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別れの旅2

83話 別れの旅2


 3騎の鎧騎士が馬から降りて皆、冑をとった。

 頬に大きな傷のある赤い髪の男に青味のかかった髪とヒゲの顔の大きな男が脇に。

 真ん中はブロンズの長髪で目の上をきっちり揃えた中年の女だ。鋭い目つきに高い鼻。真一文字に閉めた口。明らかにこの女がリーダーなのがわかる。

 三人は、レオの馬車の前で片膝を着いた。


「その馬車にお乗りの方は、デェルヴォル家の姫君レオノール様でございますね」


「あなた方は?」


 ヴィルヘルムの知り合いではないらしい。


「これは、申し遅れて失礼しました。私は北方三国のアラステア国のメリラ・カルメルという者で。脇は部下のバニラとアボラスという者で」


「おお、アラステアの勇猛騎士メリラ・カルメル殿か、噂は存じております。そのメリラ様が……」


「姫にお願いがございます」


「私にお願い?」


 おお、レオがいつもより派手なドレス姿で馬車のドアを開けて降りた。

 さっきまで会話していたレオとは違った気品がある。さすが第5王子の娘。王家の姫だ。


「おお、コレは姫様。お初にお目にかかります。私」


「名は聞いた」


「お願いと申しますのは現ゾンネンシュターン国新王との戦いに……」


 北方、三国とはゾンネンシュターン。

アラステア。モリニエ。である。

 新王になったゾンネンシュターン国が、いままでの平和条約をやぶり隣国モリニエに宣戦布告し侵攻しはじめた。

 モリニエの隣国アラステアは次は我が国と、モリニエに増援を送り参戦。

 ゾンネンシュターンはモリニエ戦の前に近辺の中小国を征服し力をつけての宣戦。

 ゾンネンシュターンや中小国に、戦に反対した小さな勢力が集ってると。

 姫にはその反攻勢力の代表的存在になって欲しいそうだ。

 あとからヴィルヘルムに聞いた話だ。


 反攻勢力にはデルヴォル家縁の者や贔屓の者が多く。レオが立ち上がればゾンネンシュターンからの反攻人民が加わり反攻勢力の意気も上がる。


「よーするに姫さんに、戦争の意気上げになってもらいたいわけだ」


 アラステアのメリラは明日また来ると去って行った。

 

 夜は近くにあった小さな村の納屋を借りての夕食に。


「お姫さまが、戦に出て勝てばお家再興になるのかしら」


「さて、そのへんがどうも」


「利用されて勝てば、ゾンネンシュターンが他の二国の領地になるかも知れねーってか」


「グッピー殿の言う可能性は大いにありえます」


「アラステア、モリニエの連中はそんな奴らなのか?」

「私も交流があったわけでもないのでよくわからん」


「一度、アラステアの王子との婚礼の話がありましたね」


「あの時は南方に出かけていたな。たしかアラステアの第2王子だったか。噂では頭のたりないボンクラ王子で回りまわって私のトコに」


「それで?」


「断ったわ。会ったこともない、ボンクラ王子と誰が。それに一番ではなく、巡り巡って6番目の候補よ。バカにしてるわ」


「では、今回の事は」


「婚礼の話は別よ。王家再興は魅力ある話ね」


「お嬢様、条件を出したらどうでしょう。戦に勝ったらゾンネンシュターンはデルヴォル家の国へ戻るならと」


「それなら、新たな国を作るより王家再興が手っ取り早いな」


「まあ戦をしますので沢山の犠牲者も出ますでしょうが……」


 翌日現れたアラステアの騎士の中にヴィルヘルムも知っている顔が加わっていた。


「騎士団長のジュリオ・ローナン殿ではありませんか生きておられましたか」


「ヴィルヘルム殿こそお元気で。姫様も」


「まだ、弱小ながらゾンネンシュターン国内から反乱軍を組織し旧王家再興を願っております。旧王家のレオノール姫が存命し、先頭に立てば反乱軍の意気もあがり兵も増えるでしょう」


 ゾンネンシュターンの反乱軍も得ればまた条件も変わると、レオは決心した。


 ヴィルヘルムとレオノール・デルヴォルは騎士たちと北方へ帰って行った。


               つづく


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