谷のエルフ
80話 谷のエルフ
谷の下まで、降りた時にまだ少し上にいたアニタがなんか騒いでる。
「どうした、アニタ! 早く降りてこい」
一番最後だったアニタとルルが、目を丸くして降りてきた。
「どうした?! そんな顔をして」
「み、見た!」
「何を見たんだ二人とも」
「は、羽がある女」
「羽がある女の妖精か?」
「そういうのはよく見るわ。まえにロランにあげた絵もそうよ。ここいらで見たわ」
「おまえらも妖精が見えたのか?」
「いえ、妖精と言うより。ロメーラさん、羽毛の生えた翼の妖精って」
「それは天使じゃないかしら。神の使いの」
「そう崖の上に天使が浮いていたのを見たアニタたち」
「この谷は妖精だけでなく天使もいるのかロメーラ」
「知らないわ。二人が見たのならいるんじゃないかしら。この谷は異界の入り口なのかもね」
「ロメーラが言うと説得力があるな。と、言うことだ、二人ともエルフに会って腰抜かすなよ」
「あれ、絵に描いたような白い羽根の天使だったよねお姉ちゃん」
「ええ、あたしもたしかに見た!」
「二人とも、ナニか良い事あるかもね」
谷の小川に沿って歩くと蔦のカーテンとでもいうか、何本もの蔦がタレ下がった後ろに亀裂のような穴が。
「ここから、入るのよ」
ロメーラがひとり入るくらいの穴だ。
彼女が入ると手招きした。
イータが、入るとアニタがひょこっと。そしてルル、レオが。
「お先に失礼します」
ヴィルヘルムが入った。
「俺は最後に入る。ロラン先に入れ」
槍が邪魔だからかグッピーは最後に。
先に中へ入ると入り口より中は広い。
先に明かりが見えてて、たいして暗くもない。
「あってぇ」
「わりい槍が当たったか。後ろの方だから安心しろ」
「皆、あの明かりの方に」
明かりのある洞窟の先は大きな広場になっていた。
天井に輝く花の光で明るい。あんな花は見たコトない。
「皆さん入りましたね。あれがエルフの家です」
広場は天井と同じ光の花と緑の植物。
横には池が有るのが見えた。
一番奥の巨大樹の根? それにドアや窓が有り住居とわかる。あれがエルフの家か。
玄関のドアまで行くとロメーラはドアの横のベルを鳴らした。
中から若い女の声が。
ロメーラは老エルフと言ってなかったっけ。
「鍵はかかってないよ、入って」
ロメーラがドアを開けて中に。
「お久しぶりです。ロメーラ・ブルリです。それと旅の仲間です」
「お久しぶり? この前会ったばかりじゃ」
「エルフの時間と同じにしないで下さいリンダ様」
見える妖精が。
オレにもエルフは見えるんだ。まあエルフは見える妖精と聞いてはいたが。
あれがエルフ……老エルフなのか?
人ならロメーラとそう変わらない見た目だ。
エルフは不老とか、長寿と聞いたが。
長い金髪で鼻筋通った緑の瞳の美人だ。
あれでいくつなんだ。
「旅の仲間……孤独なのが気楽で良いと言ってたロメーラが旅の仲間をどうしたんだ。その男は旦那か」
「そんな人では。彼は友人です」
「男は俺もいるのになんで、ロランがロメーラの旦那に見えるんだ」
「あたしに聞かれても。あんたってどこか妻帯者に見えないんじやない」
「背中に人形背負ってる妻帯者が居るか?」
「あれ、赤ちゃんに見えるみたいよ。古道具屋の姐さんも言ってた」
「なにゴチャゴチャ言ってんだおまえら」
「ナニかなロメーラ。大勢でなにか相談?」
「ああ、オレがロメーラに頼んだんだ。エルフの賢者のことが知りたいと。そしたらエルフの知り合いがいるからと」
「なるほど、まあ、皆さん楽にして。ソフアにお座り下さい」
ソファというのはこのふかふかしてそうな丸いかたまりか?
エルフが丸いのに座って見せた座るとへこみ椅子のように座れた。
ロメーラも目の前の丸いのに。
とりあえず近くにあった丸いのに皆腰掛けた。
ふかふかの椅子だ。宙に浮いてるようだ。
「うわぁーい。コレすごいふわふわだ」
「アニタ、行儀悪いわよシッ」
「ハハハハハハ、いいよ。まず、名を聞こう。私はリンダ・チュルン。君は」
「オレはロラン・ウニカ」
「ロラン君、エルフの賢者のことが知りたいと。誰の?」
「誰? 何人もいるのか賢者はロメーラ」
「それはそうさ長寿のエルフ族だ。いいようによっては、百年以上生きてるエルフは皆賢者だ」
と、エルフのリンダが。
「なるほど。では、物に魂を入れるコトが出来る賢者のことが知りたいんだ」
「な〜んだ。ソレは私だ」
「え、ホントかソレ!」
「私は、こう見えても630歳だ。たいがいの事は出来る。で、ナニに魂を入れる」
「してくれるのか」
「簡単な事だ」
しまった。金目の物はミシェールの「なんでも袋」だ。まさか、ここで。
「あの、オレ。今は金持ってないんだけど」
「金、そんなもの私には必要ない」
「じゃ、ナニが必要なんだ? ただでやってくれるわけじゃ」
「これだから人間は……ロメーラ」
「エルフたちは人間の持つ欲というものは持たないの何をするのも自分の気分しだいよ。リンダ様は今日は機嫌がいいわ頼んでみたらロラン」
「そうなのか、この像に魂を入れて人間にして欲しいんだ」
「なるほど。で、誰の魂を入れるんだ。沢山娘を連れてきて。そこの子供か?」
「え?!」
つづく




