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10話 ミーシアの試合 etc

超忙しかったけど頑張って書きました。まぁ、ゆっくり書いたらもうちょっといい文章かけたんですけどね。ただ、なんか私のプライドが許さなかった。

 「うおおおおおお!!」


闘技場に歓声が響き渡る。その歓声の中心にミーシアが立っている。そして、ミーシアの目の前にいる男は、ものすごく不敵な笑みを浮かべている。ミーシアのこと舐め腐ってんな。ミーシアは確かにクッソ弱いが、天才だからなぁ、、、なんて考えていると、男が一気に距離を詰める。


「うおらあああぁ!!」


「う、うわあぁ、魔が魔力を以て──キャ」


ミーシアが魔法を使おうとしたが、その前に蹴りを入れられて吹き飛ぶ。男は、さらにいやらしい笑みを浮かべる。そして、ゆっくりとミーシアへ向かって歩みを進める。すると、


「うお!?」


と言って、足が地面に沈んだ。そして、男が身動きが取れなくなる。

恐らくだが、吹き飛ばされたときに小声で詠唱して、水を一点に集中させたのだろう。はめたら水を分散させ固めれば終了だ。


 「試合終了ですね」


ミーシアがそういうと、一気に歓声が沸き上がる──かと思ったが、


「なるなクソアマがぁ!」


そう言って、足を強引に引っ張り、地面がヒビをいれながら隆起し、足が抜ける。


「うおおおおお!なんと!絶望的な場面から這い上がってきたぁ!」


まだまだ試合は続くみたいだ。


 「なるほど、身体強化ですか。こざかしい」


「いやいやいや!こざかしいのはどっちだよ!?」


ミーシアの言葉に、相手の男が思わずツッコム。


「【我が魔力を以て世界の理を覆せ!って、うきゃあああああああああ」


ミーシアが突然素っ頓狂な声を上げる。それもそのはず、ものすごい形相をした男が突進してきたのだから。


 「か、かいひぃ!」


身体を倒してなんとか避けるミーシア、だが、戦闘において地面に手をつくのは、まぁヤバい。


「背中ががら空きだ、ぜ!」


ミーシアの背中に男の肘が落ちる。


「ぐあっ」


ミーシアは攻撃されながらも、何とか距離を持つ。


 「もう、死ぬかと思いましたよ。ただ、覚悟はできました【ヒール】」


・・・やりおった、こいつやったな。


「へ?」


「さぁ、勝負はここからですよ?」


「「「うえええええ!?」」」


 観客たちの驚いた声が聞こえる。そりゃそうだ。戦闘中の回復魔法は、地獄だからな。魔力はどんどん減っていくし、魔力が枯渇するか敵が倒されるまで戦い続けないといけないからだ。


 「ふっ、おもしろくねぇ」


「そこはおもしれぇっていう場面ですよ」


二人は軽口をたたいているが、表情は真剣そのもの、常に敵の動きに注意している。そして、ミーシアが「うりゃあああ!」と叫びながら突進する。が、こんな単純な動きは


「ふんっ!」


簡単にカウンターをもらってしまう。腹を殴られたミーシアは数メートル吹き飛んで、またヒール、そして、小声でぶつぶつ言った後にまた、


「うりゃあああ!」


と叫びながら突進する。


 「お前はバカか!?なんで二度も同じことをくり返す!?」


そう言っている男だが、こぶしを引き、半身になってカウンターの準備をしている。


「ハッ!」


男のこぶしの射程距離に入った瞬間、またミーシアが攻撃される。「ぐふっ」そう言いながらミーシアが体をくの字に曲げる。が、今回はヒールをかけないで、また突進──しなかった。

「【我が魔力を以て世界の理を覆せ!マジックウォーターオペレーション!】」


魔法を発動した。自分に。男は止めなかった。なぜなら、達人だからだ。魔力の流れを読むことができたのだろう。ミーシアが自分に魔法を発動した、それも攻撃魔法を。それを理解したから止めなかったのだ。だが、これは悪手であった。


