神殿
66話 神殿
神殿に着いた。
ミシェールは、ここまでは来なかったようだ。
「ロラン、ミシェールを捜してたと聞いた。アレが上まで行かないと言っていたので、馬車の見張りとルルを頼んだ。皆に言っておけば良かった」
「そうか、ありがとうレオ」
やっぱり、気がすすまなかったのか。が、なんでだ? まあ後で聞くか。
「見るがいい、あれがマコーナ様じゃ」
登りに話した婆さんだ。
神殿の奥に女神像が。え、あれが女神?
どう見ても、隣の腰の曲がった婆さんだ。
婆さんと同じ形の杖を持ってる。
まるで隣の婆さんを模して作ったような婆さん女神像だった。
「まさか、あの像は……婆さん」
「わしではないぞ。わしが女神様の姿の真似をしてるんじゃ」
「コスチュームプレーですか」
「フォフォフォ。一度、女神像に似てると言われてな。それから巡礼の時はこの格好でまわってるんじゃ。たまに拝まれる」
言ってるそばから、婆さんの後ろでひざまずく連中が。
「おお、生き神様だ」
違う、ただのコスプレだ。
「珍しいなぁ女神と言ったら若い美女だ」
「それは、あんた神様だって歳をとる。大人で生まれてその姿で死ぬ者などおらんよ」
まあそうだが、美しい女神像の方が拝みがいがある。
あれ、他の連中は?
神殿内には、クジやお土産屋が。まるで祭り場だ。
あ、婆さんが持ってた杖が売ってる。あれは、あそこで買ったのか。
おや、コレはあの検問の役人がつけてた女神のペンダントだ。
この羽をひろげた女神。オレはコレが神像だと思っていた。まったく違う。
「コレはマコーナなのか?」
「そうです」
「あの像とぜんぜん違うぞ」
「ああ、コレは若かりし頃のお姿です」
まあ婆さんの姿の物より売れるだろう。顔も若いし綺麗だ。
「あ、ロラン。そのお守りペンダント買うの」
「いや」
「買おうよ。アニタとおそろいだよ」
アニタが首にかけてるのを見せた。
「あたしも」
「ボクも」
「ホッ!」
ルル、ミン、ラッシュもか。
「おーい、ロラン。こっちで御神酒が呑めるしパンもある」
ここは食事所まであるのか。グッピー、オレは酒は呑まん。
巡礼者に、いたわりつきせりだな。
宿泊所もあるんじゃないのか?
「ロラン、ここは神殿という名の観光地ね」
「ロメーラ」
「あの女神像にも、神殿全体にも神々しい光は見えないわ」
「そうか、ココには神など居ないんだな」
「ルルさんたちに聞いたわマコーナを捜しているんだって。その背中のお嫁さんのために」
あいつらよけいなこと言いやがって。
嫁さんって。
「嫁では、ただ生きたこの美人と話しがしたいだけで……」
「私ね、人に見えない妖精と話しをするわ。妖精の中にも術師がいて、人形に魂をやどす力を持った賢者がいると聞いたことが」
「妖精の賢者?! 何処にいるのか知ってるか? 名は」
「詳しい事は知らないの。この話し、ロランの居た村の近くで聞いたのよ」
「まさか、あの絵を描いてた時に」
「ん……その前かな」
「妖精か。でも、普通の人には見えないんだよな」
「見える妖精もいるわよ。賢者妖精はどうなのか知らないけれど」
「ロメーラ、その妖精を一緒に捜してくれないか?!」
つづく




