表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/205

ルグランの町

7話 ルグランの町


 ルグランの町。子供の頃、オヤジと一度来た町だ。前の町より大きいし栄えてる。

 ルグランは王都に近いこともあり、なんでもある。古道具屋だって、大きさも物の種類数もあの店とは違う。

 宿の質も大違いだ。


「おいロラン、あの宿に泊まろう。風呂が有りそうだ」

「オレはあっちの安そうな宿でイイ」

「ああ。じゃ俺はこっちにするぜ。そうだ、あの彼女が来たら呼んでくれ」


 グッピーは槍をかついで大きな宿へ入って行った。


 まったくあてのない旅だ。そんなに金もない。ぜいたくは出来ない。

 それにオレは安い宿の方が落ち着く。


 宿の受け付けでジイさんが居眠りをしてる。


「おい、ジイさん!」

「あ、いらっしゃい」

「よだれがすごいぞ。泊まりたいんだが」

「一泊1ニーニョだ」


 ジイさんはよだれを腕で拭きなが言った。

 1ニーニョとは安い。


「今のとこは一泊」

「前払い」


 オレは1ニーニョコインを出した。


「奥のドアを開け13番だ」


 ドアを開けると沢山のシングルベッドが並んでいた。三段。まるで何かの巣みたいだ。横にならないと入れない。

 ベッドには番号が書いてある。

 部屋なんかない。

 寝るだけだな。

 ベッドには、むさい男が何人かイビキをかいて寝ている。安いわけだ。

 とりあえず、宿を出てナニか食うことにした。


 グッピーの宿の一階は食堂だ。

 行くとけっこうこんでる。


「オーっロラン!」


 グッピーが、カウンター席で手を上げた。

 何かを食べている。


「どうだ、あっちの宿は?」

「寝るだけだ」

「まあそんなトコだと思った」

「安かった。寝るだけで充分だ。おかげでメシが食える」

「ケチケチしねーで旅は楽しむもんだ」


「あんたは、なんで旅してるんだ?」

「俺は……ガキの頃から武術をやってきた。軍隊にもいたが、ヤローばかりの世界だ。まあ休暇には娼館とか行ったがよ。嫁が欲しくてよー。で、旅に出た」

「軍隊にいても嫁は来るだろう。むしろ軍隊の方が」

「短い期間だった。ルールは面倒だし、上官が気にくわなかった。命令されすのも性に合わない。で、すぐ辞めたんだ。俺はとにかくイイ女を嫁にしたい」

「あのさ、あんたが良くても相手がいるもんだから無理矢理には」

「おまえはバカか? 俺の嫁になってくれるのがイイ女なんだ。一方的に好きになるだけじゃダメだ。そんなコトはわかってる」

「一応わかってるんだな。武術バカでもないんだ」

「俺をなんだと思ってたんだ。今のおまえの方が変だぞ。ただの胸像だぞ。相手には意思がないんだからな、楽しいのか?」

「オレのコトはほっといてくれ、顔見てるだけで幸せなんだ」

「そんな『幸せ』あるか」

「そんなの個人の自由だ」


「お客さん、注文は」

「あ、彼と同じのをくれ、美味そうだ」

「美味いぞ、ドラーゴニアンのキンタマだ」

「なに……」


「あと、安いのでイイ。果実酒を二人分。俺のおごりだ飲め」


 いかにも冒険者風の一行が店に入ってきた。リーダーらしい髭面の大男が店員に。


「今晩泊まる部屋を二つ」


 男二人女二人のパーティだ。見てすぐにわかる男二人は戦闘士、女はヒーラーか魔道師。


「ありゃカップルだな」

「なぜわかる?」

「見たまんまだ。階段上る時は男女並んでら」

「たまたまだろ」

「見ろ、腰に手をまわしてるだろ」


「ハイ、お客さんドラーゴニアンの玉スープ」

「ホラ、タマタマが来たぜ」

「そのまんまの名前なのかこいつは」


               つづく



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