検問
64話 検問
「ボクらは、東方から親戚の家へ」
「東方から……」
「ボクの父は西方の人間で叔父が北方に。あとはウチの使用人です」
「なるほど、東方の顔だがコチラの言葉、うまいな。通ってよし。次!」
「宝探師だ」
「おまえがか、いくつだ?! 嬢ちゃん」
「私の妹だ。今は見習いだ」
「そいつは……」
「亜人だ」
「見ればわかる……おまえも『宝探師』か」
「代々やってる。妹にいろいろ体験させてやりたくて旅をしている」
「そうか、気をつけてな。通れ」
「立派な馬車だが、そいつは馬じゃないな」
「隊長手配中の馬車はカウカウが引いてると、しかも手づなは老執事、モロあやしい」
「しかし、横に。 おい、貴様らは?」
「はい、護衛の者ニ名とお嬢様です」
「馬車の中、あらためさせてもらうぞ、ドアを開けろ」
「お嬢様、ドアを」
「ふむ……」
「なんです。わたしの顔にナニか?」
「いや、失礼しました」
「隊長、どうでした?」
「手配の女はたしか成人していると……アレは小娘だった」
「お役人さま、ある貴族のご令嬢です。今はお忍びの旅の途中でございます」
「貴族関係か……護衛は強そうだな」
「女が童顔とか、ありませんか隊長」
「いや、それなりだった。共の者がいるなんて聞いてない馬車が立派なだけだ。カウカウも珍しくない違うだろう。よし、行くがいい」
「何処へ行くのだおまえたちは?」
「オレたちは新婚旅の最中だ。オコーナ神殿へ巡礼に」
「新婚旅に巡礼か」
「ハイ、わたしたち女神信教を……」
「そうか、わしも女神のご加護を」
役人は胸元の羽をひろげ祈る女神のペンダントを見せた。
「では、女神のご加護を。通ってよし」
「次ぃ。おい、その荷物はなんだ……」
アルマスの町中。
「みんな、うまく入れたようだな。良かった」
「新婚なんて設定なかった」
「とっさに思いついた。嫌だった?」
「べつに」
「あ、ミシェール。なんか顔赤くないか」
「そうか……」
「さて、宿をさがすか。皆に言って来る」
宿を決め、グッピーとミシェール。ひさびさに三人であのモリブタを売りに出た。
穴だらけだったが大きかったので毛皮が仕立て屋でいい値で売れた。骨や牙が道具屋で高価だった。残った肉も料理店で。
「食い物があっても金かないとなぁ。宿に泊まれないからな。しかしあのブタヤローはいい金になった。まさしく大物だったな」
「あれ、あの人」
「うん、知り合いかロラン」
「ロメーラじゃ」
「?」
「こんなトコじゃわからないかな。オレは、あんたが妖精の絵を描いてる時に出会った。その絵、もらったロラン・ウニカだ」
「ああ西方の……」
「オレ、あの後にあんたを捜してるという人に会ったんだ」
「私を捜してる?! 誰かしら」
「じゃ会ってないんだな。イータという痩せた女だ」
「イータが……何処で」
「西方と東方の辺境の町で」
「そうなの……」
「まだ、捜しているのかなぁ」
「私はまだ、都に帰る気はないのだけど。あなたは、この国でなにを?」
「これからマコーナ神殿へ行く予定で」
「神殿へ。私も行きたいな、ご一緒させてもらってもいいかしら」
「べつに……いいよなグッピー、ミシェール」
「ああ、べっぴんさんは何人居てもかまわないぞ」
「ソレを決めるのは私じゃない」
つづく




