す!!」
と、一通り穏やかな談笑をすませ、互いに距離をとる。そして、試合開始のゴングが鳴った。
「まずは手始めに、ひょい!」
そう言って、ナイフを俺の眉間めがけて一直線に投げる。
「危ないなぁ。もっと優しく投げてくれ。それと、ひょっていうのは癖なのか?」
俺は軽く首をかしげて避ける。その次の瞬間、ナイフがもう眼前にあった。
「ウィンドウォールって、突っ切ってきたぁ!?か、かいひぃ!」
俺は地べたをはいつくばって避ける。が、さっきのミーシアの試合でわかっているだろうが、
「敵を目の前にして地面に手を付けるとは。舐めてますかな?」
こうなる。そして、ピエロが玉ごとジャンプして、俺を踏み潰そうとしてくるが、地面をけって素早く逃げ出す。
「逃げてばかりでは、いつまでたっても勝てませんよ!」
そう言って、今度は複数個のナイフを投げて来る。
「ウォーターウォール!お、これは通用するんだな」
俺が水の壁を作りナイフを止める。そして、
「はい、これいらないから返すね」
そのままナイフの向きを変え、風魔法で吹き飛ばす。
「ひょあ!?」
そんな間抜けな子を出すピエロ。
「さぁて、まだまだ本番はこれからだ!なんてカッコつけたが、、、それアリなのかよ?」
ナイフを返したことでちょっと調子に乗った俺を待っていたのは、分身したピエロだった。
「「「ひょひょひょ!まだまだこれからですよ!」」」
そう言って、3人同時に突っ込んでくる。
「ナイフ投げてくれたらやりやすかったんだけどな」
「それを知っているから、こうするのですよ」
「もっと考えて発言してみてはいかがですか?」
「・・・」
一人は無言かよ。
「ひょひょ さすが降参ですかな?」
顔は見えないが勝ち誇った顔をしているであろうピエロが聞いてくる。
「だぁれが降参なんてするかクソピエロ。童貞が粋がるな」
「ひょひょひょ!それを言うならあなたも一緒でしょう?それに、何度も同じあおりが通用すると思わない事ですね!」
そう言って、三人同時に踏みつけようとしてくる。
「わりぃが、俺は童貞卒業済みだ」夜の店でもうとっくにな。
「な、なんですと!?・・・ふぅ。海か山か選ばさせてやるよ!」
そういって、さらに攻撃が激しくなる。
「うわぁ、すっげぇ速い。って、うおわぁ!?」
俺が余裕ぶってよけていると、どこからともなくナイフが飛んできた。
「ひょひょ!見えているものだけが現実とは限らないのですよ!」
そういって、またナイフが飛んでくる。
「ッチ、めんどくせぇ」
未来でも視れたら、、、ん?未来?・・・思い当たる節はある。あるのだが、極力使いたくない。こいつは戦闘力は高い方だ。あれは使い道に、、、って、投擲物は動かせないよな?なら、使えるかもしれない。
「ふぅ、スキル【未来視】」
突如、視界が歪む。
「ひょひょ、そんなスキル知りませんねぇ。ハッタリでしょう?」
ナイフが複数の方向から飛んでくる。が、俺は簡単に避けた。
「なにぃ!?」
と驚くピエロ。ま、この作戦にも抜け穴がある。俺の動き次第で、投げるかどうかが決まってくる。俺が未来を意識しすぎて体を不自然に動かしたりしたら投げられないでスキを突かれるかもしれない。こんな風に。
俺の腕に、ナイフがかする。ま、これくらいなら問題ないが、深く刺さると問題ありだ。なぜなら、血が出ないからだ!こんな風にな!俺の腹にナイフが深々と刺さっている。やべぇええ!!
「あなた、なぜ血が出ない?」
「おい、あいつ何者だ?」
「イカサマ?」
おっと、観衆が疑問を抱き始めた。ヤバいねぇ。が、対処法はある。創造魔法で俺のゴーレムを創り出し、そこに乗り移れば、、、
「俺のクローンを壊すとは、やるじゃないか」
ごまかせる。
「ほう、今までは手加減していたと?」
「あぁ、もちろんじゃないか」
俺の力は半減している。が、さっきの戦いでは10/1の力すら出していない。さっきよりちょっと頑張れば、同じような戦いはできる。
「ひょひょ!その余裕、いつまで保っていられるか」
「ふっ、まだ手加減してやるよ」
「貴様ぁ!」
ピエロを怒らせたところで、ラウンド2開始だ。
「【ファイヤーボール】」
直径30センチほどの火の球を出現させ、相手めがけて放つ。が、簡単に避けられてしまった。
「ひょひょ!そんなものですか!」
そう言って、こいつはまた突進してくる。3人同時に、と思い警戒を分散させていたら、
「背中ががら空きです」
と背後から声が聞こえた。
「なに!?」
俺が振り返ると、、、誰もいない?と思った瞬間、ピエロに腹を殴られた。
「降りてきてくれたのか?案外優しいじゃねぇか」
「あなたとは大違いですね」
ムカつくなぁこいつ。めっちゃムカつく。
「【ファイヤーボール】」
「だからそれは、通用しないと──」
「溶岩、怖いねぇ。【ウォーターボール】」
ピエロがしゃべっている間に、俺は闘技場の地面とファイヤーボールを掛け合わせて溶岩を作る。そして、そこにウォーターボールをかけたら、、、
「どっかーん」
俺がそう口にすると同時、激しい熱風と蒸気が俺達を包み込む。もちろん、観客は結界で保護したさ。ま、霧のせいで試合は見れないだろうけど。
