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バンデの森

9話 バンデの森


 オレは走り、ヒゲデカのいるパーティを追った。

 馬ではないようなので、テクテクと徒歩なら森に入る頃には追いつくはず。


 この街道は王都へつづく道なので、たまに旅人や商人の馬車等が通る。

 通い馬車という王都から、出て辺境の町まで走る客を乗せ馬車がある。

 そんなのに乗ってしまったら追いつけない。


 森の入り口あたりで一台の馬車が、止まっていた。

 アレは? 


 近くまで行くと、あのヒゲのデカい冒険者一行が、馬車に乗るとこだ。


「おーい。待ってくれ」


 追いついた。連中は馬車に乗り。出る寸前だった。


「待ってくれハァハァ」


「勘違いしないでくれ、この馬車は、通い馬車じゃないよ」


「馬車にようはない。オレは、あんたを追ってきたんだ」


「俺をか?」


「ああ、ルグランの町からだ。あんた昨夜風呂で話をした男がいたろう」


「あ、あの小男か。それがなにか?」


「教えてほしい」


「おい、俺も急ぐんだ。なんなら、あんたも馬車に乗って話な、俺は次の町に帰るとこだ」


 また、町にもどってしまうが、このさいイイか。


「乗る」


「乗んな。ハァ!」


「なんだ、あの小男の連れか? 何を教えてくれって?」


「なんたらという将軍のおもちゃの馬を本物に変えた女神の名だ」


「あら、あんた。そんなこと聞きたくてわざわざルグランから走って追って来たの」


 ヒゲデカの隣に座っている魔法使いぽい黒い服を着た女だ。


「なんたらって、ウンリューヒ将軍のコトか小僧」


 オレの隣の男だ。ヒゲより年取ったおっさんだ。


「たしか、そんな名だと」


「え〜と。なんてぇ名だっけウイリー」


「ああ……マリン、憶えてるか?」


「女神の名ねぇ……たしか……」


「ヒイッ!」


 突然馬車主が。馬車を停めた。


「どうした?」


「前に怪物が!」


 馬車か森の中に入って少したったトコだった。


「なんだ、アレは」


 グールだ。しかもいままでのと違いデカいクマみたいなのが道の真ん中に。

 よつん這いで、オレたちを威かくしている。


「まかせろ!」


 ヒゲデカが、馬車から降りて背の大剣をぬいた。

 そして馬車の前に行くと、剣をデカいグールに向けてかまえた。


「ウイリーさん、アレは?」


「大ゴブリンかと思ったが、アレは違うぞ見たのは初めてだ」


「グール……だ。しかもデカい」

 

「小僧、知ってるのかアレを」


「オレの村はアレの仲間に襲われた。その時は大きめのサルくらいで群れで襲ってきた」


「グール……食屍鬼。聞いたことがあります。大昔の大魔女の使い魔だと」


 ヒゲデカのパーティのもう一人の女だ、白い衣装で賢そうな女はヒーラーだろう。


 とか、言ってるうちに。前方のヒゲデカが、デカグールと交戦し始めた。

 ヒゲデカは、グールのケモノのようなキバとカギ爪に怯まず、体の割には素早い動きでグールの攻撃をかわし、何箇所もグールを斬りつけたが、グールも小物と違い、長い体毛のせいか斬られても致命傷はならない様子だ。


「ええい、マット離れて! ドンナブ・リマ」


 馬車の上から魔法使いの女が、両手を突き出し火球を放った。


「トンナブ・リマ!」


 火球がグールの頭に命中。グールの体毛が燃えだし火だるまになった。

 火だるまで苦しむグールの脇腹へ大剣を両手で横に振り斬ったヒゲデカ。

 グールの腰から上が地に落ちた。


「凄い!」


「ああ凄いだろう。ヤツはマット・ボンダー。東南の勇者と言われた男だ」


「東南の勇者ボンダー……聞いたことがある名だ。おっさんは?」

「熊殺しのウイリー・オズモだ。知ってるか?」

「……いや、知らん」


「熊殺しのウイリーを知らんのか」


「そんな若い子には、わからないわよ。ボク、このおじさんは見かけより年なのよ」


「男は歳ではない。見かけだ!」


「まあな、年取ってても戦えればイイ。仲間のりっぱな戦士だ」


 剣を鞘におさめたヒゲデカ……マット・ボンダーが馬車に乗った。


「もう大丈夫だ、行け」


「俺はすげーのを乗せちまった。後で握手してくれ、ボンダーさん。ハッ!」


「そうか、あんたたちは勇者のパーティか。で、女神の名前、誰か思い出したか」


「ボク、その女神の名を聞いてどうするの? あ、あたしはマリン。マリン・トーラーよ。ボクの名前は?」

「その……ボクはやめてくれません。オレはロラン・ウニカっていう名なんで」

「へえーロラン・ウニカか。昔いたなウニカっていう幼なじみ。あんたと違いウニカが名前で、男好きの変人だったんだよ。ウニカは男の上にまたがったまま死んじゃってさ」


「あら、その娘は、オードリーじゃなかった」


「そうだよメル。ウニカ・オードリーっていうんだ。あっちの白いのはメル・イマール」


 ヒーラーの女の白い衣装はあの魔女とは違うが、どことなくあの魔女に似ていた。


「女神の名前……思い出しました。たしか、ディアナ・カーンとか」


「ディアナ・カーン。その女神は何処に?」


               つづく




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