詩 黄昏の世界のドラゴン
暮れる世界に佇む
一匹の竜は
夕日に向かって
寂しげに鳴いている
雨が降って
陽がかげって
朝が去って
夜が来るよりも早く
鱗の上に影が落ちる
「世界の色を教えてほしい」
光が遠ざかってからが 長すぎて
どんな景色だったか
もう 忘れてしまったから
悲しみに蓋をして
思い出を封印して
空へ逃げる
大切なものは全部
地面の上においてあるから
目が届かないところにいこう
――自由になりたい
――しがらみに縛られることなく
「何もなかった昔のように」
「ただ無心に、空を飛べたなら」