「くっ」


ミーシアの顔が苦痛の表情を浮かべる。しだいに腕は赤黒くなっていき、破裂した。


 「おいおい嬢ちゃん、何やってんの」


「今に、わかりますよ!」


そう言ってミーシアが突進する。そして、男の剣の攻撃可能範囲ギリギリまで来た時、ミーシアが破裂した腕を男へ向けた。


「目つぶしです」


ミーシアがそう言った瞬間、血が一直線をえがいて男の目をふさいだ。


「うおっ」


男が避けようとするが、間に合わない。男がひるんだ一瞬のすきに、


「我が魔力を以て世界の理を覆せ マジックウォーターオペレーション」


魔法を発動──しなかった。否、出来なかったのだ。突如、ミーシアをひどい立ち眩みが襲い、倒れ伏す。


「魔力切れ、、、」ミーシアがそうつぶやく。


もう、ミーシアに戦う体力は残っていなかった。


 「ッチ、面倒な女だった。だが、これで終いだ」


そういって、ミーシアの眼前に剣を突き出す。決着がついた。


「試合終了!勝者、騎士の男!」


 司会が勝者を宣言する。そして「「「「うおおおおおお!!」」」」とかつてないほどの歓声があがり、男が拳を天へ突き出す。そして、


「早く来い!急げ!」と治癒士の声が聞こえ、複数名の治癒士がミーシアを囲むと、ヒールをかけながらミーシアを担いでいった。


 「──グロかったなぁ」


俺は、そんなことを言いながら医務室へ向かった。


 医務室に来た時、ミーシアはすぐに見つけることができた。まぁ、誰でも見つけることができるだろう、なんせ、


「もっと治癒士を呼べ!死なせたらウチの沽券にかかわる!」


ミーシアを複数人の治癒士が囲んでいたからだ。まぁ、ミーシアは助からないだろうな。ヒールでは失った血は取り戻せない。残念だが、また新しい人間を──

そこまで考えた俺を何かが襲った。物理的な攻撃じゃない、、、恐怖だ。何かに威圧された、弱者が強者に睨まれたときのような圧倒的な恐怖が俺を襲ったのだ。


「やっべぇな。これ、助けないといけないやつですかね?はぁ、分かりましたよ助ければいいんでしょ」


俺がそうつぶやくと、威圧感は消えた。面倒なことだ。


 「ほい、ちょっと失礼」


俺が治癒士の間に割って入ると、


「なんだ貴様!邪魔をするな!」


とさっき治癒士に指示を出していた男が俺を怒鳴ってきた。


「うるせぇよ。人間風情が」


俺が睨みながらそう言うと、男はビクっと体を硬直させ、引き下がった。


「はぁ、まぁシーラが寂しがるだろうしなぁ、、、神の特権 【バックフロータイム】」


 俺がそれを発動すると、どこからともなく血液が集まってきて、ミーシアの腕から体内に入っていく。ま、口にも透明な液体が入っていったが。そして、肉塊が腕にまとわりつき、赤黒い腕を形成し、やがて普通の色になる。


