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オシャベリ鳥

85話 オシャベリ鳥


「なんか寂しくなったな」


「横にカウルルがいなくなったら、なんかねぇ」

「お姉ちゃんの横にアニタが居る」


「一人同行者が増えただろうみんな」


「まあそうだけど……ねえ、その子人間と交流とか、出来るの? ずっとロランにくっついてるけど」


「魂が、ないってコトは、なんだ。会話は出来ないのか?」


「オレに聞かれても……。アーとかウーとか言う時がある。人間としてあるものはすべて有るからなぁ言葉を教えれば喋れるじゃないか」


「普通に考えればそうよね。前の像とは違うから自力で歩いたり出来るわけだし」


「でっかい生まれたての赤ん坊みたいなもんなのか?」


「そうなのかな。ミシェール、どう思う?」


「人であって人でないもの。前は全くの人でない物だった……そちらの方が良かったかも」


「いや、ミシェール。オレは今のエスタがイイ。人を感じるってコト、生物という存在。像とはまるで違う」

「そうだね……」


 ミシェールは人に近づいたエスタをあまり良く思ってない。像の頃は捨てろと言ってたしな。

 まえのままで持ってるだけの方が良かったんだろう。


 像が、どうにかなりそうな場所へは気が進まず行かなかったミシェールだ。

 ミシェールはある程度、像のコトを知っている。

 落ち着いたら、やはり聞いてみるか。


 町に入って、宿に。


 持ち主だからといって生身の女のエスタをオレと二人きりの部屋にするのはダメだと、ルルが部屋分けをした。

 オレが生身の身体になったエスタにナニかすると思ったのかルル。

 相変わらずの男二人の相部屋だ。

 女は五人は多いとアニタ、ルルの姉妹部屋にエスタを。

 ミシェールとティアーナが相部屋になった。

この二人の同室ってどうなんだ。二人の会話なんてまったく想像出来ない。

 まあ、寝るだけなら問題ないが。


「なんか、ロランが、アレ抱いてねーのは寂しいな」


「変な言い方するな」


「間違ってねーだろ」


「まあ言われてみれば……ちょっと寂しい」


 野宿の時は横に寝かせていた。魂は、なくても疲れて寝るんだ。


 魂のない器だけの存在とはいうが、人の形をした生き物だ、物も食べるし。いろいろある。コレで人ではないのか? ナニか不思議だ。


 魂がないと、人としての感情とか、行動の意志がないから、人になれてない動物を飼ってるようなものだと、ここ二日で感じた。


 あの時、聞こえた「それでもイイ」は、像のもともとの意志なのか。だとしたら像には魂が入ってたコトになる。

 でも、その魂は開放されてない。あの像から開放された魂が有れば、あの生身のエスタに魂があるはずだ。

 時々オレに届くあの声はなんだ? 

 やはりミシェールに。


「おい、グッピー。明日……」


   ぐかぁああ


「寝たのか」


 翌朝。


「オハヨーロラン!」


 ええ! エスタが、喋った。


「オハヨーロラン! アニタが、夕べ教えたら覚えた」


「オハヨーロラン!」


「おい、俺はロランじゃねーぞ!」


「なんかオシャベリ鳥みたいだね」


 エスタは、ティアーナやミシェールにもオレの名をつけて朝の挨拶を。

 言葉は覚えられるんだな。

 アニタが言うようにオシャベリ鳥みたいだ。

 彼女の声。やはり、たまに頭の中に聞こえる声と似ていた。


 エスタの着替えなどの買い物があるとルルたちは三人で出ていった。


 ティアーナに剣術の稽古をと、誘われたが断ったら。


「ティア、俺が、相手だ。庭に出ろ!」


 と、グッピーが。

 よしと。オレは一人、部屋に居るミシェールのとこへ。


「ミシェール、入ってもいいか」


 声がない。居ないなのか?

 ミシェールは、部屋に居るはずだ。

 ん、ドアは開く。


「入るぞ、ミシェール」


 部屋には誰も居なかった。

 窓が開いてる。二階だ。ここから外に出たのか。は、ないだろう。

 ミシェールは魔法が使える。ここからホウキにでも乗って。

 朝からソレはないか。

 魔女は人間に怖れられてて、魔女だとわかれば捕まって何されるかわからない。

 自分では魔女ではないと言ってるが。

 ドコへ消えたんだミシェール。朝、宿内で見かけたよな。

 あれ、なんだこの羽根は。

 窓から鳥が入ってきたのか? 


「ロラン。なにか用?」


「わっビックリさせるなミシェール」


 ドアを開けて入ってきた。

 外出してたのか。トイレにでも行っていたのか?


「悪い、空いてたから入ってしまった」


「別にいいけど。ロランだし」


「あのさぁミシェールに聞きたいコトがあるんだ」

「ナニ?」

「ロメーンのコトだ」


「ロメーン・アルシア。それが彼女のフルネームよ。まだナニか聞きたい」


「ミシェールは、ロメーンの像のコトをどこまで知ってるんだ。ロメーンがグールの崇拝する魔女だと、知ってたよな。そもそもミシェールはなんでオレたちと一緒にいるんだ。そろそろすべてを教えてくれないか」


「あの像はもともと人間だった」


「人間をモデルに作られたものじゃなかたんだ。だから、なんで出来てるのかわからなかったのか。と、いうコトはあの像はロメーン自身だったのか。誰がロメーンを? まさか、ミシェールが」


「私じゃない……。私の知らない者だ。別の魔女か、あるいはエルフの賢者か……」

「なぜ、ロメーンは像に?」

「詳しいことは知らないが、魔女であった事に関係があるのかも」

「そうなのか、ミシェール、そのコトをなぜいままで」

「聞かれなかったから……」


 はあ。もっと早く聞けば答えてくれたのか? ソレは今となっては。


「エルフの賢者が言っていた。ロメーン、今はエスタは、ただの人型の器ではないのか?!」


「私も驚いた。エルフがアレを生身の人に出来るなんて。でも、アレは確かに魂のない肉体だ。完全に人間に戻ったわけじゃない」

「彼女の魂は何処に?」

「わからない」

「そうなのか。アレを完全に人間には……」

「あんな不完全な者は、やはり捨てればイイ」

「捨てろって、今は、エスタは、生身の人間だぞ、ケモノとかに会えばヤバイだろ。冷たいことを言うなミシェール」

「それでもイイ。アレは人間じゃないんだ。あんな物より人を愛してロラン」


 そう言ってミシェールはマントをひろげた。

 ミシェールのマントの下はナニも付けてなかった。


「ロラン、私と契ろう」


              つづく

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