「死んじゃったかな?」
俺がさっきまでピエロがいた場所に声をかける。
「ひょひょひょ!さすがに驚きましたよ、ガードしていないと危なかったですねぇ」
ピエロ男の声が聞こえた。
「チッ、やっぱり生きてやがったか。しぶてぇ野郎だ」
「ひょひょ!舐めてもらっては困りますねぇ。私だってなかなか強い方なのですから」
突如、激しい強風とともに霧が晴れる。
「お前、すげぇな。アレ吹き飛ばすなんて。物理的に可能なのか?ま、出来たってことは可能なんだろうな」
「ま、そういうことですね。さぁ、構えてください」
「言われなくても、そうするよ」
さぁて、ラウンド3だ。
俺は構えて敵の動きを待つ
「こないなら、こっちが行きますよ!」
そう言って、またも踏み潰そうとしてくる。が──
「もらったぁ!」
俺はピエロが乗っていたたまに全力でアッパーをおみまいする。と、球はパンッと風船のような音を立てて割れた。残ったのは真っ二つに割れた球。風船なのか風船じゃないのか、どっちだよ。ま、今の俺にはそんなこと関係ねぇ。
「さてと、これで同じ土台に立てた」
その気になれば空も浮けるが、なんかそのあとのことが面倒くさそう。ここに来る奴は常識がないからな。人の迷惑なんか関係ないって言うだろうし。押しかけられて注目されて、、、あぁ、面倒くさそうだ。
「貴様、よくも、よくもやってくれたなぁ!地獄に落ちやがれ!スキル!【支配】」
そう言って、俺にスキルを発動する。ってか、こいつスキル使えるんだ。ってあれ?スキル持ちがいるってのに司会は何も言わないのか?
ふと疑問に思ったのだ。さっきから静かすぎると。俺があたりを見渡してみると、、、
「なぁ、皆気絶してるぜ?」
人があまり見当たらなかった。見えてる人は気絶しているし、見えていない人はおそらく椅子から落ちて倒れているのだろう。
「お、おい貴様!」
「これどっちが勝っても見届け人がいないと意味なくねぇか?」
「ちょっと、おい!貴様!話を聞け!」
「あ~もう、なんだよ、うるっせぇな」
「なぜ、なぜ貴様に支配が通用しない!」
さっきから騒いでいたピエロに、仕方なくかまってやると、そんなことを言われた。ま、もちろん決まっている。
「そんなの簡単な事さ」
「簡単?どういうことだ」
『俺が、神だから』
神化して、宙を浮きピエロを見下ろす。誰も見ていないなら、これをやっても問題ない。誰も見ていないからな。これで男は怯えてもう面倒な勝負も終わり、、、かと思ったのだが、
「神、、、そうか、神か!なら──貴様を倒したら私が神を倒す初めての暗殺者となるだろう!」
突如、ピエロがすさまじい跳躍をみせる。そして、俺の目の前に来て、回し蹴りをしてきた。
『おいおい、重心がまともに支えられてねぇから、そんな攻撃は意味ねぇだろ』
俺がひょいっと避ける。それでも、男はまだ攻撃をしてくる。
『面倒だなぁ、さっさと諦めなよ』
「いいや、あきらめないね!貴様を倒して俺は世界の頂点に立つ!」
そう言って、さらに攻撃の速度を速める。もはや、普通の人には相手できないだろう。もしかしたら、こいつは優勝していたかもしれないな。
『世界の頂点って、そんなにいいものか?』
俺が疑問に思ってその問いを投げかける。なにせ、人の頂点ですら、うんざりするような生活を送っていたんだ。世界の頂点など、ろくなものでもない。
「知らないな、だが、もうすぐ知ることになろうだろう!貴様を引きずりおろしてな!」
『お前、めんどくさい性格してるなぁ』
「黙れ!貴様に言われたくない!」
『ふっ、確かにな。自分でもその自覚はあるよ。だが、お前ほどじゃねぇだろう』
ま、もっと面倒な奴を知っているが、黒川とか、黒川とか、黒川とか・・・うん。
『はぁ、めんどくせぇな。お前、頂点目指すのか?』
「当たり前だ!それが、長年追い求め続けた目標なのだ!」
『死ぬかもしれないぞ?』
「何を言う!そんなのとっくの昔に腹決めてんだよ!」
『そっか。それは、俺を倒してなれるのか?』
「当たり前だ!」
『そうか。だが、それは間違った認識だ』
「どういうことだ?」
このセリフは言いたくなかった。自分の醜いところを認めているようで。だが、馬鹿の教育にはもってこいだと俺は思う。
『俺は、【最弱の神】だ。つまり、俺よりも圧倒的に強い神が何人もいる。それに、お前のステータスを視させてもらった。大体2000くらいだった。それじゃぁ、人類の頂点にすら立ててねぇよ』
「なん・・・だと?」
『いいことが知れたな。ま、それを活用する機会はないだろう。神である俺の命を狙ったんだ。どうなるかは、分かっているだろう。死ぬ覚悟も、出来ているらしいしな』
俺がそういうと、男が後ずさりし、ドサッとしりもちをつく。
「や、やめ、やめてくれ、お願いだ」
『ふっ、おせぇんだよ。【記憶消去】』
そうして、俺は勝利を収めた。本当は天罰にしたかったが、殺すのは無しだから記憶だけ消させてもらった。ま、一部ではなく、すべての記憶を消させてもらったけどな。
ピエロ男のステータス
筋力:2350
魔力:1854
速さ:2850
知力:450




