亜人
56話 亜人
「ここは、ロランと行ったどの遺跡より、広い」
先頭を行くアニタはランプを大きく移動させても壁が見えない。
通路ではなく、広い部屋?
ボクは持ってきたランプ、あと二つに火を点けて、ちょとはなれた場所に置いてみた。
周囲は瓦礫くらいしか見えない。
おや、奥の方で、何か動いた。
「誰が居るんですか?!」
ボクは手にしたランプを移動させた。
また、動いた。何か居る。動物?
「アニタ、ランプを」
ルルが、弓をかまえた。
アニタが、ランプを差し出すと何かが動いた。
ルルが、弓を放った。
『やめろ、攻撃しないでくれ』
「東方の言葉だミン」
『出てこい、何者だ』
出てきたのは、人?
人のような頭には獣の耳が立っている。
犬かオオカミのようでもあり、なんとなく体はサルみたいだ腰に布を巻いてるのは人みたいだが、こいつ人語を使った。
亜人の一種?
『何者かと、言われてもオレはラッシュだ。おまえは言葉が通じるな』
『ラッシュ? それが名前。それともあなたの種名?』
『なんだか、難しいコトを聞くな。オレはラッシュと呼ばれてる』
サルみたいに座ってたが、二本足で立った。
『名前かな。とにかく、ラッシュ。ココで何してる?』
『ナニって、ここで寝てた。ここはオレの寝ぐらだからな』
寝ぐら。父には聞いたことがない。メモにもない。
遺跡に生き物が居たなんて。
『ラッシュ、あなたはいつからココに居るの?』
『そーだな、もうけっこうなる。砂嵐の時に入って、それからここで』
父が来た頃は居なかったのかな。
『あなたは何処から来たの?』
ラッシュの言葉、なんとなくカチュー北部のなまりがある。北からか、どことなくオオカミ似の顔が気になる。
『オレは……雪の降る所から来た。この辺は少し暑いが、寒いよりイイ』
「こいつ何者よ、喋ってるからケモノじゃないのよね」
『なんなのかはわかりません。北から来た亜人のようです』
「北……ヴィルヘルムたちと一緒の?」
「いえ、カチュー国周辺の北です。言葉が完全に東方語です。こちらに来て憶えたのとは違うようです」
「西方語は通じないわけね」
「の、ようです。ココは自分の寝ぐらだと。名はラッシュと」
『言葉が通じてよかった。あんたら食い物あるか? カネは持ってないけど』
『持ってないけど、外の仲間が』
『まだ、仲間が外に、オレをとって喰ったりしないよな』
遺跡を見つけて帰ってきた。
ミンたちは妙なのを連れて戻った。
そいつは西方の辺境の町で見たような亜人だった。
飯を食わせた後にオレのトコに連れて来た。
「遺跡を寝ぐらにしてたラッシュだロラン」
そいつは、テーブルの上の美人像を見て、サルのように座り手を合わせた。
つづく




