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町の噂

76話 町の噂


「そうか、奴らから開放されて良かったねサンミ」

「クララ姐さんは優しかった」

「クララ?」


「さっきまでわたしたちといた人です。紅一点だったあの人はわたしたちに優しかったんです。あの人が居なかったらわたしたち自殺してました」


「そう。あの人、いい人だったのね」


「あなたが一番永く奴らと」


「はい、父は奴らに殺されたました。母は奴らに……それで自殺を。わたしも母の後を追おうとした時にクララさんに……」


「北方の人がいたわね」


「はい、サーシア・アネコスといいます。一人旅の途中に。あなた様はもしやデルヴォル家の」


「第5王子の娘レオノールだ」


「やはり、ご無事で。私が国を出たのも王が代わってから……」

「民の暮らしはどうなったのだ?」

「戦争と増税で苦生活者が増えてます」


「そうか……」



 森をぬけて、しばらく街道を行くと暗くなり始めた。

 街道の横に馬車を止めた跡がある空き地が。


「今日はここで一泊だ」


 女たちのおかげで美味い夕食に。

 ルルの料理も東方のカナさん直伝で不味くはないが、うるさい賊共のメシを作っていただけあって女たちの料理は美味かった。


 一夜明け、パインの町に着いた。

 懐かしい。

 この町の出身という女は親戚を頼って行った。


 この町からすぐのオレやルルたちが居た村は噂ではグールに襲われたあとに廃村となったと。

 その隣接した村、ガドットへ移った村民も多いと。

 ガドット出身のは二人は帰ると。

 子供のサンミと赤の他人だが面倒を見ると中年女は一緒に町を出た。


 なじみの古道具屋に顔を見せた。


「おお、ロラン元気だったか。ルルにアニタ、ロランに会えたんだな。良かったな」


「お父さん、店の前に馬車が停まってるけど……ロラン! 久しぶりね元気だった。なんで村を出たの?!」


「やあ久しぶり」


「ルルレットにアニタも。会えたのねロランに良かったわね。ルルはロランが消えて泣いてたんだから」


「泣いてません。泣いてたのはアニタだけです」


「外の馬車の人は? あの……ロランの嫁とか? 綺麗な女の人が四人も」


「嫁! そんなコト誰が」

「あら、後の赤ちゃん?」


「違うってホラ、像だ。作り物だ。オレはまだ独身で子供もいない」


「そうなんだ、ルルレットを捨てて何処かの女と逃げたって噂聞いたよロラン」


「そんな噂、誰が」


「あのあたしを捨ててって、どういう意味なのかしら」


「町の若い子たちは皆がそう思ってる。ロランと白いフードマントの女が店の前で話してたという目撃が最後にロラン、消えたから」


 なんだか、変な噂をたてられた。

 確かにあの日ミシェールと店の前で。


「あ、外に居たわね白いフードの女。あれが嫁ね」


 さすがにミシェールが「違う」と入っては来なかったが。


「違う!」


 ルルとアニタが言った。


               つづく



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