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大平原の果

68話 大平原の果


 動かなくなった怪物グラボの、腹を上にした。


「喰われちまったのかよ、ヴィルヘルム!」


 オレは剣で怪物の腹を斬り裂いた。が、厚い腹に線をつけただけだった。


「ロラン、まだまだだな!」


 ティアーナが、跳び乗り腹を斬り裂こうとした時に、オレの付けた傷が裂けた。

 中からぐちょぐちょの人が短刀を振り上げ出てきた。


「ヴィルヘルム!」


 レオが怪物に登り体液だらけのヴィルヘルムに抱きついた。


「お嬢様、お召し物が汚れます」


 一度出てきた手を体内に戻したヴィルヘルムが。


「すみません、手をかして下さい、奥に」


  グバウッ


 カウルルの頭が出た。


「ルルも、みんな手伝ってルルを」



 怪物グラボのぶっとい胴からヴィルヘルムとカウルルを引っ張り出した。


やはりチュビラの一種なのか、噛まずにのみ込んだので助かった。


「硬い皮膚で出られるか心配でしたが外から切ってくれたおかげで、なんとか……」


「ヴィルヘルムに姫の大狂乱見せたかったわ」


「なんのことだか、ルルレット」


「カウルルも生きてて良かった。けど、馬車壊れちゃたね」


「でも、レオが乗ったままだったら……」


「外に出てて助かったわ」


 壊れた馬車をなんとか二輪の台車に組んで荷物を

乗せた。ほとんど姫の衣類だが。


「羅針盤は壊れて使えませんね。仕方ありません」


 幸いグラボには一頭にしか出くわすことなく平原の終わりまで、先の森は西方の国ギュスターヴだ。


 森に入り進むと池があった。


「今日はここで休みましょ。疲れたわ」


「あら森に入ってから荷車に乗ってたのに」


「乗り疲れです。馬車のようには乗れなくて」


「森を抜けて街道に入ればすぐ王都だ、馬車が買えるんじゃないか」

「ロラン、ホントか」

「王都……今はプロネール王が」

「ああ、でもオレには、まったく縁がないな」


「あら、北のデルヴォル家と縁があってよ」

「ああそうだな。まさかそんな人間と知りあえるとは思ってなかった」


「王都に行くのね」


「通路上、王都を通らないと俺たちが住んでた村へは行けない、なんか都合の悪いことでも」


「いえ、王都を通過するだけなら……」


「そうだ、いつか会ったロメーラのモデルの女が王都で絵師だったとか言ってた……王都から出たのはナニか悪い理由でも?」


「いえ、気にしないで」


「ねえロラン、この森にはなんか獲物がいないの?」


「なんかいるだろう。その池にも魚が」


「王都での金もいるし、日が落ちる前にナニかとってこよう。グッピー、ティアーナ」


「アニタも」

「狩猟だ、アニタはここに。ルル、弓を」


「ルル姉……いいなぁ」


「アニタ、私と剣の稽古しよう。たのむヴィルヘルム」



「この森じゃ獣は期待できねーな」

「北の森のヤマブタみたいのは、いないだろう」


「ロラン、こっちからケモノの臭いがする」


「ホントかティア、ナニかわかるか?」


「種類までは……」


「どうした」


「こっちに来る群れてる。オオカミか?」


               つづく


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