魂の器
81話 魂の器
「そういう事でなく、この像を人間に……」
「私が出来る魂を入れるとは、器に別の魂を入れる事だ。魂を無くした者に別の魂を宿すという事」
「それじゃ、この像に別人の魂を入れるというコトか。それだとこいつはその別人になってしまう」
「アニタ、その像には、なりたくない」
「安心しろ、そんなことはしない」
「その人型に魂を宿らせるのは簡単だ」
「ソレはわかった。こいつを人には出来ないのか」
「人型に生身の身体を与えるまでは出来るが、それはあくまで人の形をした器だ。人ではない。君の望む事はわかる。しかし……それは、神の領域だ。生命を作る事になる」
こいつをエスタを、人間にするには魂がいる。
しかし、それは別の誰かだ。このエスタの顔をした別の誰かをって、ナニか違う。
「私はソレを人に出来るが、人の形をした魂の器だ。その器に、君の仲間の魂を入れれば、とりあえず人間になる」
この物言わぬ硬い胸像を人に出来るトコまで行けるのか。
だがそれでは。
「本物の肉体には出来ないが同じような物には出来る、それでも良ければ……」
「そあか、人に。生身の人になるんだな」
「そうだ、でもさっき言ったよね、ソレは魂のないたんなる器だと。話しも出来ない今のその胸像とあまり変わらない」
〘それでもイイ〙
え、今のは?
イイって、胸像から人の姿になりたいのか?
返事はなかった。なんだ時々聞こえるこの声は。やはりエスタ、おまえなのか?
「おもしろい。そんなコトが、出来るのか。お願いしたい!」
「エエッ!」
みんなの驚きの声が聞こえた。
崖の上の馬車。
「ロランは像を人型にした」
「そう……ありがとう。やはり阻止せねば……」
崖を登るロランたち。
「ロラン、ちょっと変よね」
「あいつが、変なのはあの像を見つけてからだと思うが、どうなんだアニタ。おまえは一緒だったんだろ」
「あの像が好きというコトのほかは変わりないけど……」
「がぁなぁ。もう像じゃないぞアレは」
つづく




