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黒鬼赤鬼の脱獄

97話 黒鬼赤鬼の脱獄


「派手にやってくれたな」

「役人さん、俺たちは話し合いをしてたんだ、そしたら、この連中が襲いかかって来たから俺らは相手したまでだ。周りの見てた連中にも聞いてみな、ウソは言ってねぇ」


「わかった。おい、早く怪我人の手当を。ちゃんと血は流せ。キレイに掃除しろよ! ここは大事な観光地だ」


「行くかアニキ」


「おい待て、コレだけ派手にやったんだ。少し話が聞きたい。お前らも来い!」

「だってよ、カイ付き合え。役人さんよぉエゴンの旦那と話はついてんだろ」

「黙ってついてこい」



 マンダニ 詰め所。


「お頭、役人の警備兵長が二人の釈放料を要求してきました」

「なんだと。あの男、欲張りやがって。あの騒ぎの後処理代は払ったはずだ。コトは済んだ。もういらぬ二人に金は出さん。煮るなり焼くなり好きに処分しろと言っとけ!」

「頭領、あの二人に払う分浮きますなぁ」

「奴らを捕まえてくれて大助かりだ。欲張り役人め。フッハハハハハ」


 翌日、大通りの食堂。


「奴ら派手にやったそうだな」

「ああ、役人に捕まったそうだ。捕まったら、エゴンのヤロー知らぬ存ぜぬだそうだ。バカな奴らだ雇い主に裏切られたな。しかし、牢の中じゃ話に行けねぇ。俺は牢破りだからよけーだ」


「あんたら、よかったね。連中の争いに巻き込まれなくて」


「女将おはよう。思ったより早く終わっちまった」



「おーい女将。いつまで休みなんだ。メシ食わしてくれ!」


「うるさいねぇあんたらのせいで休んでんだよ、修理代払ってもらうよ!」


「ガルガンダの連中に請求しな!」

「ほか、行こうぜ」


「まったく、マンダニにの連中ぅ払う気ないね」


「グッピーどうするんだ相手が牢の中じゃ」



「おお、あんたらまだ居たのか」


「兄さん!」

「農場の」


「町に乳汁を届けに来たんだが、町中で大騒ぎだ」


「何があったの?」


「罪人が逃げ出したと聞いたが、どーもおかしな事になっている。逃げたというが罪人が堂々と港を歩いてる」


「オヤジ、役人が奴らを囲んだ」

「罪人はマンダニの詰め所へ向かってるらしい」


「どうするグッピー」




 マンダニ 詰め所。


「お頭、大変だ。牢から逃げ出した二人がコチラに」


「なに、逃げただと。不甲斐ない役人共だ」


「その、役人が今、女神像の前で奴らを取り囲んで」


「頭領、アレ使いましょう。アレなら奴らでも」

「アレとは?」

「奴隷船の中に……」



「役人だから手応えあるのかとも思ったが」


「たいしたことねぇな。指南役の顔が見たいぜ」


「ヤローの首とって金、いただくぞ。このままじゃただ働きだ」


「誰の首をとるって」


「エゴン・モローのだ。おっ、そっちからお出ましか。今頃金を持って来たって遅いぜヴァンデルさんよぉ俺は怒ってる」


「罪人などにやる金はない」


「エゴン・モロー来たか」


「馬車を前に」


「なんだ、そのでかい馬車は?」


「貴様らのお相手だ、出せ」


「おお、そいつは……」


「南方の決闘場で活躍していた黒いバーサーカーだ。黒鬼の相手には打って付けだろ。こいつは強いぞ」


「デカい奴だなぁアニキよりデカい」


「はっ、でかけりゃ強いわけでもねぇ。オレはおめえより小さくて強い奴知ってるぜ」

「アニキ、そいつに今度合わせてくれ」


「そんな奴とは会えないな、貴様らはここで死ぬんだ。殺れコンガ!」


「ウォオー」


 

 エゴンの奴ら、なんてぇものを。アレは人間かぁ」


「隊長、ご無事で」

「そう簡単に死んでたまるか。奴らあの二人の裏切りに焦っている。動ける兵をマンダニの詰め所へ」

「ハッ」


 裏切ったのはエゴンの方か。

 あんなバケモノまで輸入しやがって、まだ禁制品があるはず。手がらをたてる時だ。


「行くぞ!」



 マンダニ詰め所。


「輸入品のあらためだ! 動くな」



「出てくる、出てくる。隊長、ご禁制の品の山だ」


「隊長! こちらに女の奴隷たちが」


「私達は奴隷ではありません。さらわれたんです! 助けて下さい」


 エゴンめ拉致誘拐まで。大悪党だな奴を捕まえれば出世確実だ。



「がぁあ」


  ズッシン


「なに……」


「アニキ、こいつ弱いなぁ」



「エゴンの旦那、あんたえらいのを敵にまわしたな」


「誰だおまえは」


「名乗ったって、あんたの知らねぇ人間さ。おっと。そっちの旦那、動かない方がいいぜ。俺の仲間が女神の上から弓で狙ってるから。そいつはスゲーぞ。あそこからあんたの目ン玉にグサリだ」


「おや、これはおかしなトコで会うなぁグルドン!」


「探したぜ兄ィ」


「アニィ? なにもんだ、このチビ」


「ああっ聞こえたぞ。チビにチビって言われたくねーな」


「奴はおめぇよりちっちゃくて、つぇー奴だ」


「なにもんだ?!」


「俺の弟弟子だ」


「ガイラ兄ィ、聞きたいコトがある。師匠の死に、かんしてだ」


「なんだ。師匠が死んだのは俺が修行に出た後だ。俺は何も知らんぞ」


「だのに師匠が亡くなったのを知ってるんだな。あれから一度も帰らずに」


「武術界では有名人だ風のうわさで聞いた」


「なら、なぜ帰らなかった。師匠が亡くなったんだぞ」


「俺も修行中だったんでな、帰れなかった」


「そんなに修行熱心だったかな兄ィは。まあこれでわかった、しらを切るつもりだな。俺は調べた、兄ィが修行に出てからひと月後、酒を持って師匠のウチに入った兄ィを見たヤツがいた」


「あれは、師匠に聞きたいことがあって戻った。なんだおまえ、俺が毒盛って師匠を毒殺したとでも言うのか」


「ボロを出したな兄ィ俺は師匠が毒で亡くなったなんて一度も言ってないぜ。まだ、ある。その日の夜に師匠に軍の師範役を取られて悔しがってたヤン・クローザーと会ってたのを見たヤツも居たよ。これでだいたい察しがついた。俺はヤンを捕まえて全部はかせた。大分稼いだみたいだな」


「師匠は兄弟子の俺じゃなく、おまえに秘伝の技を授けた……」

「ソレは兄ィが悪い。師匠の教えをやぶり続けてたからな」


「アニキ、オレは長話は嫌いだ。こいつ敵なら殺っちまうぜ」


「やめろ、おめぇのかなう相手じゃねえ」


「安心しな赤チビ、おまえの相手は用意してある。ティアーナ!」


「ふっ、初めてティアーナって呼んだね」


「最初で最後かもよ」


「ハッ毎日呼んでもらうさ。ヒィャハアー!」



 女神像の頭部。


「始まったなルル」

「ロラン」


               つづく

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