入学 8
夕食は6時だという話を聞いたが、その30分前に、先輩たちに食堂に呼び出された。
皆でぞろぞろ集まると、そこには三年生達が既にいて、その中の1人が言った。
「皆。俺は鍵矢第一の三年生にして、ここの寮長の朝一花束だ。まず皆。入寮おめでとう!」
「おめでとう!」
三年生の先輩方に、一斉に言われる。つまりこれは、歓迎会か何かだということか?
「さて。ところでこの学校、特に想像科は、体力が資本だ。そんな特徴もふまえて、我らが寮では入寮日に一つのイベントをしている。それは、力試しと運試しだ!」
力試しと、運試し?
力はともかく、運とは?
いや、というか食堂で力を試すの?
「まず皆に、コップ一杯の牛乳を配る。その後、皆で腕立て伏せだ。きちんとこなすか、ギブアップの時点で牛乳を飲め。牛乳は体にいいからな。アレルギーとかでダメだという者以外、ちゃんと飲むんだぞ。ちなみに、折角だから三年生も腕立て伏せをする。俺だけは一応監視役ということで立ったまま見守っているが、当然三年は全員腕立て百回できる。そして新入生の皆も腕立て百回をノルマに、鍛えてもらう!」
えー。
なんともいえない空気が、俺たち新入生をおそった。
「さあ。それでは、各自牛乳確保!」
「さあ、新入生。こっちに来い!」
「牛乳を配るぞー!」
なんだか、拒みがたい空気を感じながら、俺たちは先輩方から牛乳をもらう。
そして先輩方も牛乳を用意すると、等間隔に広がりながら、気合いを見せた。
「よし。それでは皆。手を床につけ。新寮生歓迎腕立て伏せ、開始!」
こうしてよくわからない流れで筋トレが始まった。
そして俺は、腕立て30回をギリギリおこなって、ギブアップ。
「ほう。もう脱落か。だが筋肉は一日にしてならずだ。むしろここまでやれた記録を胸に刻め。31、32!」
どうやら俺が一番最初にリタイアしたようだ。
ちょっとくやしいけど、寮長の言う通り、今の自分の力を受け入れよう。そして、腕立てで高ぶった腕の熱を、牛乳飲むことによって冷やす。
ごく。ごく。ごく。
ふう。なんだか、変な寮に引っ越してきてしまったかもしれない。