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カーテンの先へ

51話 カーテンの先へ


「なんでこうなる! ちくしょうはなしやがれ!」


 驚いた。この連中、あっという間に黒サメ共を。陸の剣士らは、船上での戦いは不慣れ。てっきり。


 あの、槍使いの男はカチュー南部の拳士の様な腰で踏ん張り技を決める。

 まるで狂喜の演武をしてるかのような動きをゆれる船の上で見せる双剣使いの女。

 我が友にして弟子としたヴィルヘルムは腕をあげた。もう私には、勝てないかも。

 それに姫様も、私が指南してた時より比べものにならないくらい強くなってる。

 ヴィルヘルムめ、よほど姫様を鍛えたな。よく、あそこまで。

 あのメガネ娘の使用人一家の父娘も並ではなかった。

 リーダーという若いのは、さほどの腕ではなかったが虹色に光る妙な剣を使っていた。あの双剣女のクセが見えた。アレに師事してるな。

 が、あの光る剣で組まれると、戦いにくいようだ。

 弓手の娘は並だったが。

 なるほど強気で海を航るわけだ。

 面白いやつらだ。向こうでナニやらかすやら。


「船長、黒サメの連中どうします?」

「水夫以外は海に落としな」


「おいなんだって、やめてくれ俺は泳げないんだ!」


「ウソをつけ! 泳げない海賊など、聞いたことないぞ。うるさいから、早くやれ!」



「あっけなかったな。もっと手強いかと思ったぜ」


「ロランが、殺さないように斬れって言うから、やりにくかった」

「よく言うぜ、おまえ楽しんでたじゃねーか」

「殺せたらもっと楽しかった」


「ロラン、見たか。あのカウソーダのメガネ娘」

「ああ、あの船長の相棒とかいう」

「火筒ってーの?」


「あれは拳銃だよグッピー」


「拳銃か、ミンの石礫機械みたいなのだな」


「拳銃は火薬を使い弾丸を飛ばすんだ。それに小さい。一度あれをじっくり見てみたい」


「あの娘、楽しそうに撃ち殺してたぜ。人は見かけによらねーな」

「娼婦とか言ったら殺されるってのは、マスターの冗談でもないみたいだな。オレ見てなかった、グッピーみたいに余裕なかったからな」


「お疲れさん、とんだ戦に巻き込んでしまったな」


 船長が来た。


「奴らの船から食料をいただいた、今夜の夕食は、戦の礼だ」


 あのメガネ娘はいつも船長の横に居る。あんな可愛い顔して笑顔で人殺すのか。ホント、人は見かけによらない。

 船長はオレの方に来て。


「明日、カーテンに入る。ご馳走だからと食いすぎるなよ。吐くことになるかもしれんぞ。楽しみだな」

「あ、どうも」


 オレ、船長に嫌われてるようなんだよな。

 なんかしたか?



「死国のカーテン」か、別になんてことないな。


 ここから先の海の色が変わっているのはオレでもわかる。波も少し荒くなってきたかな。


「あー残念、拳銃を見せてもらえなかった」

「残念だったなミン」

「あそこまで小さくは、出来ないけどボクの石礫砲も一人で持てるくらいにはしたいな。んでも……ああいった人を傷つける物はあまり作りたくないんだ。ホントは人が喜ぶ便利な物とか。玩具だってイイ。人が乗れる物とか」

「人が乗れる……玩具の馬か。船とか馬車とかかは?」

「ソレもだ。馬とか使わない車とか。帆がなくてもはしる船。空も飛びたい」

「鳥みたいに空飛べたら船いらねぇな」

「だよね、あーあ出来るかなぁ」


「出来るわ。人はもともと空を飛べた」


「ホントかミシェール!」


「大災害の前は馬のない車も走っていた」


「そういゃあ遺跡で金属の車輪を見つけたことがある。アレは馬のない車の車輪か?」

「そんな物が出てきたの。『宝探師』は伊達じゃないねロラン」

「なんで、そんなコト知ってるんだミシェール。うわっ!」


 船が突然、揺れた。


「おい、あんたら船内に入れ。嵐が来るぞ!」


 え、さっきまで晴れてたよな。


「海はそういうもんだ、特にカーテンの中はね。そんなトコに居たら海に落ちるよ!」


 船長!


                つづく

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