「行くぞミーシア」


それを確認した俺は、ミーシアを背負って医務室を出た。


「はぁ、すんげぇ疲れた。時間巻き戻すのめっちゃキツイ、本当にヤバい」


俺は足を引きずって闘技場への通路を歩いていた。


「こいつ、なんであんな無茶するかなぁ、、、俺がいなかったら死んでたぞ。ったく」


背中にいるミーシアに悪態をつきながら歩く。


「サルア様、無茶ってどんな無茶ですか?」


背中から声が聞こえた。


「うおわぁ!?お前いつから起きてた!?」


驚いて、思わずミーシアを落としていしまう。


「ちょっと前からです。それよりも、サルア様!レディになんてことするんですか!」


「あ、いやその、、、悪かった。ってか、お前も悪いんだぞ!あんなしなくても、他にやりようはあっただろ!」


「やりよう?」


ミーシアが首をかしげる。


「は?お前頭は無駄にいいんだからさぁ、え?思いつかなかったの?」


俺がそう聞くと、ミーシアは手の平を突き出した。


「え?手相占い?ごめんだけど俺占いは信じないタイプだから。ってか、占いで戦法決めるのか?」


「違いますよ!ちょっと待ってくださいって意味です!まず、戦法って何ですか?私まだ戦ってないですよね?」


「──は?ちょっと待て、ミーシア、お前はどういう経緯でここにいる?」


俺がそう聞くと、ミーシアは頭のおかしい人を見るような顔をして、


「サルア様、もうボケてしまわれたのですね。かわいそうに」


口に手を当てて「およよよよ」となくふりをするミーシア。


「ちげぇよ!?ってか、さっさと答えろよ」


「仕方ないですね。えーと、朝起きて身なり整えてサルア様のクローンを間違えて連れて行って、それからなんやかんやあってサルア様を医務室に運んで、今に至りますね」


んな~るほどね。つまり、記憶がないわけだ。まぁ、よく考えれば当たり前だよな。俺が使ったのは時間を巻き戻す能力、つまり、記憶もなくなるわけだ。


「えっと、端的に言おう、お前は記憶喪失だ。そして試合で負けた。大けがして俺が時間を巻き戻して今に至る。OK?」


「えーと、よくわからないですけど、、、えっと?」


「うん、ミーシアは何も考えなくていい」



「えっと、はい分かりました」


ミーシアが困惑しながらも、まぁ何とかなった。

そして、ミーシアと二人で闘技場の中心へ行くと、一部の人間が観客席からおりて、衛兵に止められていた。こっそり盗み聞きしてみると、


「あれは未知の現象だ!魔法の技術が大きく前進するかもしれない!」などと言っていた。


多分、あれのせいだろうな。俺はミーシアの時間を巻き戻した時のことを思い出す。あの時集まってきた液体は、ミーシアの体外に出た体液だ。魔法でそいつを引っ張ってきたわけで、地面に付着した血痕がひとりでに動いたのだから、そりゃあ、ねぇ?


「サルア様、あれはどうしたのでしょう?」


「あぁ、あれはかくかくしかじかだ。」


「サルア様、それが本当に通用すると思いますか?」


「やっぱりむり?」


「ですね。それで、何があったんですか?」


「説明面倒くさい」


「はぁ、サルア様らしいですけど、それよりも、あれじゃぁ試合続行できないじゃないですか」


「俺は別にいいよ?」


「そうですか。──粛清」


「わかったよ。やりますよ。やればいいんでしょ!【洗脳】んでもって、戻れ」


俺がそういうと、騒いでいた人たちが全員歩いて去っていった。


「サルア様、もっと自然にできないんですか?怖いですよ、さっきまで怖い顔してた人が突然真顔になって歩き去っていくなんて」


「別にいいじゃないか。それよりも、次は俺だよな?面倒だけど、行ってくる」


「はい、行ってらっしゃい」


と短く会話して準備に向った。


 俺が選手の準備室に行くと、いくつかの武器が置いてあった。


「なにこれ、針?これも武器なのか?使うやつは、、、暗殺者とかしか思い浮かばねぇな。こう、毒をぬってさ」


俺がそう独り言を言っていると、


『お前、独り言多すぎるだろ。あ、もしかして幻覚見えてる?』


「・・・え?」


ここには俺しかいないはずだ。ここに俺以外の誰かがいるのはおかしい、俺に気づかれずに接近するのは。しかも、さらにおかしなことがある。聞き覚えがあるのだ。声に。俺がゆっくりと首をひねって振り返ると、、、


『よっ』


黒川がいた。

寒くなってきましたねぇ

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