ガルガンダとマンダニ
93話 ガルガンダとマンダニ
「うわぁー凄いね。ここキラキラしてる。ココに泊まろうロラン」
「ここは……ダメだ。泊まるとこじゃない」
「あら、お客さん。泊まれるわよ、それなりの料金だけど」
「あ、いや。いいよ。泊まらん! グッピー、この町は大通りにこんな派手な娼館があるのか」
「あるなぁ……」
「この町の稼ぎ頭だからな、娼館は。もっと先を路地に曲がると娼館街がある」
「あんたやっぱり詳しいな。ここで仕事しないのか?」
「以前来た時に、ちょっとしたけどろくな店がない港町だけに流行ってるけど、営業者はあの辺境の町みたいなもんさ。まああっちの店はこの町のどこかの支店だからね」
「病気持ちが多いのか」
「似たりよったりなんじゃない。女は奴隷も多いし。利用客は船乗りばっかで海賊も来る」
「アニタ、ここは男の遊び場だから宿じゃないの」
「ああ、女遊びするとこか」
アニタ。どこまでわかってるのやら。
「あの宿はどうだ」
「メシも食えそうだしいいんじゃないか」
宿の食堂。
「けっこう混んでるな。あー女将かい? 泊まりたいんだが部屋は……」
「旅人かい? 悪いが今日はいっばいなんだ。船が着いてね……何人だい。大人数だね」
「6人だ」
「ちょっと無理だね……」
「てめぇ調子に乗ってんじゃねーよ」
「そりゃ俺の運だからしょーがねだろ!」
「このいかさまヤローが」
「ガラガンダの連中はカードまで弱っちいからっていかさまだとよ」
「ああ、遊びに組は関係ねーだろ」
ガッツ
「ヤローやりやがったな!」
「コラッ! そこっケンカは外でしな」
「おう、おもてに出ろ!」
「おう、行くぞ」
「お、なんだ。一人じゃねーのか」
ケンカに店の客は、ほとんどいなくなった。
外で大人数のケンカがはじまった。
「なんだ、二人のケンカじゃなかったのか」
「最近しょっちゅうだ。困ったもんだよ」
「路地裏にキーボーズって宿がある。あそこなら空いてんじゃない。行ってみな」
「そこはメシは食えるか?」
「寝るだけだ。メシならここで食ってきな」
「そうか、じゃたのむ」
メシを食ってから女将が言っていた宿に。
部屋はせまくて。二人部屋は二段ベッドだけ、オレがまえに入ったとこよりは部屋があるだけましな宿だ。
翌朝、最初に入った宿の食堂で朝メシを食いに。
「おい、マジかよ」
店の前にケンカでのびてる連中がゴロゴロしてた。
おかげで店内はガラガラだった。
「朝食の前に悪いもん見ちまったね。すまないねぇ」
「女将があやまらんでも」
「ったく、町が、町の大きな船元が二つになってからだ。まえはガルガンダの連中だけだったが、新しくマンダニが出てきてから、ケンカばかりだ。まあどっちも似たりよったりのバカバカリなんだけどねぇ」
「勢力争いでもしてんのかい」
「ええ、どちらもアコギなことして稼いでる悪党なんだよ。ひとつの時はまだ静かだった。あんたらはなにしにこの町に」
「女神像を見に来たんだ」
「ああ、あれかい昔は女神巡礼団がよく来ていたよ……」
「今は?」
「あの女神は、あいまいな神だと言われてさ、ただのでかい観光物になって誰も信仰などしてないよ」
「そうなのか。『自由への女神』と聞いたが、名前はたしかスムシカとか」
「名前……そんな名だっけかな。わたしゃ『自由への女神』としか。あ、あの像の中へも入れるよ、昔のなごりで中が教会になってるんだ」
「そうなのか……」
「あの像の頭まで上がれば湾全体が見れる。天気によっては隣の国も見えることがあるんだよ」
「ありがとう。見てくるよ」
「まあねぇ今は荒っぽいのが町に入ってるから、町に長居はすすめないよ」
「町の『あらくれ』の勢力争いか、どこも、かわんねーな」
「グッピー、ティアーナはめんどー起こさないでくれよ」
「ティアはともかく俺は大丈夫だ」
「あたいだって」
「ロラン、もう一人。エスタも」
「ああ、ルル、アニタ、見てやってくれ」
「いいけど、エスタはあんたのでしょ」
「ん、まあぁわかるが、お願いする」
「ねぇグッピー。あの子、相棒の子なの? 若いのに大きな子がいるのね」
「まあ、いろいろあってな……」
「自由への女神」像前。
「お頭様は毎日女神様に……」
「おまえら若い連中は知らねえだろうが、昔は湾内にも高波が来ててな、女神様を立てたらピタッと来なくなったんだ。そのおかげで湾内の事故も無くなったんだ、この女神様は神通力があるんだ。この像が建てられた時にな、東方から来た賢者様が祈り神力をあたえたんだ」
「ほお、そーゆーいわれがあるのか」
「あんたらは旅人か」
「ああ、この女神像の噂を聞いて来た」
「貴様、その槍。マンダニの者か」
「マンダニ? なんだソレは」
「オレたちはただの旅人だ。マンダニとかとは、なんのかかわりもない」
「ほう、マンダニの名を知ってるのにか」
「まちの食堂の女将に聞いたのか。あの女将か……。マンダニの連中に腕ききの槍使いが入ったと聞きな、おい。この人らは関係ない、他は女と子供だ」
「はぁ」
「あんたら、あらくれ者が増えたんでな気をつけてな」
「なにもんだい、あのジイさん」
「ガルガンダの頭だ。まえに来た時見た」
「腕ききの槍の使い手ねぇ……」
「気になるのかグッピー。そんな奴無視して帰るぞ」
「あっ、ああ」
「あの槍使い。そうとうの腕ききと見ましたが」
「ああ。わしにもわかった。だが、奴らとは無関係だろう。子供、女連れの用心棒なんぞ見たことも聞いたこともないわ」
「今、思い出しました。槍使いの槍は三叉だと。そして相棒を連れた二人組と」
「二人以上いたな、それに槍も違ってた。ハッハハハ」
「お頭様!」
「ガルガンダの頭領マガ・ザンタレだな!」
「三叉槍に二人組! 貴様らはマンダニの」
「噂は聞いてるらしいな。その命もらうぜ!」
つづく




